アルバニアの防空壕カフェが熱い!共産主義時代の遺物がオシャレスポットに変身

皆さんは「アルバニア」という国をご存知ですか?イタリアのすぐ東側、バルカン半島にある小さな国です。実はこの国、ヨーロッパなのに日本人にはあまり知られていない穴場スポット。

でも今、若者の間で「ブンカーカフェ」が話題になっているんです。一体なぜ?それは、かつての独裁者が建設した何十万もの防空壕(ブンカー)が、今ではおしゃれなカフェやバーに変身しているから!

防空壕だらけの国アルバニア

まず驚くべき事実から。

アルバニアには約17万個もの防空壕があります。

国土の面積は九州と同じくらいなのに、この数です!人口は約290万人なので、国民17人に1つのブンカーがあることになります。これ、世界で最も「ブンカー密度」が高い国なんです。

でも待ってください。なぜそんなに多くの防空壕が?

それは、1944年から1985年までアルバニアを支配した共産主義独裁者エンヴェル・ホッジャのせいです。彼は「いつ攻撃されてもいいように」と国中に防空壕を建設させたのです。

当時のアルバニア人は、防空壕建設に駆り出されたり、自分の家の庭に防空壕を作るよう命じられたりしました。その数は推定で70万個以上とも!

でも皮肉なことに、これらの防空壕が一度も実際の戦争で使われることはありませんでした。

厄介者から観光資源へ

共産主義体制が崩壊した後、これらの防空壕は長い間「迷惑な遺物」として放置されていました。

理由は簡単です:

  • 取り壊すのにお金がかかる
  • コンクリートが頑丈すぎて壊せない
  • 数が多すぎる

しかし2010年頃から、アルバニアの若者たちがこれらのブンカーを「逆手に取る」動きが始まったのです。

そう、彼らは防空壕をカフェやバー、アートギャラリーに変えたのです!

人気のブンカーカフェBEST5

アルバニアを訪れるなら、ぜひチェックしたいブンカーカフェをご紹介します。

1. ブンカート(Bunkart)- ティラナ

首都ティラナ近郊にある巨大な地下シェルターを改装したミュージアム兼カフェ。もともとは独裁者とその側近のための核シェルターでした。

意外な事実: このブンカーには100室以上の部屋があり、なんと政府が数ヶ月間籠城できるよう設計されていたそうです。今は各部屋が展示室になっていて、その一角でエスプレッソが飲めるなんて、歴史の皮肉を感じますね。

2. バール・ブンカー(Bar Bunker)- ドゥラス

アドリア海に面した街ドゥラスにあるビーチサイドのブンカーカフェ。

驚きのポイント: かつて敵を監視するために作られた小窓が、今は海を眺めながらカクテルを楽しむ「オーシャンビュー席」になっています。敵を警戒するためだった窓から、今は夕日を楽しむなんて!

3. コーヒーブンカー(Coffee Bunker)- ヴロラ

南部の港町ヴロラにあるこじんまりとした防空壕カフェ。

意外な魅力: 地元の大学生に大人気で、試験シーズンには24時間営業になることも。防空壕の防音性を活かした「静かな勉強空間」として重宝されているんです。かつての「身を守る場所」が、今は「知識を守る場所」に変わったというわけです。

4. ブンケリ・アート(Bunkeri Art)- シュコドラ

北部の街シュコドラにあるアートギャラリー兼カフェ。

知られざる特徴: 月に一度、「ブンカーナイト」という地元アーティストのライブイベントを開催。コンクリートの丸い空間が生み出す独特の音響効果が評判なんです。防音壁が今は最高の音響空間になるなんて、誰が想像したでしょう?

5. アンダーグラウンド・バー(Underground Bar)- サランダ

ギリシャとの国境に近い南部のリゾート地サランダにあるナイトクラブ。

面白い事実: 以前は酒類の保管庫として利用されていました。一年中温度が一定に保たれるブンカーの特性を活かしていたんですね。今でも自家製ワインの熟成にその特性を活用しているそうです。

ブンカーカフェを訪れる際のポイント

アルバニアのブンカーカフェを楽しむためのコツをいくつか紹介します:

持ち物チェックリスト

  • 懐中電灯(一部は照明が暗め)
  • 軽めの上着(内部は年間を通して涼しい)
  • 防水の靴(特に雨季は内部が湿気ることも)
  • 現金(カード決済に対応していない店も)

おすすめの時間帯

  • 夏は昼間の暑さ逃れに最適
  • 冬は温かい飲み物を楽しむのにぴったり
  • 週末の夜はローカル音楽のライブがあることも

注意点

  • 写真撮影は事前に確認を(一部は軍事施設だった名残で禁止の場所も)
  • 頭上注意(天井が低い場所があります)
  • 携帯電話の電波が入りにくいことも

地元の人に聞いた!ブンカーをめぐる驚きのエピソード

アルバニア人の中には、これらのブンカーに特別な思い出を持つ人も多いんです。

ティラナでタクシー運転手をしているアルティンさん(45歳)は、こう教えてくれました:

「子どもの頃、このブンカーは私たちの秘密基地だったんだ。今の子どもたちはスマホゲームで遊ぶけど、私たちはブンカーで冒険ごっこをしていた。今それがおしゃれなカフェになって、観光客が写真を撮っているのを見ると不思議な気持ちになるよ」

また、現在ブンカーカフェのオーナーであるエルダさん(32歳)はInstagramで人気のインフルエンサーでもあります。彼女によれば:

「祖父が強制労働で建設に関わったブンカーを、今私がビジネスに活用しているなんて、歴史の面白いひねりですよね。祖父は最初は『なぜそんな場所でコーヒーを出すんだ?』と不思議がっていましたが、今では毎朝ここに来て、自分が作った建物で友人とチェスを楽しんでいます」

ブンカーのアイスクリーム?料理にも広がるブンカー文化

驚くことに、ブンカーカルチャーは飲食文化にも影響を与えています。

「ブンケリ・アイスクリーム」 円形のブンカーの形をしたアイスクリーム。チョコレート味のドーム型アイスの中に、サプライズで様々なフルーツが入っています。

「防空壕ピザ」 ブンカーの形をした石窯で焼く特製ピザ。具材が「隠れている」ことをコンセプトに、チーズの下に全ての具材が隠れています。

「サバイバルカクテル」 共産主義時代の食料配給をイメージしたカクテル。一見シンプルなドリンクですが、飲み進めると底に隠し味が。「表向きはシンプルでも、内側には秘密がある」という当時の二重生活を表現しています。

ブンカー再利用の新しい波:ホテルまで登場

カフェだけではありません。最近ではブンカーを改装したホテルも登場しています。

「ブンカーベッド・ホステル」 若いバックパッカーに人気のホステル。防空壕の円形を活かしたカプセルホテル風の宿泊施設です。

「ブンカー・リゾート」 沿岸部のブンカーを改装した高級リゾート。「重厚な歴史の中のラグジュアリー」をコンセプトにしています。壁の厚さは約1.5メートル!これ以上の防音性能を持つホテルは他にないでしょう。

アルバニア以外のブンカー活用国

アルバニアのブンカー活用がユニークなのは間違いありませんが、他の国々でも似たような取り組みが始まっています:

  • スイス: 国中に核シェルターがあり、ワインセラーとして再利用
  • ドイツ: ベルリンの防空壕がテクノクラブに
  • イギリス: 第二次世界大戦時の地下壕が博物館やレストランに
  • 日本: 沖縄の一部の旧日本軍壕が観光地に

でも、数とクリエイティビティではアルバニアが断トツ!「負の遺産」を「創造的資源」に変えた好例と言えるでしょう。

まとめ:歴史的遺物の創造的再利用

アルバニアのブンカーカフェは、暗い過去の象徴を明るい未来の場所に変えることに成功した素晴らしい例です。

かつては「独裁の象徴」だったものが、今では:

  • クリエイティブな若者の表現の場
  • 歴史を学べる生きた教材
  • ユニークな観光資源
  • 地元経済を支える新たなビジネス

この「不便を便利に」「負を正に」変える発想は、私たちの日常でも参考になりそうですね。

実際にアルバニアを訪れる機会があれば、首都ティラナのブンカートや沿岸部のブンカーカフェにぜひ立ち寄ってみてください。歴史の重みと創造性が融合した、他では味わえない体験ができるはずです。

次回は「キルギス 鷹匠 モンゴル相撲」というテーマで、中央アジアの知られざる伝統文化をご紹介する予定です。お楽しみに!

【この記事の情報は2024年10月時点のものです】

まとめ:歴史的遺物の創造的再利用

アルバニアのブンカーカフェは、暗い過去の象徴を明るい未来の場所に変えることに成功した素晴らしい例です。

かつては「独裁の象徴」だったものが、今では:

  • クリエイティブな若者の表現の場
  • 歴史を学べる生きた教材
  • ユニークな観光資源
  • 地元経済を支える新たなビジネス

この「不便を便利に」「負を正に」変える発想は、私たちの日常でも参考になりそうですね。