マチュピチュで高山病に倒れた私が教える「絶対に知っておくべき」3つの落とし穴

「天空の城」への憧れが一瞬で恐怖に変わった瞬間

雲海に浮かぶマチュピチュ遺跡の全景

あの日の朝、私は興奮で眠れないまま早朝5時にクスコのホテルを出発しました。2年間貯金して、ようやく実現したマチュピチュ観光。標高2,430メートルの「天空の城」を目前にした瞬間、頭痛と吐き気に襲われたのです。

マチュピチュ観光で最も多いトラブルは、実は高山病なんです。クスコの標高3,400メートルから一気に移動することで、体調を崩す観光客が後を絶ちません。でも心配しないでください。正しい知識さえあれば、この絶景を心ゆくまで楽しめます。

チケット争奪戦?実は知られていない予約の真実

マチュピチュ遺跡の石組みと段々畑

「マチュピチュは3ヶ月前から予約が必要」これ、半分正解で半分間違いです。確かにワイナピチュ山マチュピチュ山への登山チケットは早めの予約が必須ですが、遺跡への入場券は意外と直前でも取れることが多いんです。

入場料金は大人152ソル(約6,080円)、学生77ソル(約3,080円)です。営業時間は朝6時から夕方5時30分まで。ただし、雨季(12月〜3月)は午後になると霧で何も見えなくなることもあるので、午前中の入場を強くおすすめします。

面白いことに、マチュピチュでは実は「写真撮影禁止エリア」が存在します。神聖な儀式場とされる「インティワタナ」という石の周辺では、フラッシュ撮影が厳格に禁止されているんです。

電車?バス?それとも徒歩4日間?アクセス方法の選択が命運を分ける

マチュピチュへ向かう電車からの山岳風景

クスコからマチュピチュまで、実は3つのルートがあります。最も一般的なのはペルーレイルを使った電車での移動。片道約3時間30分で、料金は往復で約200〜400ドル(席のグレードによって大幅に変動)。

私が初回に選んだのは、この電車ルートでした。オリャンタイタンボ駅からアグアスカリエンテス(マチュピチュ村)まで、渓谷沿いを走る景色は息を呑むほど美しいです。ただし、アグアスカリエンテスから遺跡までは、さらにシャトルバスで約25分(片道24ドル)かかります。

意外と知られていないのが、サンタテレサ経由のバックパッカールート。クスコからバスとコレクティーボ(乗り合いタクシー)を乗り継いで、片道約50ソル(約2,000円)という破格で到達できます。ただし、移動時間は6〜8時間と長く、体力に自信がある人向けです。

遺跡で出会った「幻の住民」の正体とは?

マチュピチュ遺跡内を歩く観光客たち

マチュピチュで最初に目につくのは、石組みの精巧さではなく、実はリャマたちなんです。遺跡内に住み着いている野生のリャマは、まさに「生きる除草機」として重要な役割を果たしています。

でも本当に驚くべきは、マチュピチュの建築技術です。太陽の神殿では、夏至の日の出が窓から差し込む角度まで計算されています。また、王女の宮殿と呼ばれる建物群では、地震の揺れを吸収する「免震構造」が500年以上前に既に実現されていたんです。

私が最も感動したのは「コンドルの神殿」での体験でした。この場所で手を叩くと、音響効果により声が遺跡全体に響き渡ります。インカの技術者たちがいかに音響学を理解していたかが分かる瞬間です。

高山病で倒れてから学んだ「本当に必要な準備」

夕日に照らされるマチュピチュ遺跡

あの日、私を救ってくれたのは同じツアーに参加していた地元ガイドのカルロスさんでした。彼が教えてくれた高山病対策は、どのガイドブックにも載っていない実践的なものばかりでした。

まずコカ茶は到着2日前から飲み始めること。そして意外だったのが「炭水化物を多めに摂取する」というアドバイス。標高の高い場所では、体が糖分を欲するため、普段よりも多めの炭水化物が必要になるそうです。

服装については、レイヤード(重ね着)が基本。朝晩は10度以下まで気温が下がりますが、日中は25度近くまで上がることも。防水性のあるジャケットと歩きやすいトレッキングシューズは絶対に必要です。

水分補給では、アルコールとカフェインは控えめに。代わりに電解質を含むスポーツドリンクを持参することをおすすめします。私の場合、普通の水だけでは脱水症状が改善されませんでした。

意外と盲点?トイレと食事の現実

マチュピチュ遺跡内にはトイレが入口付近に1ヶ所しかありません。しかも有料(2ソル)。遺跡内での飲食も禁止されているため、入場前に必ずトイレを済ませ、軽食を取っておくことが重要です。

アグアスカリエンテス村での食事は、観光地価格で1食20〜40ドルが相場。地元の人が通う小さな食堂なら、メヌー・デル・ディア(本日の定食)が10〜15ソルで食べられます。アルパカ肉のステーキは意外とクセがなく、むしろ牛肉より柔らかくて美味しいんです。

雨季と乾季、どちらを選ぶべき?

私は雨季(2月)と乾季(7月)の両方を経験しましたが、それぞれに全く違った魅力がありました。雨季は観光客が少なく、霧に包まれた神秘的なマチュピチュを独占できる瞬間があります。一方で、午後は完全に霧で覆われて何も見えないリスクも。

乾季は晴天率が高く、ワイナピチュ山からの絶景も楽しめますが、観光客の数は雨季の3倍以上。写真撮影の順番待ちが発生することも珍しくありません。

帰路で気づいた「もう一つのマチュピチュ」

帰りの電車で窓から見えた光景が、私にとって最も印象的でした。遺跡から離れていく中で見えるマチュピチュ全体のシルエット。この角度からでしか分からない、山全体がコンドルの形をしているという事実に気づいたんです。

アグアスカリエンテス村の温泉(入浴料20ソル)で疲れを癒やし、地元の人々との何気ない会話を楽しんだ時間。これらの体験こそが、マチュピチュ観光の本当の価値だったのかもしれません。

標高2,430メートルの「天空の城」は、確かに息を呑む絶景でした。でも、そこに至るまでの道のり、現地での人々との出会い、そして体調不良も含めた全ての経験が、私にとってのマチュピチュなんです。

次にマチュピチュを訪れる際は、ぜひ2泊3日以上の余裕を持って計画してください。遺跡だけでなく、その周辺で過ごす時間こそが、本当の感動を与えてくれるはずです。