サンティアゴ・デ・コンポステーラで巡礼者が陥る3つの失敗と、本当は教えたくない穴場スポット

巡礼路のゴールだけど、実は観光地として見落とされがちな理由とは?

サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂

サンティアゴ・デ・コンポステーラと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「巡礼路のゴール地点」というイメージでしょう。確かに間違いではありませんが、実はこの街、普通の観光地として訪れても驚くほど魅力的なんです。

私が初めて訪れた時、正直「巡礼者じゃないのに来て大丈夫かな?」なんて心配していました。でも実際に歩いてみると、オブラドイロ広場に足を踏み入れた瞬間、そんな不安は一気に吹き飛びました。目の前に現れた大聖堂の威厳ある姿に、思わず息を呑んだのを今でも覚えています。

ただし、多くの旅行者が犯しがちな失敗があります。それは「大聖堂だけ見て満足してしまう」こと。実はこの街、掘り下げれば掘り下げるほど面白い発見があるんです。

「え、こんなに混んでるの?」大聖堂見学で避けたい時間帯

大聖堂内部の巡礼者たち

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、この街の絶対的なハイライト。でも、訪問時間を間違えると大変なことになります。

午前10時から12時、そして午後2時から4時は、ツアーバスが次々と到着する時間帯。特に夏場は信じられないほどの人だかりになります。私が経験した中で最もひどかったのは、大聖堂の中に入るまでに45分も待たされたこと。せっかくの感動も半減してしまいました。

おすすめは朝8時の開門直後、もしくは夕方6時以降。特に朝一番は、巡礼者たちが祈りを捧げる神聖な雰囲気を肌で感じることができます。入場料は無料ですが、屋根裏ツアーや博物館は有料(12ユーロ程度)です。

ここで知っておきたいのが、ボタフメイロという巨大な香炉の存在。重さ50キロもあるこの香炉が大聖堂内を振り子のように揺れる光景は圧巻です。ただし、毎日行われるわけではないので、事前に公式サイトで確認することをお勧めします。

旧市街で迷子になって発見した、ガイドブックにない絶景ポイント

石造りの美しい旧市街の路地

大聖堂の感動に浸った後は、ぜひ旧市街を歩き回ってみてください。ここで私がやらかした失敗談をお話しします。

地図を見ながら歩いていたつもりが、石畳の迷路のような道で完全に道に迷ってしまいました。でも、この「失敗」が思わぬ収穫をもたらしたんです。迷った末にたどり着いたのが、アラメダ公園の展望台。ここから見下ろすサンティアゴの街並みは、まさに絶景でした。

旧市街の中でも特に注目したいのがプラテリアス広場。大聖堂の南側にある小さな広場ですが、ここには12世紀のロマネスク様式の彫刻が施された「銀細工師の門」があります。多くの観光客がメイン入口ばかりに注目する中、この門の精緻な装飾は見逃されがち。でも実は、建築史的にはこちらの方が貴重だったりするんです。

歩き疲れたら、ルア・ド・ビラール通りでちょっと休憩。ここは地元の人たちが普段使いしている商店街で、観光地価格ではない普通のカフェやバルが点在しています。

「タコだけじゃない?」ガリシア料理の本当の魅力

伝統的なガリシア料理が並ぶテーブル

サンティアゴといえばプルポ・ア・ラ・ガジェガ(ガリシア風タコ)が有名ですが、それだけで満足していてはもったいない!

私が最も感動したのはエンパナーダ・ガジェガという郷土料理。一見するとただのパイのようですが、中に詰まった具材の豊富さに驚かされます。ツナ、サルディン、豚肉、野菜など、その日によって様々な具材が楽しめます。メルカド・デ・アバストス(中央市場)で食べられる焼きたてのエンパナーダは、値段も3ユーロ程度とリーズナブル。

そして忘れてはいけないのがアルバリーニョというガリシア地方の白ワイン。海に近いこの地域特有のミネラル感がたまりません。「O Gato Negro」というバルでは、グラス4ユーロから地元のワインとタパスのマリアージュを楽しめます。営業時間は午後1時から深夜まで、地元の人たちで賑わう隠れ家的なスポットです。

意外に知られていないのがカルド・ガジェゴというガリシアの伝統スープ。白いんげん豆、じゃがいも、豚肉、そして独特の苦味があるグレロスという野菜が入った心温まる一品です。巡礼者が体力回復のために食べていたという歴史もあり、冬場の観光には特におすすめです。

知る人ぞ知る「石の本」の謎と、夜の大聖堂の秘密

夜にライトアップされた大聖堂

ここで、ガイドブックには絶対に載っていないマニアックな話をしましょう。大聖堂の外壁をよく見ると、所々に奇妙な記号のようなものが刻まれているのに気づくでしょうか?

これは「石工のサイン」と呼ばれるもので、中世の石工職人たちが自分の仕事を識別するために残した印なんです。同じ記号を探しながら大聖堂の周りを歩くと、まるで謎解きゲームをしているような気分になります。特に北側の「アスアチェス門」周辺に多く残されています。

さらに驚くべきことに、夜8時以降の大聖堂には特別な魅力があります。日中とは打って変わって静寂に包まれ、黄色いライトに照らされた石造りの外観は、まさに神々しいという言葉がぴったり。地元の人たちは「夜の大聖堂こそが本当の姿」と言うほどです。

アクセスと滞在日数、そして最後に待ち受ける感動

サンティアゴへのアクセスは、マドリードからAVE高速鉄道で約6時間(料金は80ユーロ前後)。飛行機なら1時間20分ほどですが、鉄道の旅も車窓からスペイン北部の美しい風景が楽しめるのでおすすめです。

滞在日数は最低2日、できれば3日あると余裕を持って楽しめます。1日目は大聖堂と旧市街散策、2日目は市場やバル巡り、3日目があれば近郊のフィステラ岬まで足を伸ばしてみてください。ここは「世界の果て」と呼ばれた場所で、大西洋に沈む夕日は言葉を失うほどの美しさです。

最後に、サンティアゴを訪れた人だけが体験できる特別な瞬間をお話しします。夕方のミサの時間(午後7時半頃)、大聖堂内で聞こえる讃美歌とパイプオルガンの音色。巡礼者も観光客も関係なく、その場にいる全ての人が同じ感動を共有する瞬間です。

私がサンティアゴで学んだのは、目的地に辿り着くことの喜びは、必ずしも長い道のりを歩いた人だけのものではないということ。短い滞在でも、心を開いてこの街と向き合えば、きっとあなたにも特別な何かが待っているはずです。