「東洋のベニス」って本当?実際に行ってみた第一印象
インドの「東洋のベニス」と呼ばれるウダイプル。正直、最初は半信半疑でした。インドでベニス?と思いながらデリーから夜行列車で約12時間かけて到着したとき、その美しさに言葉を失いました。
ラジャスタン州南部に位置するこの街は、1559年にメワール王国の首都として建設されました。街の中心にはピチョーラ湖が広がり、その湖面に浮かぶように建つ白い宮殿群が、まるで絵画のような景色を作り出しています。
湖に浮かぶ宮殿?シティパレスの圧倒的な存在感
ウダイプル観光のメインは、なんといってもシティパレスです。入場料は大人300ルピー(約600円)で、午前9時30分から午後5時30分まで開館しています。
この宮殿複合体は400年以上にわたって増築され続けた結果、迷路のような構造になっています。特に印象的だったのは、「クリスタルギャラリー」。19世紀にイギリスから取り寄せた純度99%のクリスタル製家具が展示されており、別途200ルピーが必要ですが、一見の価値があります。
宮殿の最上階からピチョーラ湖を見下ろす景色は、まさに絶景。白い建物群と青い湖面のコントラストが、なぜこの街が「ホワイトシティ」と呼ばれるのかを物語っています。
湖上の宮殿ホテルって泊まれるの?
ピチョーラ湖に浮かぶレイクパレスは、現在「タージ レイク パレス」として運営されている超高級ホテルです。1泊約8万円からという価格ですが、世界で最もロマンチックなホテルの一つとして知られています。
私は予算の都合で泊まれませんでしたが、湖畔のレストランから眺めるその姿は、まるで白鳥が湖面に浮かんでいるような優雅さでした。宿泊しなくても、ホテルのボートツアー(1人500ルピー、約30分)で近くまで行くことができます。
意外と知られていない?ジャグ・マンディル島の秘密
多くの観光客がレイクパレスに注目する中、実はジャグ・マンディル島こそが歴史的に重要な場所なんです。17世紀、ムガル皇帝シャー・ジャハーンの息子がここに避難したという記録があり、タージマハルの建築様式にも影響を与えたとされています。
この島へは専用ボート(往復300ルピー)でアクセスします。島内には美しい庭園と宮殿があり、観光客も少ないため、ゆっくりと散策できます。夕日の時間帯に訪れると、湖面が金色に染まる幻想的な光景を独り占めできました。
食事はどこで?地元民が教えてくれた隠れた名店
ウダイプルのグルメで絶対に外せないのがダル・バティ・チュルマです。ラジャスタン州の郷土料理で、豆カレー、小麦粉の団子、甘いお菓子のセットです。
地元の人に教えてもらった「Natraj Dining Hall」(ガンガウリガート地区)では、この料理が120ルピー(約240円)で食べられます。観光客向けのレストランとは違い、地元の家庭の味を楽しめます。営業時間は午前11時から午後10時まで。
湖畔の景色を楽しみながら食事をしたいなら、アンブライレストランがおすすめです。屋上テラスからシティパレスとレイクパレスの両方が見えて、サンセットタイムは特に美しいです。
交通手段で困った?オートリキシャの相場と注意点
ウダイプル市内の移動は主にオートリキシャです。駅から市内中心部までは約3キロ、相場は100-150ルピー。ただし、最初に提示される料金は観光客価格なので、必ず交渉しましょう。
私が実際に体験したトラブルは、「メーター壊れている」と言われて法外な料金を請求されたこと。そんな時は別のリキシャを探すか、配車アプリ「Ola」を使うと安心です。
モンスーン時期は避けるべき?ベストシーズンの真実
ウダイプルのベストシーズンは10月から3月。気温も過ごしやすく、湖の水位も安定しています。しかし、あえて7月から9月のモンスーン時期に訪れる価値もあります。
雨期の湖は水量が増し、より一層美しい景色を楽しめます。また、観光客が少ないため、ホテルの料金も大幅に下がります。ただし、激しいスコールがあるので、傘は必須です。
お土産選びで失敗しない?ミニアチュール絵画の見分け方
ウダイプルの名産品といえばミニアチュール絵画です。しかし、観光客向けの粗悪品も多いのが現実。本物を見分けるコツは、絵具の厚みと細部の精密さです。
「Mewar Arts」(パレスロード)では、実際に絵師が作業している様子を見学でき、品質の高い作品を購入できます。小さなものなら1500ルピー(約3000円)から。作家のサイン入りの証明書も付いてきます。
シルクのスカーフや銀製品も人気ですが、価格交渉は基本。最初の提示価格の3分の1程度が適正価格と考えてください。
夕日スポットで人だかり?穴場の絶景ポイント教えます
多くの観光客が集まる定番の夕日スポットは、シティパレスの屋上テラスやレイクサイドのレストラン。でも、地元の写真家に教えてもらったドゥドゥ・タライという小さな丘は、観光客がほとんどいない絶景スポットです。
市内中心部からオートリキシャで約15分、料金は往復で200ルピー程度。ここからは街全体とピチョーラ湖を一望でき、夕日が湖面を染める様子を静かに楽しめました。ただし、帰りのリキシャは事前に手配しておくことをお勧めします。
予想外の出費?チップ文化と両替事情
ウダイプルでは、ホテルやレストランでのチップが一般的です。レストランなら料金の10%程度、ホテルのポーターには50-100ルピーが相場。意外だったのは、写真撮影を手伝ってくれる地元の人にも小額のチップを渡す習慣があること。
両替は、銀行よりも認可された両替商の方がレートが良い場合があります。「Thomas Cook」(バープ バザール内)は信頼できる両替店で、営業時間は午前9時30分から午後6時まで。パスポートの提示が必要です。
最後に伝えたい、ウダイプルの本当の魅力
3日間のウダイプル滞在を通じて感じたのは、この街の魅力は豪華な宮殿だけではないということ。早朝の湖畔を散歩する地元の人々、夕方に湖で泳ぐ子どもたち、街角で聞こえるラジャスタニ音楽。そんな日常の風景こそが、ウダイプルを特別な場所にしています。
確かに観光地化が進んでいますが、まだまだインド本来の温かさと美しさが残っている街です。宮殿の華やかさに目を奪われがちですが、ぜひ街の人々との交流も楽しんでください。きっと、写真では伝えきれない特別な思い出を作ることができるはずです。