カサブランカで絶対に避けるべき3つの観光ミス!映画の街の本当の魅力と落とし穴

「君の瞳に乾杯」で有名なあの映画の舞台、カサブランカ。でも実際に現地を歩いてみると、映画のイメージとはかなり違う現実が待っています。私が初めてモロッコ最大の経済都市カサブランカを訪れた時、いくつかの大きな勘違いをしてしまいました。今回は、そんな失敗談も交えながら、この魅力的な街の本当の楽しみ方をお伝えします。

映画「カサブランカ」のロケ地を探すのは時間の無駄?

カサブランカの街並み

多くの観光客が犯す最初の間違いがこれです。実は映画「カサブランカ」は、ほぼ全編がハリウッドのスタジオで撮影されました。現地でリックスカフェを探し回っても、オリジナルは存在しないんです。

ただし、諦める必要はありません。2004年に映画ファンのために作られたリックス・カフェ・カサブランカがあります。場所は旧市街メディナの259 Boulevard Sour Jdidで、営業時間は午後6時から午前1時まで。料金は少し高めで、メインディッシュが150〜250ディルハム(約1,650〜2,750円)ほどです。

ここで面白いのは、実際の映画よりも映画らしい雰囲気を演出していること。ピアノ演奏もあり、「As Time Goes By」をリクエストできます。観光地としては作り物ですが、その徹底した再現度には感動させられます。

ハッサン2世モスクで知らないと恥をかく参拝マナー

カサブランカ観光のハイライトといえば、大西洋に面して建つハッサン2世モスクです。ミナレット(尖塔)の高さは210メートルで世界最高、収容人数は10万人を誇る巨大建築です。

しかし、ここで多くの観光客がマナー違反をしています。まず服装について、男性は長ズボン必須、女性は長袖・長ズボンに加えて髪を隠すスカーフが必要です。現地で貸し出しもありますが、事前に準備しておくとスムーズです。

見学ツアーは1日4回(午前9時、10時、11時、午後2時)で、料金は大人130ディルハム(約1,430円)。金曜日は午後のみの開催となります。カサブランカ・ヴォヤジャー駅からタクシーで約15分、料金は30〜40ディルハムが相場です。

意外と知られていない見どころが、モスク内部の精緻な装飾です。特に大理石の床に施された幾何学模様と、天井の木彫装飾は必見。モロッコ全土から集められた職人たちの技術の結晶を間近で見ることができます。

旧市街メディナで絶対に食べるべきB級グルメとは?

カサブランカの旧市街メディナは、観光地化されすぎていないローカルな雰囲気が魅力です。しかし、ガイドブックに載っている有名レストランばかり追いかけていては、本当の美味しさに出会えません。

地元の人たちが愛する隠れた名物がマアクーダです。これは薄いパン生地に卵とスパイスを挟んで焼いた庶民的な料理で、1つ5〜8ディルハム(約55〜88円)という驚きの安さ。メディナの路地にある小さな屋台で、朝7時頃から昼過ぎまで販売しています。

もう一つのおすすめがハリーラスープです。トマトベースにひよこ豆、レンズ豆、香草を加えた栄養満点のスープで、ラマダン明けの食事としても親しまれています。メディナ内のローカル食堂で15〜20ディルハム(約165〜220円)で味わえます。

食事の際の注意点として、水道水は避けてミネラルウォーターを選びましょう。また、屋台料理を食べる時は、お腹の調子を整える薬を持参しておくと安心です。

新市街の美しすぎる建築群に隠された植民地時代の影

カサブランカの新市街は、フランス植民地時代(1912〜1956年)に建設されたアールデコ建築の宝庫です。特にモハメッド5世広場周辺には、白い外壁にモロッコ様式の装飾を加えた独特な建物群が立ち並んでいます。

見逃せないのがサクレクール大聖堂です。Place du Sacré-Cœurにあるこの教会は、現在は文化センターとして使用されており、内部見学が可能です。開館時間は午前9時から午後6時まで、入場無料です。

しかし、これらの美しい建築には複雑な歴史が刻まれています。フランス統治下で建設された当時、モロッコ人は新市街の多くの地域への立ち入りが制限されていました。現在は誰でも自由に歩けるこれらの街並みも、かつては分離政策の象徴だったのです。

新市街散策には半日程度を予定し、メディナからは徒歩約20分、タクシーなら10分程度です。建築写真を撮る際は、現地の人々への配慮も忘れずに。

カサブランカから日帰りで行ける隠れた絶景スポット

カサブランカを拠点にした日帰り旅行で、ガイドブックにはほとんど載っていない穴場があります。それが海岸沿いの小さな漁村アズモールです。

カサブランカから南に約40キロ、車で1時間ほどの距離にあるこの村では、朝6時頃から漁師たちが水揚げした新鮮な魚介類を浜辺で直売しています。特にサーディンとタコが絶品で、その場で炭火焼きにしてもらえます。1匹10〜15ディルハム(約110〜165円)という破格の安さです。

アズモールへのアクセスは、カサブランカのCTMバスターミナルから1日3便のローカルバスが運行。片道25ディルハム(約275円)で、往復する場合は最終便が午後4時頃なので注意が必要です。

村の高台からは大西洋の大パノラマが楽しめ、夕日の美しさは格別です。観光地化されていないため、地元の人々との素朴な交流も魅力の一つ。簡単なフランス語かアラビア語の挨拶を覚えていくと、より温かく迎えてもらえるでしょう。

夜のカサブランカで避けるべき3つのエリア

昼間は賑やかなカサブランカも、夜になると治安面で注意が必要なエリアがあります。特に初心者旅行者が知っておくべき情報をお伝えします。

まず避けるべきはカリエール・サントラル地区の路地裏です。昼間は商業地区として活気がありますが、夜間は人通りが少なくなり、スリや置き引きの被害が報告されています。夜8時以降は大通りを歩くようにしましょう。

次に注意したいのがポート・ド・カサブランカ(港湾地区)です。夜間の一人歩きは避け、タクシーを利用することをおすすめします。特に女性の場合は、日没後はホテルエリアから離れすぎないのが安全です。

逆に夜でも比較的安全なのが、新市街のモハメッド5世広場周辺と、大型ホテルが集まるアンファ地区です。夜9時頃まではカフェも営業しており、現地の夜の雰囲気を安全に楽しめます。

カサブランカは確かに映画のイメージとは違います。でも、だからこそ発見できる本物の魅力がここにはあります。事前の準備と現地での注意深い行動で、きっと忘れられない旅の思い出を作れるはずです。