シャウエンで迷子になった私が教える、青い街の本当の歩き方と意外な落とし穴

青い迷宮で道に迷うのは当然?シャウエンの街歩きの現実

モロッコ北部の山間にあるシャウエンは、「青い真珠」と呼ばれる美しい街です。でも正直に言うと、私は初日に完全に迷子になりました。Googleマップも役に立たず、青い壁に囲まれた迷路のような路地で、同じ場所をぐるぐる回っていたんです。

実はこれ、シャウエンあるあるなんです。この街の魅力は、計画通りにいかないところにこそあります。迷子になることを前提に、時間に余裕を持って歩くのがコツです。

なぜ全部青いの?地元の人に聞いた本当の理由

観光ガイドブックには「虫除けのため」と書かれていることが多いのですが、地元のおじいさんに聞いた話はちょっと違いました。もともとは1930年代にスペイン系ユダヤ人が移り住んできた時に、宗教的な意味で青く塗り始めたのが始まりだそうです。

青い塗料は硫酸銅を混ぜた石灰で作られていて、確かに虫除け効果もありますが、それは後からついてきた効果。今では観光のために青く保たれているのが現実です。住民の方々は年に2回、春と秋に街全体を塗り直しているんですよ。

絶対に外せない撮影スポットと、人だかりを避ける裏技

シャウエンで一番有名な撮影スポットはメディナ(旧市街)の階段です。でも朝の9時頃には既に観光客でごった返しています。

早朝6時の静寂を狙え

地元の人に教えてもらった秘訣は、早朝6時に街を歩くこと。まだ観光客が少なく、朝日が青い壁を美しく照らします。この時間なら、あの有名な階段も独り占めできる可能性が高いです。

もう一つのおすすめはラス・エル・マー展望台への道中。メディナから徒歩約20分の山道を登ると、シャウエン全体を見下ろせます。特に夕方17時頃は、青い街がオレンジ色の夕日に包まれて幻想的です。

意外と知られていない穴場「洗濯場エリア」

観光客がほとんど行かない場所に、地元の人が洗濯をする小さな広場があります。青い壁にカラフルな洗濯物が干されている光景は、まさにリアルなシャウエンの日常。メディナの北西部、バブ・エル・アンサール門近くにひっそりとあります。

食べ歩きで発見!シャウエンでしか味わえないグルメ

シャウエンの食べ物は、モロッコ料理にスペインの影響が混じった独特のもの。観光地だからと侮ってはいけません。

山羊チーズが絶品すぎる理由

この地域は山間部なので、新鮮な山羊チーズが名物です。特に「フロマージュ・ド・シェーブル」という白いチーズは、クリーミーでほんのり酸味があって絶品。メディナ内の小さなチーズ屋さんで、1個約50ディルハム(約550円)で買えます。

地元の人は薄いパンに挟んで、オリーブオイルと一緒に食べるのが定番。朝食にぴったりです。

カフェ・クロック・ノム?現地の若者に人気の隠れ家

観光客向けのレストランではなく、現地の若者が集まるカフェ・クロック・ノムというお店があります。メディナの奥まった路地にあり、看板も小さいので見つけるのに苦労しますが、ここのミントティーは格別です。

1杯15ディルハム(約165円)で、砂糖の量も調整してくれます。夕方からは地元の学生たちが宿題をしたり、友達とおしゃべりしたりする光景が見られて、観光地とは違うシャウエンの顔が垣間見えます。

宿泊先選びで失敗しない方法

シャウエンでの宿泊は、立地が全てです。メディナ内のリヤドに泊まりたくなりますが、実際には車が入れないため、大きな荷物を持って石畳を歩くのは大変です。

メディナの外側がおすすめ?アクセスと静寂のバランス

私のおすすめは、メディナから徒歩5分程度の新市街エリアの宿です。車でアクセスでき、それでいて青い街まで歩いていけます。料金も1泊3000円程度からあり、メディナ内より安価です。

ただし、どうしてもメディナ内に泊まりたい場合は、荷物の運搬サービスを事前に宿に確認しておきましょう。多くのリヤドで、追加料金(約200円)で荷物運びを手伝ってくれます。

移動手段と所要時間の現実

シャウエンへのアクセスで一番多いのは、カサブランカやフェズからのバス移動です。でも、思っている以上に時間がかかります。

フェズから3時間半?実際は5時間かかった理由

公式にはフェズからバスで3時間半とされていますが、実際には途中で何度も停車するため5時間近くかかりました。バス代は約80ディルハム(約880円)です。

途中、山道でバスが故障して1時間待たされたこともあります。時間に余裕を持って、できれば朝一番のバスで出発することをおすすめします。

カサブランカからなら約4時間、タンジェからは約2時間です。個人的には、タンジェ経由が一番楽でした。

気をつけたいトラブルと対処法

美しいシャウエンですが、観光地ならではのトラブルもあります。事前に知っておけば、慌てずに対処できます。

写真撮影で思わぬトラブル?地元ルールを知っておこう

青い壁の前で写真を撮るのに夢中になりがちですが、実は住宅の入り口や窓を撮影するのはマナー違反です。地元の人から注意されることもあります。

また、地元の子供たちが「写真を撮らせてあげる」と声をかけてきて、後からチップを要求するケースも。断るときは「ラー、シュクラン(いいえ、ありがとう)」とはっきり言いましょう。

偽ガイドに要注意

メディナの入り口付近で「案内してあげる」と声をかけてくる人がいますが、公式ガイドではない場合が多いです。最後に法外な料金を請求されることも。本当に道に迷った時は、お店の人に聞くのが安全です。

季節選びで旅の満足度が変わる

シャウエンは標高約600メートルの山間部にあるため、季節による気温差が大きいです。

春と秋がベストシーズンな理由

4月〜5月、9月〜10月が最適な時期です。日中は暖かく(20〜25度)、夜は涼しい(10〜15度)ので過ごしやすいです。この時期なら、長時間の街歩きも苦になりません。

夏は日中35度を超えることもあり、青い壁の照り返しで体感温度はさらに高くなります。逆に冬は朝晩の冷え込みが厳しく、防寒着が必須です。

雨季の意外なメリット

11月〜3月の雨季は観光客が少なく、宿泊費も安くなります。雨に濡れた青い壁は艶やかで、晴れた日とは違った美しさがあります。ただし、石畳が滑りやすくなるので歩きやすい靴は必須です。

お土産選びで後悔しないコツ

シャウエンらしいお土産を選ぶなら、青をテーマにしたアイテムがおすすめです。

地元産の青い陶器が狙い目

メディナ内の陶器店で売られている青いタジン鍋や皿は、シャウエンでしか手に入らないデザインです。値段は交渉次第ですが、小皿なら100ディルハム(約1100円)程度から。

意外な穴場は、地元の人が使う日用品店。観光客向けではない素朴な青い食器が、とても安い価格で手に入ります。

シャウエンは、計画通りにいかないからこそ面白い街です。迷子になることを恐れず、青い迷宮に身を任せてみてください。きっと、ガイドブックには載っていない特別な瞬間に出会えるはずです。