バリローチェ観光で私が犯した3つの致命的ミス!アルゼンチンの湖畔都市を120%楽しむ秘訣

チョコレート天国だと思っていたら、実は○○だった?

アルゼンチンのバリローチェと聞いて、真っ先に思い浮かべるのはチョコレートではないでしょうか。確かにミトレ通りには老舗チョコレート店が軒を連ね、甘い香りが街中を包んでいます。でも実際に足を運んでみると、この街の本当の魅力は全く別のところにあることに気づかされます。

パタゴニア地方の玄関口として知られるサン・カルロス・デ・バリローチェは、ナウエル・ウアピ湖のほとりに佇む人口約13万人の都市です。標高約770メートルの高地にあり、アンデス山脈の美しい景観に囲まれています。ブエノスアイレスから飛行機で約2時間、バスなら20時間ほどの距離にあります。

私が最初に犯した大きなミスは、バリローチェを「チョコレートを買って帰るだけの街」だと思い込んでいたことでした。実際には、南米屈指のアドベンチャーツーリズムの拠点として、年間を通じて様々なアクティビティが楽しめる場所だったのです。

夏なのに寒くて震えた私の準備不足

12月のバリローチェ、南半球なので真夏のはずでした。ところが空港に降り立った瞬間、肌寒い風に震え上がりました。これが私の2つ目のミスです。

バリローチェの夏(12月〜2月)の平均気温は最高20度、最低8度程度。昼間は半袖で過ごせても、朝晩はかなり冷え込みます。特に湖畔は風が強く、体感温度はさらに下がります。冬(6月〜8月)になると最高気温10度、最低気温マイナス2度まで下がり、近くのセロ・カテドラルではスキーが楽しめるほどです。

現地の人に聞いたところ、「バリローチェの天気は1日に四季がある」という表現があるそうです。朝は霧に包まれ、昼は晴天、夕方に突然雨が降り、夜は星空が広がる。そんな変化の激しい気候なのです。

防寒着を持参していなかった私は、急遽現地のアウトドアショップで厚手のジャケットを購入する羽目になりました。中心部のミトレ通りやサン・マルティン通りには、パタゴニアブランドの直営店もあり、品質の良いアウトドア用品が手に入ります。

絶景スポットに行けなかった交通手段の落とし穴

3つ目のミス、そして最も後悔しているのが交通手段の準備不足でした。バリローチェの真の魅力は市街地から少し離れた場所にあるのに、それに気づくのが遅すぎたのです。

セロ・カンパナリオへのロープウェイ乗り場まで市街地から約8キロ、セロ・オットへの道のりも車がないとアクセスが困難です。これらの展望台から見るナウエル・ウアピ湖とアンデス山脈の絶景は、まさにバリローチェ観光のハイライトなのです。

市内の移動は主にバスかタクシーに頼ることになります。市バスは1回約50ペソ(約500円)で、主要な観光地へは30分〜1時間程度でアクセス可能です。ただし本数が少なく、特に日曜日は大幅に減便されるため注意が必要です。

レンタカーという選択肢もありますが、アルゼンチンでの運転には国際運転免許証が必要で、山道の運転経験も求められます。現地ツアーに参加するのが最も確実で、半日ツアーなら1人あたり3000〜5000ペソ(約3000〜5000円)程度です。

知られざるバリローチェの隠れた魅力とは?

失敗から学んだ私が発見したのは、バリローチェの意外な一面でした。この街は実は南米のクラフトビール発祥の地として知られているのです。

ドイツ系移民によって持ち込まれたビール文化は、現在もセルベセリア・パタゴニアなどの地ビール工場で受け継がれています。工場見学は平日の午前中に行われ、約1時間のツアーで製造過程を見学後、できたてのビールを試飲できます。入場料は約300ペソ(約300円)です。

もう一つの隠れた名物がトルーチャ(マス)料理です。清流で育ったニジマスやブラウントラウトは、バリローチェの湖や川で釣れる新鮮な魚介類の代表格。レストラン「エル・ボリーチェ・デ・アルベルト」では、炭火で焼いた絶品のトルーチャが味わえます。1皿約1200ペソ(約1200円)で、ボリューム満点です。

実は私、魚料理が苦手だったのですが、ここのトルーチャは全く臭みがなく、ハーブの香りが効いた上品な味でした。バリローチェに来て食べ物の好みまで変わってしまったのは予想外の収穫でした。

チョコレート通りの真実

最後に、やはりバリローチェといえばチョコレートの話は避けて通れません。でも実際に歩いてみると、観光客向けのお店と地元の人が通う老舗では全く質が違うことがわかります。

マムシュカラ・パウラといった有名店は確かに美味しいのですが、地元の人におすすめされたのはチョコラテリア・デル・トゥリスタという小さな工房でした。観光地のど真ん中ではなく、少し奥まった場所にあるこの店では、カカオ豆から手作りする本格的なチョコレートが味わえます。

1キロあたり約2500ペソ(約2500円)と価格は観光地価格ですが、その濃厚な味わいは忘れられません。特にバリローチェ・ビターと呼ばれる70%カカオのダークチョコレートは、地元産のベリー類を使った風味が絶妙でした。

面白いのは、多くのチョコレート店が午後2時から4時まで休憩時間(シエスタ)を取ることです。アルゼンチンの習慣ではありますが、観光地でもこの文化が残っているのは意外でした。

今度行くなら絶対に外せないスポット

失敗を重ねた経験から、次回必ず訪れたいと心に決めた場所があります。それがビクトリア島とミルト・アライアン国立公園です。

ナウエル・ウアピ湖に浮かぶビクトリア島へは、港から船で約30分。往復チケットは約800ペソ(約800円)で、島では原生林の中をハイキングできます。現地ガイドによると、運が良ければ固有種のプドゥ(世界最小の鹿)に出会えるそうです。

船の運航は天候に大きく左右されるため、滞在期間中の天気予報を確認して、晴天の日を狙って行く必要があります。私が滞在した時は3日間連続で強風のため運航中止となり、結局行けずじまいでした。

また、サークイット・チコ(小回り)と呼ばれるドライブコースも見逃せません。バリローチェから出発して、リャオリャオ半島、ロペス湾、カンパナリオ山を巡る約60キロのルートです。レンタカーがあれば半日で回れますが、途中のホテル・リャオリャオでの休憩は必須です。

このホテルは1938年創業の老舗で、湖を望むテラスでのお茶は1人約600ペソ(約600円)。宿泊しなくても利用できるので、絶景を眺めながらの一息は格別です。

バリローチェで学んだ旅の教訓

結局、3泊4日の滞在は準備不足とミスの連続でしたが、だからこそ見えてきたこの街の本当の姿がありました。バリローチェは一度の訪問では到底味わい尽くせない、奥深い魅力を持った街です。

防寒着の準備、交通手段の確保、天候の変化への対応、そして何よりも「チョコレートの街」という先入観を捨てて、アドベンチャーの拠点として捉えることの大切さを学びました。

次回は最低でも1週間は滞在し、季節を変えて訪れてみたいと思っています。きっとまた新しいバリローチェの魅力を発見できるはずです。パタゴニアの玄関口として、この街が多くの冒険家たちを魅了し続ける理由が、今なら少しだけわかる気がします。