ポルト観光で私が犯した3つの致命的ミス|世界遺産の街で学んだ本当の楽しみ方

ポルトガル第二の都市ポルトを訪れた時、私は完全に舐めていました。「リスボンの次だから、まあそれなりでしょう」なんて軽い気持ちで計画を立てたのが大間違い。結果的に3つの大きなミスを犯し、でもそのおかげで本当のポルトの魅力を知ることができたんです。

最初のミス:ドウロ川の絶景を見逃すところだった

ドウロ川とポルトの美しい街並み

到着してすぐ、私は旧市街の教会巡りばかりに気を取られていました。確かにサン・ベント駅の美しいアズレージョ(装飾タイル)は圧巻で、約2万枚のタイルが描くポルトガルの歴史絵巻には1時間近く見入ってしまいました。でも本当にヤバかったのは、危うくドウロ川の河畔を素通りするところだったこと。

現地の人に「リベイラ地区行かないの?もったいない!」と言われて慌てて向かったのが、世界遺産にも登録されているリベイラ地区。ここから見上げるドン・ルイス1世橋の威容と、対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区に並ぶワインセラーの風景は、まさに絵葉書そのもの。入場料などは不要で、好きな時間に散策できるのも嬉しいポイントです。

ケーブルカーで上から眺める贅沢な時間

さらに発見したのが、意外と知られていないフニクラール・ドス・ギンダイスというケーブルカー。料金はたったの2.5ユーロで、急斜面を一気に駆け上がります。上から見下ろすリベイラ地区の赤い屋根の海は、写真では伝わらない立体感があって感動的でした。

2つ目のミス:ポートワインをただの観光気分で飲んでいた

ポートワインセラーの樽が並ぶ風景

ポルトに来たらポートワイン、これは当然の流れですよね。ドウロ川を渡ってヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区のワインセラーに向かったんですが、最初は完全に「観光客気分」でした。

テイラーズやサンデマンといった有名ワイナリーで試飲ツアー(10〜15ユーロ程度)に参加したんですが、ガイドさんの説明を聞いて目から鱗が落ちました。ポートワインって、実は製造過程でブランデーを加えて発酵を止める特殊な酒精強化ワインなんです。だから独特の甘みと深みがあるんですね。

知る人ぞ知る老舗での本格体験

でも本当に感動したのは、地元の人に教えてもらったグラハムズの1890ロッジ。ここは1890年に建てられた歴史ある建物で、樽から直接試飲させてもらえる特別な体験ができます。営業時間は10時から18時で、予約なしでも大丈夫でした。20年もののヴィンテージポートの深い味わいは、正直言って人生観が変わるレベル。

3つ目のミス:教会建築の本当の凄さを理解していなかった

クレリゴス教会の美しい内装

最初は「教会なんてどこも似たようなもの」という失礼極まりない認識でした。でもクレリゴス教会の塔に登った時、その考えは完全に覆されました。

この塔、高さ75メートルもあって、18世紀に建てられた当時はポルト最高の建物だったんです。225段の階段を必死に上がって(入場料5ユーロ)、最上階から見下ろすポルトの街並みは息を呑む美しさ。でも本当に驚いたのは、塔の構造自体が音響効果を計算して作られているということ。

隠れた音響の秘密

実は、クレリゴス教会の鐘の音は、ポルトの街全体に美しく響くように設計されているんです。毎日正午と18時に鐘が鳴るんですが、その音の伝わり方が本当に芸術的。建築家ニコラウ・ナゾーニの計算し尽くされた設計に、改めて人間の創造力の凄さを感じました。

本物のポルト料理って、実は意外なものだった

伝統的なポルト料理フランセジーニャ

グルメ面でも、私は完全に勘違いしていました。ポルトガル料理といえば魚介類のイメージが強かったんですが、ポルト名物のフランセジーニャは、なんとボリューム満点の肉料理サンドイッチ。

パンの間にハム、ソーセージ、ステーキを挟み、上からチーズをかけてオーブンで焼

パンの間にハム、ソーセージ、ステーキを挟み、上からチーズをかけてオーブンで焼き、特製の濃厚なトマトソースをかけた一品。見た目は完全にジャンクフードなんですが、これが驚くほど美味しいんです。

老舗のカフェ・サンチアゴ(営業時間12時〜2時、6時〜深夜2時)で食べたフランセジーニャは、一人前で8ユーロほど。ボリュームがすごくて、正直一人では食べきれませんでした。でも地元の人たちが愛してやまない理由がよく分かります。

意外と知られていないタコ料理の名店

さらに発見だったのが、ポルヴォ・ア・ラガレイロというタコ料理。これは観光地化されたレストランではなかなか出会えない、真の地元料理です。小さな家族経営の食堂で食べたこの料理は、オリーブオイルとニンニクでシンプルに調理されたタコに、ゆでたジャガイモが添えられただけ。でも素材の味が生きていて、ワインとの相性も抜群でした。

最後に気づいた、ポルトの本当の魅力とは?

夕暮れ時のポルトの街並み

3日間の滞在を終えて分かったのは、ポルトの魅力は「完璧じゃないところ」にあるということでした。リスボンのような洗練された観光都市ではなく、もっと生活感があって、人間臭い。

例えば、旧市街の石畳は歩きにくいし、急な坂道ばかりで体力を消耗します。でもその不便さが、逆に歴史の重みを肌で感じさせてくれるんです。アルマス教会の外壁に描かれた1万1千枚のアズレージョも、よく見ると一枚一枚微妙に色合いが違っていて、職人の手仕事の温かみが伝わってきます。

夕暮れ時の魔法的な瞬間

特に忘れられないのは、最終日の夕暮れ時。ドン・ルイス1世橋の上から見た夕日が、ドウロ川面に反射してオレンジ色に輝く瞬間でした。観光客も地元の人も関係なく、みんなが足を止めてその美しさに見入っていました。

結果的に、3つのミスのおかげで、ガイドブックには載っていないポルトの真の姿を知ることができました。完璧な計画を立てすぎず、現地の人との会話を大切にし、予定外の発見を楽しむ。それこそが、ポルト観光の醍醐味なのかもしれません。

次回ポルトを訪れる時は、今度こそ最初から「ミス」を恐れずに、もっと自由に街を歩き回ってみたいと思います。きっと、また新しい発見が待っているはずですから。