なぜ天津が「通好み」の観光地と呼ばれるのか?
北京から高速鉄道でわずか30分。多くの観光客が素通りしてしまう天津ですが、実はこの港町には中国の他の都市では味わえない独特の魅力が詰まっています。租界時代の面影を残す西洋建築群、地元民しか知らない絶品グルメ、そして観光地化されていない生の中国文化。天津は「知る人ぞ知る」観光地として、近年じわじわと注目を集めています。
天津市の人口は約1,500万人で、中国四大直轄市の一つ。しかし観光地としては北京や上海の陰に隠れがちです。だからこそ、ここには本当の中国の日常が残っているのです。
五大道で迷子になりたくなる?異国情緒あふれる建築群の正体
天津観光のハイライトといえば五大道(ウーダーダオ)。ここは19世紀後半から20世紀前半にかけて、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアの租界があった場所です。現在も約2,000棟の洋風建築が残り、まるでヨーロッパの街角を歩いているような錯覚に陥ります。
特に民園西里は必見スポット。1920年代の建築をリノベーションしたおしゃれなカフェや雑貨店が並び、若者たちの憩いの場となっています。入場料は無料で、24時間散策可能です。ただし夜間は照明が少ないので、日中の散策がおすすめです。
意外な事実をお教えしましょう。五大道の建築群の中には、かつて中国最後の皇帝・溥儀が住んでいた静園があります。現在は博物館として公開されており(入場料20元、営業時間9:00-17:00)、皇帝の私生活を垣間見ることができる貴重な場所です。
古文化街は本当に「古い」のか?観光地の真実
古文化街は天津観光の定番スポットですが、実は1985年に復元された比較的新しい観光地です。しかし、ここで体験できる伝統文化は本物。特に楊柳青年画の実演販売は見逃せません。
この年画は明代から続く天津の伝統工芸で、鮮やかな色彩と縁起の良いモチーフが特徴です。職人さんが実際に制作している様子を見学でき、購入も可能(小さなものなら50元程度から)。お土産としても喜ばれること間違いなしです。
古文化街のもう一つの名物が天后宮。海の女神・媽祖を祀る廟で、天津が港町として栄えた歴史を物語っています。参拝は無料で、線香代として10元程度のお布施が一般的です。
天津グルメの本当の主役は「朝食」だった?
天津の食文化を語る上で外せないのが煎餅果子(ジェンビングオズ)。中国全土で愛されるこの朝食メニューですが、実は天津が発祥の地なのです。地元の人たちは「本場の味は天津でしか食べられない」と自負しています。
早朝6時頃から街角の屋台で作られる煎餅果子は、薄いクレープ生地に卵を落とし、揚げパンやクラッカーを包んで特製ソースで味付けしたもの。一つ6-8元と格安で、ボリューム満点です。
もう一つの名物が狗不理包子(ゴウブリーバオズ)。150年以上の歴史を持つ老舗の肉まんで、皮が薄くて具がたっぷり。本店は和平区山東路にあり、1個15元程度です。ただし観光地価格なので、地元の人は近所の包子店を利用することが多いのも事実です。
意外と知らない天津アクセス術と注意点
北京から天津へのアクセスは京津城際鉄道が便利。北京南駅から天津駅まで約30分、料金は54.5元(二等席)です。1日100本以上運行しているので、思い立ったらすぐ行けるのが魅力です。
天津市内の移動は地下鉄が便利。現在6路線が運行しており、主要観光地はほぼカバーしています。1日券(35元)を購入すれば、効率よく観光できます。
注意点として、天津は海に近いため湿度が高く、夏場は北京より蒸し暑く感じます。また、租界時代の石畳が残るエリアでは、歩きやすい靴を履くことをおすすめします。
天津観光の所要時間は日帰りでも十分楽しめますが、できれば1泊2日でじっくり街歩きを楽しんでください。北京の喧騒から離れ、ゆったりとした時間の流れる天津で、中国の別の顔を発見してみませんか?