なぜ私はここで予算オーバーしてしまったのか?
ゴルフ歴10年の私が、まさかマレーシアのゴルフ場で予算を大幅にオーバーしてしまうとは思いませんでした。クアラルンプールから車で約1時間の距離にあるサマセット・ヒルズ ゴルフクラブ。最初は「東南アジアだから安いでしょ」と軽い気持ちで予約したのですが、これが大間違い。でも結果的には、人生で最も印象深いゴルフ体験になったんです。
平日のグリーンフィーは約300リンギット(約9,000円)、週末は400リンギット(約12,000円)と、マレーシアの物価を考えると決して安くありません。しかし、実際にコースに出てみて、その理由がすぐに分かりました。ここは単なるゴルフ場ではなく、まるでリゾート施設のような贅沢さなのです。
朝7時スタート、でも既に汗だく?
マレーシアでゴルフをする際の鉄則は早朝スタートです。私は朝7時にティーオフしましたが、それでも既に気温は28度。湿度も80%を超えていて、1番ホールを回る頃には汗でシャツがべっとりでした。
ここで初心者の方に伝えたいのは、着替えを最低でも2セット持参することの重要性です。クラブハウスには立派なロッカールームがありますが、タオルの貸し出しは有料(20リンギット)。現地の常連プレーヤーたちは皆、大きなスポーツタオルを複数枚持参していました。
午前11時を過ぎると日差しが本当に厳しくなります。サンスクリーンは必需品ですが、汗で流れやすいので2時間おきの塗り直しが欠かせません。
コース設計の巧妙な罠に気をつけて
サマセット・ヒルズの18ホールは、一見フラットで簡単そうに見えるのですが、これが大きな罠です。設計者は非常に巧妙で、見た目以上に戦略性が高いコースに仕上げています。
特に印象に残ったのは13番パー4。ティーグラウンドからは真っ直ぐなフェアウェイが見えますが、実際には微妙な傾斜があり、セカンドショットでピンが見えにくい設計になっています。現地のキャディさんに「このホールは騙されやすい」と教えてもらい、実際に多くのプレーヤーがバンカーにつかまっていました。
池やバンカーの配置も絶妙で、攻めすぎると必ず痛い目に遭います。私も調子に乗って攻めた結果、ウォーターハザードで3打も無駄にしました。保守的に行く勇気も必要なコースです。
キャディさんとのコミュニケーション術
サマセット・ヒルズでは、キャディフィーが別途80リンギット(約2,400円)かかります。これも予算オーバーの要因の一つでしたが、結果的には付けて正解でした。
私についてくれたのは、キャディ歴15年のリナさん。英語は片言でしたが、ゴルフに関する知識は豊富で、特にグリーンの読みが抜群に上手でした。彼女のアドバイス通りにパットしたところ、普段なら外していたような微妙なラインも決まるようになったのです。
コミュニケーションのコツは、難しい英語を使わないこと。「Up hill(上り坂)」「Down hill(下り坂)」「Left(左)」「Right(右)」という基本的な単語で十分通じます。また、距離を聞く時は「How many meters?」と聞けば、正確な数字を教えてくれます。
クラブハウスの意外な贅沢さ
ラウンド後のクラブハウスで、私はさらに驚かされました。レストランのメニューを見ると、まるで高級ホテル並みの価格設定。ナシゴレン一皿が45リンギット(約1,350円)、ビール一杯が25リンギット(約750円)と、クアラルンプール市内の倍近い値段です。
しかし、料理の質は文句なし。特に「サマセット特製チキンライス」(50リンギット)は絶品でした。普通のチキンライスとは全く違う、スパイシーなソースが効いた洗練された味で、ゴルフ場のレストランレベルを完全に超えています。
シャワールームも想像以上に豪華で、アメニティも充実。バスタオルやシャンプー、ボディソープは全て無料で使えます。ただし、ロッカー使用料として20リンギットが別途必要なので、事前に現金を準備しておきましょう。
隠された地元プレーヤーたちの秘密
クラブハウスで興味深い光景を目にしました。地元の常連プレーヤーたちは、レストランではなく持参したお弁当を屋外テラスで食べているのです。実はこれ、マレーシアのゴルフ文化では一般的なこと。高額なレストラン料金を避けつつ、仲間との時間を楽しむ知恵なのです。
さらに驚いたのは、彼らの多くが午後2時頃から「セカンドラウンド」を始めること。平日であれば追加料金150リンギットで18ホール追加できるシステムがあり、真のゴルフ愛好家たちはこれを活用していました。ただし、午後の暑さは本当に厳しいので、体力に自信のない方にはお勧めしません。
アクセスと予約の現実的なアドバイス
サマセット・ヒルズへは、クアラルンプール国際空港から車で約45分、市内中心部からは1時間程度です。公共交通機関でのアクセスは現実的ではないため、タクシーまたはレンタカーが必須です。
予約は公式ウェブサイトまたは電話で可能ですが、週末は2週間前には満席になることが多いです。特に乾季(6月〜8月)は人気が高く、平日でも1週間前の予約が安全です。
私が犯した最大のミスは、マレーシアリンギットの現金を十分に準備していなかったこと。キャディフィーやロッカー代、チップなど、現金支払いが必要な場面が多く、クレジットカードだけでは対応できませんでした。最低でも300リンギット程度の現金は用意しておくべきです。
実際にかかった総費用の内訳
私の場合、平日プレーで以下の費用がかかりました:
グリーンフィー300リンギット、キャディフィー80リンギット、ロッカー代20リンギット、昼食50リンギット、ドリンク代30リンギット、チップ20リンギット、交通費往復100リンギット。合計600リンギット(約18,000円)と、当初予算の倍になってしまいました。
しかし、この体験は間違いなく価値がありました。東南アジアでこれほど質の高いゴルフ施設を体験できるのは貴重です。予算に余裕のある方なら、マレーシア旅行の際にはぜひ検討してみてください。ただし、私のような予算オーバーを避けるため、事前の準備と心構えだけは忘れずに。