済州島の隠れた宝石、ナイン・ブリッジス ゴルフクラブって何がすごいの?
韓国・済州島にあるナイン・ブリッジス ゴルフクラブは、世界のゴルフ愛好家から「一生に一度は必ずプレーしたいコース」と称される特別な場所です。CJグループ会長が設立したこのコースは、2001年の開場以来、その美しさと戦略性で数々の国際大会を開催してきました。
私が初めてここを訪れたとき、まず驚いたのはエントランスから漂う高級感でした。済州島の西帰浦市に位置するこのクラブは、単なるゴルフ場ではなく、まるで美術館のような洗練された空間が広がっています。グリーンフィーは平日で約15万円、休日は20万円を超えますが、その価値は実際にプレーしてみると納得できるものでした。
世界トップデザイナーが手がけた「芸術品」のようなコース設計
コース設計を手がけたのは、世界的に有名なゴルフコース設計家デイビッド・デール氏です。彼が済州島の自然地形を最大限に活かして作り上げた18ホールは、まさに「戦略的な美」と呼ぶにふさわしいものでした。
特に印象的だったのは、16番ホールの「シグネチャーホール」です。打ち下ろしのパー3で、グリーン周りには美しい池が配置されています。風向きと距離感を間違えると、確実に池ポチャしてしまう難しさがありますが、成功したときの爽快感は格別です。私も最初のラウンドでは見事に池に沈めてしまい、キャディさんに苦笑いされました。
各ホールには済州島の方言で名前が付けられており、地元文化への敬意も感じられます。コース全体の距離は7,200ヤードと長めで、上級者でも十分に挑戦しがいのある設計になっています。
プレー当日の緊張感、想像以上だった「おもてなし」の質
朝8時、クラブハウスに到着すると、まるで高級ホテルのようなもてなしが待っていました。韓国語が話せない私でも、スタッフは流暢な英語と日本語で対応してくれます。ロッカールームの設備も圧巻で、シューズクリーニングサービスや高級アメニティが完備されています。
キャディさんは全員女性で、コースの特徴を熟知しているプロフェッショナルです。私のキャディを務めてくれたキムさんは、「ここは風が急に変わるから、旗の動きをよく見て」と的確なアドバイスをくれました。実際、済州島特有の海風がコースに大きな影響を与えるため、地元の知識なしには攻略は困難です。
朝食は軽めのサンドイッチとコーヒーをクラブハウスで済ませ、いよいよスタートです。1番ティーに立った瞬間、美しく手入れされたフェアウェイと、遠くに見える済州島の山々に息を呑みました。
実際にプレーしてみて分かった「本当の難しさ」
美しさに見とれている場合ではありませんでした。ナイン・ブリッジスの本当の顔は、プレーが始まってから徐々に姿を現します。戦略的に配置されたバンカーとウォーターハザードが、甘いショットを容赦なく罰してきます。
特に苦労したのは、グリーンの速さと傾斜です。スティンプメーターで11フィート以上の高速グリーンは、少しでも強く打つとカップを大きくオーバーしてしまいます。私は前半で3パット連発し、キャディさんに「もっとゆっくり打って」と何度も注意されました。
しかし、難しさの中にも公平さがあります。無理な設計ではなく、正確なショットと戦略的な思考があれば、必ずスコアメイクのチャンスが用意されています。13番ホールのパー5では、2オンを狙えるレイアウトになっており、リスクとリターンのバランスが絶妙です。
隠された魅力、アフターゴルフの極上時間
ラウンド後のクラブハウスでの時間も、ナイン・ブリッジスの大きな魅力の一つです。レストランでは韓牛のステーキと新鮮な海鮮料理が楽しめ、済州島産の地酒も豊富に揃っています。
意外だったのは、クラブハウス内にあるアートギャラリーです。韓国の現代美術作品が展示されており、ゴルフだけでない文化的な体験ができます。また、プロショップでは限定品のナイン・ブリッジスオリジナルグッズが販売されており、特にコース限定のボールマーカーは記念品として人気です。
ここで知ったマニアックな情報ですが、実はナイン・ブリッジスには「隠れた19番ホール」が存在します。これは練習用のショートホールで、会員やVIPゲストのみが利用できる特別なスペースです。夕日が美しい時間帯に、ここで最後の一打を楽しむのが、通の楽しみ方だそうです。
アクセスと予約の現実、知っておくべき注意点
済州国際空港からクラブまでは車で約45分、タクシー料金は片道約3万ウォン(約3,000円)です。レンタカーでのアクセスも可能ですが、韓国での運転に不安がある方はクラブの送迎サービス(有料)を利用することをおすすめします。
予約については、最低でも1ヶ月前の事前予約が必須です。特に春と秋のベストシーズンは、2ヶ月前でも希望日が取れないことがあります。また、ドレスコードは厳格で、ジーンズやTシャツでの入場は認められません。男性はカラーシャツとスラックス、女性はゴルフウェアの着用が義務付けられています。
プレー時間は約5時間と長めです。これは各ホールでの撮影時間や、コースの戦略性を楽しむための配慮でもあります。急いでプレーするよりも、この特別な時間を存分に味わうことが大切だと感じました。
本当に行く価値はあるの?正直な感想
正直に言うと、グリーンフィーの高さには最初躊躇しました。しかし、実際にプレーしてみると、その価値を十分に理解できました。世界レベルのコース設計、完璧な芝の管理、一流のサービス、これらすべてが組み合わさった体験は、他では得られないものです。
特に印象的だったのは、スタッフ全員がゴルフを心から愛していることが伝わってきた点です。単なる仕事としてではなく、誇りを持ってコースを管理し、ゲストをもてなしている姿勢が随所に感じられました。
ただし、初心者の方には正直おすすめしません。ハンディキャップが20以上の方は、まず他のコースで経験を積んでから挑戦することをおすすめします。このコースの真の魅力を理解するには、ある程度のゴルフ経験と技術が必要です。
最終的に、私のスコアは85でした。普段より10打も悪いスコアでしたが、それでも大満足の一日でした。美しい景色、戦略的なコース設計、そして最高級のサービス。これらすべてが組み合わさったナイン・ブリッジスでの体験は、間違いなく私のゴルフ人生において特別な思い出となりました。
済州島を訪れる際は、観光だけでなく、この世界レベルのゴルフコースでの挑戦も検討してみてください。きっと、新しいゴルフの魅力を発見できるはずです。