マル・デル・プラタって実は冬が狙い目なんです
アルゼンチンのマル・デル・プラタといえば、ブエノスアイレスから約400キロ南に位置する南米屈指のビーチリゾートとして有名ですよね。でも実は、みんなが避けがちな冬(6月〜8月)こそが、この街の本当の魅力を味わえる絶好のタイミングなんです。
夏のシーズン中は観光客で溢れかえり、ホテル代は3倍以上に跳ね上がります。ところが冬になると、まるで別の街のように静寂に包まれ、地元の人たちとじっくり交流できる機会が生まれるんです。気温は10度前後と涼しいものの、カジノやタンゴショー、美術館といった屋内アトラクションが充実しているため、退屈することは全くありません。
アシカが主役?プンタ・モゴテスの驚きの光景
マル・デル・プラタの南端にあるプンタ・モゴテス(Punta Mogotes)は、多くのガイドブックで「灯台がある景勝地」程度にしか紹介されていませんが、実際に足を運んでみると度肝を抜かれます。岩場に数百頭のアシカがひしめき合って日光浴している光景は、まさに圧巻の一言。
特に午前中の10時から12時頃が狙い目で、アシカたちが最も活発に動き回ります。中心部からバス158番で約30分、運賃は50ペソ程度です。灯台の入場料は無料ですが、アシカの観察ポイントまでは徒歩で15分ほど岩場を歩く必要があるため、滑りにくい靴は必須です。
ここで一つ意外な事実をお教えしましょう。このアシカたち、実は地元の漁師たちとは「共存関係」にあるんです。漁師が魚を取る際に出る残骸をアシカが片付け、その代わりアシカの存在が観光客を呼んで地域経済を潤している、という絶妙なバランスが保たれています。
カジノの街って知ってました?セントラル・カジノの夜
「ビーチリゾート」のイメージが強いマル・デル・プラタですが、実は南米有数のカジノタウンでもあるんです。特に中心部にあるセントラル・カジノは、1939年開業の老舗で、アルゼンチン上流階級の社交場として長年愛され続けています。
カジノは午前10時から翌朝4時まで営業しており、入場料は無料。ただし、パスポートの提示が必要で、18歳未満は入場できません。興味深いのは、このカジノの利益の一部が市の観光インフラ整備に充てられているということ。つまり、観光客がカジノで遊ぶお金が、間接的にマル・デル・プラタの美しい街並み維持に貢献しているわけです。
カジノ内のレストラン「Restaurante del Casino」では、地元産の新鮮なシーフードを使った料理を楽しめます。特にアルゼンチン産ワインとのペアリングは絶品で、メインディッシュは1500〜2500ペソ程度です。
路面電車が走ってた?トロリーバスの面影を探して
現在のマル・デル・プラタを歩いていると、時々道路に不思議な金属製のレールのようなものを見つけることがあります。実はこれ、1963年まで市内を走っていたトロリーバスの架線を支えていた設備の名残なんです。
当時のマル・デル・プラタは、電気で走るトロリーバスが縦横無尽に街を駆け回る、まさに「未来都市」でした。しかし観光客の増加とともに道路渋滞が深刻化し、より機動性の高い通常のバスに置き換えられることになったのです。今でも旧市街のサン・マルティン通りを歩けば、建物の壁に埋め込まれた古い架線用の金具を発見できます。
地元の人に「トロリーバスの話を知ってる?」と聞けば、きっと懐かしそうな表情で当時の思い出を語ってくれるはず。こんな小さな発見が、旅の記憶をより深いものにしてくれるんです。
冬こそ美味しい!地元漁師直伝のマリスコス体験
マル・デル・プラタの漁港エリアにあるプエルト地区では、観光シーズンを外れた冬の時期だからこそ味わえる特別な体験があります。それが地元漁師たちと一緒に楽しむ「マリスコス(海の幸)」の朝市です。
毎朝6時頃から始まるこの市では、メルルーサ(メルーサ)、ランゴスティーノ(小エビ)、カラマール(イカ)といった新鮮な魚介類を、市価の半額以下で購入できます。さらに嬉しいのは、漁師のおじさんたちが「どう調理するのが一番美味しいか」を熱心に教えてくれること。
特に冬場のメルルーサは脂が乗って絶品で、1キロあたり300ペソ程度で手に入ります。港から徒歩5分の場所にあるレストラン・マレアでは、「持ち込み調理サービス」を行っており、調理代200ペソを払えば、自分で買った魚を絶妙な味付けで料理してもらえるんです。
地元の人たちは「冬のマル・デル・プラタの魚は、夏の3倍美味しい」と口を揃えて言います。これは、観光客向けの冷凍品ではなく、真に新鮮な魚介類が手に入るからなのです。
帰る前に知っておきたい!ブエノスアイレスへの帰路のコツ
マル・デル・プラタからブエノスアイレスへの帰路は、多くの旅行者が頭を悩ませるポイントです。バスでの移動が一般的ですが、実は曜日と時間帯によって料金が大きく変わることをご存知でしょうか。
平日の昼間便なら片道1500ペソ程度ですが、金曜夜や日曜夕方の便は3000ペソ近くに跳ね上がります。狙い目は火曜日から木曜日の午前中発の便で、所要時間約5時間30分の快適な旅を格安で楽しめます。
バス会社は「Via Bariloche」「Plusmar」「Chevallier」の3社が主流で、中でもPlusmarのVIPシートは追加料金500ペソで座席が180度リクライニングできる優れもの。長距離移動の疲れを最小限に抑えてくれます。
最後に一つ、現地の人だけが知る裏技をお教えしましょう。マル・デル・プラタのバスターミナルには「Sala VIP」という有料ラウンジ(200ペソ)があり、ここではWi-Fi完備の快適な空間で出発時間まで過ごせるだけでなく、無料のコーヒーとマテ茶のサービスもあるんです。旅の疲れを癒しながら、最後までアルゼンチンの味を堪能してください。