オーストラリアのゴルフコースで「カンガルーが乱入」した時の対処法を現地で学んできた話

シドニーがあるニューサウスウェールズ州でのゴルフは、単なるスポーツ以上の体験でした。美しい海岸線から内陸の山間部まで、多彩な景観の中でプレーできるコースが点在しています。でも実際にラウンドしてみると、日本では絶対に経験できない「野生動物との遭遇」という予想外の展開が待っていたんです。

シドニー近郊の名門コースで感じた格の違いとは?

ニューサウスウェールズ州のゴルフコース風景

まず向かったのは、シドニー中心部から車で約40分のニューサウスウェールズ・ゴルフクラブです。1928年創設の老舗コースで、グリーンフィーは平日180豪ドル(約18,000円)、週末は220豪ドル(約22,000円)という設定。朝7時からプレー可能で、18ホール回るのに約4時間30分かかりました。

このコースの特徴は、なんといっても太平洋を一望できる海沿いのホール。特に14番パー3は、断崖絶壁から青い海に向かって打ち下ろす絶景ホールで、写真を撮る手が止まりませんでした。風が強い日は番手選択が難しく、現地のキャディさんに「海風は思っているより強いから、ワンクラブ上げて」とアドバイスをもらったのが印象的です。

カンガルーがフェアウェイに!?実際に遭遇した時の対処法

ゴルフコースでのプレー風景

内陸部のリッチモンド・ゴルフクラブで、ついにその瞬間は訪れました。7番ホールのフェアウェイ真ん中に、体長1メートルを超える大きなカンガルーがのんびりと草を食べているじゃありませんか。最初は「まさか作り物?」と思いましたが、耳をピクピク動かしている様子を見て本物だと確信。

現地ゴルファーによると、対処法は意外にもシンプル。「大きな音を立てず、ゆっくりとカートで近づき、クラクションを軽く鳴らす」のが基本だそうです。カンガルーは基本的に人を恐れるので、音に気づくと跳ねながら林の方へ移動していきます。ただし、子連れの場合は警戒心が強いため、距離を保って待つのが鉄則。

実際に遭遇したカンガルーは、クラクション一回で優雅に跳んで行きました。その時の跳躍力は圧巻で、一跳びで約3メートルは移動していたと思います。

ブルーマウンテンズの高原コースで味わった絶景プレー

山間部のゴルフコースの美しい景色

シドニーから西へ車で約2時間、世界遺産にも登録されているブルーマウンテンズ地域のレオラ・ゴルフクラブは、標高約1,000メートルの高原に位置する18ホールのコースです。グリーンフィーは平日120豪ドル(約12,000円)と、シドニー近郊より手頃な価格設定。

ここでの最大の魅力はユーカリの森に囲まれた幻想的な雰囲気です。朝の時間帯には霧がかかることも多く、まるで雲の上でプレーしているような感覚になります。空気が澄んでいるため、ボールの飛距離も平地より約10ヤード伸びる印象でした。

面白いのは、このコースにはコアラの生息地が隣接していること。プレー中にユーカリの木を見上げると、運が良ければコアラの姿を発見できます。私は残念ながら見つけられませんでしたが、同伴者が16番ホール付近で寝ているコアラを発見し、大興奮でした。

現地のゴルフ文化で驚いた「アフターゴルフ」の過ごし方

ゴルフクラブハウスでのひととき

オーストラリアのゴルフの特徴の一つが、プレー後のクラブハウスでの時間を大切にする文化です。ほとんどのコースでビールが1杯5豪ドル(約500円)程度で飲め、地元の人たちと自然に会話が弾みます。

特に印象的だったのは、初対面にも関わらず「今日のプレーはどうだった?」「あのホールは難しかっただろう?」と気さくに話しかけてくれること。日本のような遠慮がちな雰囲気はなく、ゴルフの話で盛り上がることができました。

また、多くのクラブハウスでは「パブスタイルの食事」が楽しめます。特にフィッシュアンドチップスやミートパイなどのオージー定番メニューが15~20豪ドル(1,500~2,000円)で味わえ、プレーの疲れを癒すのにぴったりでした。

意外と知られていない?現地ゴルファーが教えてくれた「季節選び」の極意

オーストラリアのゴルフ場での季節の風景

現地のベテランゴルファーから聞いた話では、3月から5月の秋シーズンが最もプレーに適しているとのこと。日本とは季節が逆なので、ついつい夏(12月~2月)を選びがちですが、実は夏は40度を超える猛暑日が多く、午後のプレーは体力的にかなりキツイそうです。

秋の時期なら気温は20~25度と快適で、しかも観光客が少ないため予約も取りやすく、料金も夏場より10~15%安くなります。私が訪れたのは4月でしたが、朝の涼しさと昼間の暖かさのバランスが絶妙で、18ホール回っても疲労感が少なかったのが印象的でした。

プレー前に知っておきたい「オージールール」と注意点

オーストラリアのゴルフには、日本と異なる独特のマナーがあります。まず「スロープレー厳禁」の文化が徹底されており、前の組に追いつきそうになったら必ず先に行かせる「スルー」が当たり前。日本のように遠慮して待つ必要はありません。

また、ドレスコードも日本ほど厳格ではありませんが、襟付きシャツとゴルフシューズは必須。短パンも膝上5センチ以内なら問題なく、むしろ暑い日は推奨されます。帽子も紫外線対策として着用が強く勧められており、現地のプロショップでは日本では見かけないツバの広いハットタイプが人気でした。

意外だったのは、カートにクーラーボックスを持ち込むのが一般的なこと。途中のコンビニでビールや軽食を購入してカートに積み、プレー中に水分補給するスタイルが定着しています。ただし、アルコールを禁止しているコースもあるので、事前確認は必要です。

帰国後も忘れられない「オーストラリアゴルフ」の魅力

ニューサウスウェールズでのゴルフ体験は、単なるスポーツを超えた冒険でした。野生動物との遭遇、息をのむような絶景、そして現地の人々との温かい交流。これらすべてが組み合わさって、忘れられない思い出となっています。

特に印象深かったのは、ゴルフを通じて感じたオーストラリアの大自然の雄大さです。日本の美しく整備されたコースも素晴らしいですが、オーストラリアの野性味あふれる自然の中でのプレーは、ゴルフの原点を思い出させてくれました。

費用面では、グリーンフィー、食事、交通費を合わせて1日当たり約300豪ドル(30,000円)程度。決して安くはありませんが、この体験は十分にその価値があったと断言できます。次回は冬の時期(6月~8月)に訪れて、また違った表情のオーストラリアゴルフを楽しんでみたいと考えています。