サルヴァドール・デ・バイーアで絶対に迷子になる理由と、それでも行くべき感動の瞬間

石畳の迷路で道を見失うのは当然?

サルヴァドール旧市街の石畳の街並み

サルヴァドール・デ・バイーアの旧市街を歩いていると、必ずといっていいほど道に迷います。これは決してあなたの方向感覚が悪いわけではありません。16世紀から続くペロウリーニョ地区は、まるで迷路のように入り組んだ石畳の道が複雑に絡み合っているからです。

実際に歩いてみると、同じような色合いのコロニアル建築が並び、どの角を曲がったのかわからなくなってしまいます。地図を見ても、GPS も石造りの建物に囲まれると正確に働かないことがよくあります。でも、この迷子体験こそが、サルヴァドールの魅力なのです。

迷いながら歩いていると、観光ガイドブックには載っていない小さな教会や、地元の人だけが知っている隠れ家的なカフェに出会えます。営業時間は店によってまちまちですが、多くのカフェは午前8時頃から夕方まで開いています

アフリカ文化が息づく街角で感じる違和感?

アフリカ系ブラジル人による伝統的な踊りの様子

サルヴァドールを歩いていると、ここが本当にブラジルなのかと疑問に思う瞬間があります。街のあちこちから聞こえてくる太鼓の音、カポエイラの掛け声、そして色とりどりの民族衣装を着た人々。これらはすべて、この街に根強く残るアフリカ文化の影響です。

特に驚くのはカンドンブレという宗教儀式です。アフリカから奴隷として連れてこられた人々が、キリスト教の聖人の名前を借りて自分たちの神々を祀り続けた結果生まれた独特な宗教です。夜になると、どこからともなく太鼓の音が響き、神憑り状態になった信者たちが踊り狂う光景を目にすることがあります。

ペロウリーニョ広場では、毎週火曜日の夜にカポエイラの実演が行われ、参加費は無料です。ただし、夜の一人歩きは避け、貴重品の管理には十分注意してください。

絶対に食べるべき料理で胃袋が驚く理由

アカラジェなどバイーア料理の屋台

サルヴァドールの食文化は、他のブラジル都市とは全く異なります。ここではアカラジェという揚げ物が街角の至る所で売られています。黒目豆をすりつぶして作った生地を、デンデ油という真っ赤なパーム油で揚げ、中にエビや野菜を詰めた料理です。

初めて食べる人は、その独特な味に戸惑うかもしれません。デンデ油の風味は日本人には馴染みがなく、少し癖があります。しかし、これこそがバイーア州の伝統的な味なのです。1個あたり5〜8レアル(約100〜160円)で、午後から夜にかけて街角の屋台で購入できます。

意外なことに、この料理は西アフリカのアカラという料理がルーツで、奴隷制度時代にブラジルに持ち込まれました。現在でも、アカラジェを作るのは主にアフリカ系ブラジル人女性で、彼女たちはバイアーナと呼ばれ、白い民族衣装を身にまとって調理しています。

教会巡りで発見する隠された歴史の真実?

サン・フランシスコ教会の黄金の内装

サルヴァドールには365の教会があると言われていますが、その中でもサン・フランシスコ教会は別格です。一歩足を踏み入れると、目がくらむほどの金箔装飾に圧倒されます。壁から天井まで、すべてが金で覆われているのです。

しかし、この美しさの裏には重い歴史があります。これらの金は、ポルトガル植民地時代にアフリカから強制連行された奴隷たちによって採掘され、運ばれたものです。教会の美しさを眺めながら、同時にその複雑な歴史背景を考えると、複雑な気持ちになります。

入場料は15レアル(約300円)で、開館時間は午前8時から午後5時までです。特に午後の光が差し込む時間帯は、金箔が美しく輝いて見えるのでおすすめです。

興味深いことに、教会の地下には秘密の部屋があり、そこでは奴隷たちが密かにアフリカの神々を祀っていたという説があります。公式には認められていませんが、地元の研究者の間では有名な話です。

夕暮れ時に体験する魔法のような瞬間

夕暮れ時のトドス・オス・オス・サントス湾の夕日

サルヴァドールで最も感動的な体験は、トドス・オス・サントス湾で迎える夕暮れです。旧市街の高台から見下ろすこの湾は、夕日が沈む時間になると、まるで絵画のような美しさを見せてくれます。

午後6時頃になると、地元の人々も仕事を終えて展望台に集まってきます。観光客だけでなく、カップルや家族連れ、一人でギターを弾く青年など、様々な人々が同じ夕日を眺めています。この瞬間、言語や文化の壁を超えて、みんなが同じ美しさを共有しているのを感じられます。

特にラセルダ・エレベーターの上部にある展望台からの眺めは格別です。このエレベーターは1873年に建設された歴史ある昇降機で、上下の街を結ぶ重要な交通手段です。乗車料金はわずか0.15レアル(約3円)という安さで、24時間運行しています。

帰国後も心に残る、忘れられない記憶

サルヴァドールを訪れた人々が口を揃えて言うのは、「他の場所では味わえない特別な体験だった」ということです。確かに治安面での注意は必要で、夜間の一人歩きや貴重品の管理など、気を付けるべき点は多くあります。しかし、それを上回る魅力がこの街には詰まっています。

迷子になりながらも発見した小さな教会、初めて食べたアカラジェの味、カポエイラの力強い動き、そして何より、アフリカとヨーロッパ、先住民の文化が混じり合って生まれた独特な雰囲気。これらすべてが組み合わさって、サルヴァドールでしか体験できない特別な旅の思い出となります。

サンパウロから飛行機で約2時間、リオデジャネイロからは約1時間半でアクセス可能です。ブラジルの他の大都市とは全く違う表情を見せてくれるこの街で、あなたも必ず道に迷いながら、忘れられない発見をすることでしょう。