ブラジルというとリオデジャネイロやサンパウロを思い浮かべる人が多いですが、実は東北部のレシフェこそが「真のブラジル文化」に出会える穴場なんです。私も最初は半信半疑でしたが、一度訪れてからすっかりレシフェの虜になってしまいました。ただし、この街には観光客が陥りやすい落とし穴がいくつかあります。
レシフェってどんな街?想像以上にヨーロッパっぽい理由
レシフェはブラジル北東部ペルナンブーコ州の州都で、人口約160万人の大都市です。「ブラジルのベニス」と呼ばれる理由は、市内を流れる3つの川と無数の橋にあります。16世紀にオランダ人が築いた運河都市の名残りで、実際に街を歩くとヨーロッパの古都のような雰囲気に包まれます。
空港から市内中心部までは約20分、タクシーで約30レアル(日本円で約900円)という好アクセス。ブラジル国内からの便数も多く、サンパウロから約2時間30分のフライトです。意外にも交通の便が良いのがレシフェの魅力の一つなんです。
ここで最初の落とし穴:多くの観光客がレシフェ旧市街だけを見て帰ってしまうこと。確かにレシフェ・アンティゴ(旧市街)は美しいですが、本当の魅力は隣接するオリンダ市との組み合わせにあります。
オリンダを見ずしてレシフェは語れない?
レシフェから北へ約6キロ、バスで30分ほどの場所にあるオリンダは、ユネスコ世界文化遺産に登録された植民地時代の街並みが残る宝石のような場所です。標高約120メートルの丘の上に建つカラフルな家々は、まさに絵葉書の世界そのもの。
特にアルト・ダ・セ教会からの眺めは圧巻で、レシフェの高層ビル群とオリンダの古い街並みが一望できます。入場料は無料で、朝8時から夕方5時まで開いています。ただし、午後の強い日差しを避けたいなら、朝10時頃の訪問がおすすめです。
ここで二つ目の落とし穴:オリンダの坂道を甘く見てはいけません。石畳の急な坂が多く、サンダルやヒールでは足を痛める可能性大。歩きやすいスニーカーは必須アイテムです。
カルナバルの隠れた聖地
実は、オリンダはブラジルで最も古いカルナバルが開催される場所として知られています。リオのカルナバルほど有名ではありませんが、その分観光客も少なく、より地元密着型の祭りを体験できるんです。毎年2月下旬から3月上旬にかけて開催され、期間中は街全体が巨大な舞台と化します。
絶対に食べるべきグルメ、避けるべき罠
レシフェ・オリンダ地域の料理は、アフリカ、先住民、ヨーロッパの文化が混ざり合った独特のもの。特にタピオカは絶対に試してほしい一品です。ただし、日本人が想像するタピオカとは全く別物。キャッサバ粉で作ったクレープのような生地に、チーズや肉、野菜を挟んだ軽食です。
カルダ・デ・スリルという小エビのスープも名物で、ココナッツミルクベースの優しい味が疲れた体に染み渡ります。レシフェ旧市街のメルカド・デ・サン・ジョゼで味わえ、一杯約15レアル(約450円)とリーズナブル。
ここで三つ目の落とし穴:観光地価格に要注意。特にビーチ沿いのレストランは地元価格の2-3倍することも。地元の人で賑わっている店を選ぶのが、美味しくて安い店を見つけるコツです。
意外なグルメスポット
実は、レシフェで一番美味しいタピオカが食べられるのは、観光ガイドブックにはほとんど載っていないカーザ・フォルテ・ショッピングの地下フードコート。地元の若者たちに愛される隠れた名店「Tapioca da Vovó」があります。観光地から少し離れていますが、バスで約20分、料金も観光地の半額以下です。
治安対策は想像以上に重要?
正直に言うと、レシフェの治安は日本と比べれば決して良くありません。特に日が暮れてからの一人歩きは避けるべきです。ただし、昼間の観光地や人通りの多い場所であれば、常識的な注意を払っていれば大きな問題はありません。
ボア・ビアージェン海岸などの主要観光地には観光警察が巡回していますし、タクシーやUberも安全に利用できます。貴重品は必要最小限に抑え、大金は持ち歩かない基本的な対策で十分です。
地元の人たちは非常にフレンドリーで、道を聞けば親切に教えてくれます。ただし、ポルトガル語しか話せない人が多いので、簡単なポルトガル語フレーズを覚えておくと重宝します。「オンジ・フィカ?(どこにありますか?)」や「オブリガード/オブリガーダ(ありがとう)」だけでも、現地の人との距離がぐっと縮まりますよ。
夜の楽しみ方にもコツがある
レシフェの夜といえばフォホーという音楽とダンスが有名。観光客向けのショーもありますが、本物を体験したいならルア・ド・ボン・ジェズス周辺のバーがおすすめです。金曜日の夜には路上でライブ演奏が始まり、地元の人々が自然に踊り出す光景に出会えます。入場料などは一切不要で、ビール一杯約8レアル(約240円)で本格的なブラジル音楽を堪能できます。
ベストシーズンと意外な穴場スポット
レシフェのベストシーズンは乾季にあたる9月から2月。特に12月から2月は雨が少なく、気温も28-32度と過ごしやすい時期です。ただし、この時期はブラジルの夏休みと重なるため、宿泊費が高くなる傾向があります。
意外な穴場シーズンは4月から6月。多少雨は増えますが、その分緑が美しく、観光客も少ないため落ち着いて街を散策できます。特にインスティテュート・リカルド・ブレンナンドという美術館は、雨の日の避難場所としても最適。中世の武器や甲冑のコレクションが充実しており、入場料約25レアル(約750円)で半日は楽しめます。
地元の人だけが知る絶景スポット
観光ガイドには載っていない絶景スポットがマルコ・ゼロから徒歩10分の場所にある古い倉庫街。夕方5時頃になると、レシフェの高層ビル群に夕日が反射して、まるで黄金の街のような光景が広がります。地元のカメラマンたちの間では有名な撮影スポットですが、観光客はほとんど来ません。
もう一つの隠れスポットはカイス・ド・ポルトの古い桟橋。朝6時頃に行くと、漁師たちが水揚げする新鮮な魚を間近で見ることができ、運が良ければその場で調理した魚を格安で味わえます。
レシフェは確かにリオやサンパウロほど知名度は高くありませんが、だからこそ「本当のブラジル」に出会える貴重な場所。計画段階での下調べと、現地での柔軟性があれば、きっと忘れられない旅になるはずです。特に音楽好きや歴史好きなら、この街の魅力に完全にハマってしまうでしょう。