みんな知らない?モアイ像には実は体があった!
あの有名な顔だけのモアイ像、実は地面の下に巨大な体が埋まっているって知っていましたか?私がイースター島(ラパ・ヌイ)を訪れて最初に衝撃を受けたのがこの事実でした。長年の土砂の堆積により、私たちが普段写真で見ているのはほんの一部分に過ぎないんです。
ラノ・ララク採石場では、発掘調査により胴体部分が露出したモアイ像を実際に見ることができます。その高さは最大で21メートルにも達し、想像していた以上の巨大さに圧倒されました。入場料は大人80米ドル(約12,000円)で、ラパ・ヌイ国立公園の入場券で5日間有効です。
現地ガイドのフアンさんが教えてくれたのですが、モアイ像は単なる石像ではなく、祖先の魂が宿る神聖な存在として崇められていました。ラパ・ヌイの人々にとって、今でもモアイは生きている祖先なのです。
なぜモアイは海を背にして立っているの?
多くの人が勘違いしているのですが、ほとんどのモアイ像は海ではなく内陸を向いて建てられています。これには深い理由があるんです。
アフ・トンガリキの15体のモアイ像群は、島で最も有名な撮影スポットですが、彼らはみな島の中心部を見つめています。これは村の人々を見守るためなんですね。朝7時頃の日の出と一緒に撮影すると、モアイのシルエットが幻想的に浮かび上がります。ここは24時間いつでも無料で見学できますが、夜間は足元が危険なので注意が必要です。
唯一海を向いているのはアフ・アキビの7体のモアイだけ。地元の伝説によると、この7体は海の向こうからやってくる王を待ち続けているそうです。ここは島の西側にあり、レンタカーで約45分の距離。夕日とモアイのコラボレーションが美しく、ロマンチックな雰囲気を味わえます。
モアイ像の帽子の正体、知ってます?
一部のモアイ像が被っている赤い「帽子」、実はこれ帽子じゃないんです。正式には「プカオ」と呼ばれる髪飾りで、高貴な身分を表すトップノットなんですよ。
この赤いプカオはプナ・パウという別の採石場で作られた赤スコリア製です。重いものだと12トンもあり、どうやってモアイの頭上まで運んだのかは今でも謎に包まれています。プナ・パウへは島の中心部から車で約20分、現在でも未完成のプカオがゴロゴロと転がっている不思議な光景を見ることができます。
現地の考古学者マヘナさんによると、プカオを載せているモアイは全体の約3割程度。これらは特に重要な首長や宗教指導者を表していると考えられています。プカオの色が鮮やかに残っているモアイを見つけたら、それは比較的保存状態が良い証拠です。
どうやってモアイは歩いたのか?驚きの運搬方法
ラパ・ヌイの言い伝えでは「モアイは自分で歩いた」とされていますが、この謎が近年の実験で解明されました。実際に現地で見学した運搬実験では、数十人がロープを使ってモアイのレプリカを左右に揺らしながら前進させる様子が再現されていました。
道路沿いに点在する運搬途中のモアイは、まさにこの「歩く」途中で放置された証拠。ラノ・ララクからそれぞれの設置場所まで、平均15キロメートルの道のりを数か月かけて運んだと推定されています。島内をドライブしていると、道端にぽつんと立っているモアイに遭遇しますが、これらは全て運搬の途中なんです。
特に興味深いのは、運搬中のモアイは設置場所のモアイとは表情が微妙に違うこと。まるで歩いている最中の動的な表情を表現しているようで、古代の人々の芸術センスの高さに感動しました。
イースター島への行き方と現地での過ごし方は?
イースター島へはサンティアゴ(チリ)またはタヒチから直行便でアクセスできます。サンティアェからは約5時間半のフライトで、LATAM航空が週3便運航しています。日本からの総移動時間は約24時間と長めですが、それだけの価値は絶対にあります。
島内の移動はレンタカーが最も便利で、1日約60米ドル。国際運転免許証が必要ですが、島は一周約60キロメートルと小さいので1日で主要スポットを回ることも可能です。ただし、じっくり見学するなら最低3日間は滞在したいところ。
現地での宿泊はハンガロア村に集中しており、民宿からホテルまで選択肢は豊富です。おすすめは地元家族が営む民宿で、1泊朝食付きで80米ドル程度。ホストファミリーから島の歴史や文化について直接話を聞けるのが何よりの魅力です。
絶対食べるべき!ラパ・ヌイの隠れグルメ
観光地として有名になったとはいえ、イースター島には本当に美味しい地元料理があります。ウム・タヒという地下オーブンで調理される料理は絶品で、豚肉と芋、野菜を地面に掘った穴で蒸し焼きにします。週末に開催される文化イベントでしか味わえない特別な料理なので、滞在期間中にイベントがあるかチェックしてみてください。
また、太平洋の真ん中にある島だけあって、マグロの刺身のクオリティは日本人でも納得のレベル。ハンガロア村のレストラン「タタク・ヴァヴェ」では、獲れたてのマグロを日本式の醤油とワサビで提供してくれます。1皿約25米ドルと少し高めですが、この立地を考えれば妥当な価格です。
知っておきたい現地でのマナーと注意点
ラパ・ヌイの人々にとってモアイは神聖な存在なので、モアイに触れたり、上に登ったりするのは絶対に禁止です。罰金は最大17,000米ドルと非常に高額で、実際に摘発されるケースも増えています。写真撮影は問題ありませんが、respectful distance(敬意を持った距離)を保つことが大切です。
島の天気は変わりやすく、特に7月から9月の冬季は雨が多くなります。観光のベストシーズンは10月から4月ですが、この時期でも急に雲が出て雨が降ることがあるので、常に雨具を持参しましょう。また、南太平洋の紫外線は想像以上に強烈なので、日焼け止めとサングラスは必須アイテムです。
帰国後も続く、モアイとの不思議な縁
不思議なことに、イースター島を訪れた人の多くが「モアイに呼ばれた」と表現します。私自身も帰国後、各地のモアイレプリカを見つけては写真を撮るようになりました。日本国内にも宮崎県の日南海岸や渋谷のモヤイ像など、モアイにゆかりのあるスポットがあり、それらを巡る楽しみも生まれます。
現地で購入できるモアイの小さな石像は、ラパ・ヌイの職人が一つ一つ手作りしており、同じものは二つとありません。空港の土産店では1体約50米ドルですが、ハンガロア村の工房では作り手から直接購入でき、制作過程の話も聞けて記念になります。
イースター島への旅は、単なる観光以上の何かを私たちに与えてくれます。1,000年以上前の人々が込めた想いと現代の私たちがつながる、そんな時空を超えた体験ができる場所なのです。