北京観光で絶対に知っておくべき「裏の顔」と現地でしか味わえない本当の魅力

北京って実は「観光都市」じゃないって知ってた?

北京の街並みと現代的な建物群

多くの人が北京を「中国の観光都市」だと思っているけれど、実は北京は政治の中心地。観光業に依存していない分、本物の北京人の暮らしや文化に触れられるのが最大の魅力なんです。

私が初めて北京を訪れた時、一番驚いたのは地元の人たちの生活感でした。上海のような洗練された観光地とは違い、胡同(フートン)と呼ばれる伝統的な路地では、今も昔ながらの北京っ子たちが普通に生活している。観光客向けに作られた「見せかけの文化」ではなく、リアルな中国の首都の姿がそこにあります。

北京首都国際空港から市内中心部までは地下鉄で約1時間、タクシーなら渋滞状況によって1〜2時間程度。空港快速を使えば東直門駅まで16分と意外にアクセスは良好です。

万里の長城で味わった「観光地なのに観光地じゃない」不思議

万里の長城の雄大な景色

万里の長城は確かに世界的な観光地だけれど、実際に行ってみると「え、こんなに大変なの?」って感じるはず。特に八達嶺長城は北京市内から車で約1時間半、入場料は40元(約800円)ですが、問題は体力です。

私が体験した中で一番印象的だったのは、観光バスで来た団体客が「写真だけ撮って帰る」のに対し、個人で来た旅行者はみんな黙々と城壁を歩き続けていたこと。長城って実は「歩く遺跡」なんですよね。1〜2時間かけて城壁を歩いていると、観光地というより巨大な歴史の証人に出会っている感覚になります。

意外な事実として、万里の長城の「万里」は実際の距離ではなく「非常に長い」という意味。実際の総延長は2万キロメートルを超えるとも言われています。

紫禁城(故宮博物院)で迷子になりかけた話

紫禁城の壮大な建築と庭園

故宮博物院の入場料は4〜10月が60元、11〜3月が40元(約800〜1200円)。天安門広場から歩いて入れるアクセスの良さが魅力ですが、ここには大きな落とし穴があります。

それは、とにかく広すぎること! 南北961メートル、東西753メートルの敷地に9999の部屋があると言われる紫禁城を、普通に見学していたら1日では足りません。私は午前10時に入って、気がついたら午後4時。それでも全体の半分も見られませんでした。

地元ガイドに教えてもらった裏技は「中軸線だけを重点的に見る」こと。太和殿、中和殿、保和殿の三大宮殿を中心に、南から北へ一直線に歩くルートなら3〜4時間で主要部分を効率よく回れます。

実は紫禁城の「紫」は紫微星(北極星)を表し、皇帝が天の中心に住むという思想を表現しているんです。

北京ダックじゃない?本当に美味しい北京グルメ

北京の伝統的な食べ物と料理

「北京といえば北京ダック」と思っている人が多いけれど、実は地元の人がよく食べるのは炸醤麺(ジャージャーメン)豆汁(ドウジー)。特に豆汁は緑豆を発酵させた独特な酸っぱいスープで、北京人のソウルフード的存在です。

王府井大街の全聚德で北京ダックを食べるなら1羽298元(約6000円)からですが、地元の人に愛される老北京炸醤麺なら1杯15〜25元(300〜500円)で本格的な北京の味を楽しめます。

私が一番感動したのは、胡同の奥にある小さな食堂で食べた涮羊肉(シュアンヤンロウ)。薄切りの羊肉をさっと湯にくぐらせて食べる北京風しゃぶしゃぶで、タレには胡麻醤、韮の花、豆腐乳を混ぜたものを使います。冬の北京の寒さを吹き飛ばす、体の芯から温まる料理でした。

胡同散策で見つけた「普通の北京」が一番面白い

胡同の路地と伝統的な建物

什刹海周辺の胡同エリアは、観光地としても有名だけれど歩き方次第で全く違う顔を見せてくれます。メインストリートから一本入った路地では、おじいさんが鳥籠を持って散歩していたり、おばあさんが路上で将棋を指していたり。

人力車での胡同ツアーは1時間100〜150元程度ですが、個人的には徒歩での散策がおすすめ。地下鉄6号線の北海北駅から徒歩5分でアクセスでき、自分のペースでゆっくり歩けるからです。

特に印象的だったのは、煙袋斜街という小さな通りで出会った毛筆書道の露店。観光客向けの名前入りアート作品かと思いきや、実は地元の人が冠婚葬祭用の書を注文しに来る本格的なお店でした。店主のおじいさんは「観光客も地元の人も、文字への想いは同じ」と流暢な英語で話してくれて、北京の人の懐の深さを感じました。

胡同の四合院建築には面白いルールがあって、門の色や装飾で住人の身分がわかるようになっているんです。赤い門は高官、黒い門は一般庶民といった具合に。

冬の北京で学んだ「防寒対策」の現実

11月から3月の北京は想像以上に寒く、特に1月の平均気温はマイナス4度。でも意外だったのは、屋内の暖房がとても効いていること。地下鉄も建物内も暖かすぎるくらいなので、脱ぎ着しやすい重ね着スタイルが正解です。

私が失敗したのは、厚手のコート1枚で行ったこと。屋外では寒いのに、地下鉄に入った途端に汗だく。現地で薄手のダウンジャケットを買い足す羽目になりました。マフラーと手袋は必需品ですが、厚すぎる服装は避けた方が無難です。

冬の北京観光の隠れた魅力は什刹海の氷上散歩。12月から2月にかけて湖面が凍結し、氷の上を歩けるようになります。入場料は10元程度で、氷上でのスケートやソリ遊びも楽しめます。

PM2.5対策は思ったより簡単

大気汚染を心配する人も多いですが、実際に滞在してみると対策は意外にシンプル。スマホの天気アプリでAQI(大気質指数)をチェックして、150を超えた日だけマスクをつければ十分でした。最近は政府の環境対策が進んで、昔ほど深刻ではありません。

北京観光で「やらかした」失敗談から学ぶ教訓

最後に、私が実際にやらかした失敗談をシェアしておきます。一番痛かったのは現金不足。中国はキャッシュレス社会だと聞いていたものの、観光地の入場料や屋台での支払いには現金が必要な場面が多々ありました。

特に胡同の小さな食堂や、万里の長城での飲み物購入時は現金オンリー。ATMはあちこちにあるので現金調達は可能ですが、手数料がかかります。日本から多少多めの現金を持参することをおすすめします。

もう一つの失敗はGoogle翻訳が使えないこと。中国ではGoogleサービスにアクセスできないため、代わりに百度翻訳やMicrosoft翻訳アプリをダウンロードしておくべきでした。

それでも、身振り手振りと笑顔があれば何とかなるのが北京の良いところ。地元の人たちは観光客慣れしていて、親切に道を教えてくれる人がほとんどです。完璧な準備よりも、「なんとかなる」精神で臨む方が北京観光は楽しめるかもしれませんね。