「危険な街」のイメージを覆すメデジンの現実って?
コロンビアのメデジンと聞くと、まだ多くの人が麻薬王パブロ・エスコバルの街を想像するかもしれません。でも実際に足を運んでみると、その先入観は完全に覆されます。2013年にはウォール・ストリート・ジャーナルで「世界で最も革新的な都市」に選ばれたメデジンは、今や南米屈指の観光都市として生まれ変わっているんです。
標高1500メートルの高地に位置するメデジンは、年間を通して20~28度という「永遠の春」の気候。これだけでも十分魅力的ですが、本当の見どころはそこじゃありません。
観光客が殺到する定番スポット、でも正直微妙だった場所
まず率直にお伝えしたいのが、ガイドブックに必ず載っているグアタペの岩(ピエドラ・デル・ペニョール)について。確かに高さ220メートルの一枚岩を740段の階段で登る体験は圧巻ですが、週末は観光バスで押し寄せる団体客でごった返します。メデジンから車で2時間かけて行く価値があるかと問われれば、正直「う~ん」というのが本音です。
むしろ同じグアタペエリアなら、カラフルな街並みのグアタペタウンでゆっくりコーヒーを飲んでいる方がよっぽど心に残りました。
地元民しか知らない?本当のメデジン観光の醍醐味
メデジンの真の魅力は、都市の変貌ぶりを肌で感じられることです。特にコムナ13地区は必見。かつてメデジンで最も危険とされていたこの貧民街が、今では世界中から観光客が訪れるアートの聖地になっているんです。
壁一面に描かれたストリートアートは、単なる落書きではありません。地元の若者たちが暴力の代わりにアートで自己表現する場として生まれた、まさに平和への象徴なんです。グラフィティツアー(約3000ペソ、所要時間3時間)に参加すれば、元ギャングのガイドから生々しい体験談も聞けます。
メトロケーブルで空中散歩?
コムナ13へのアクセスで利用するメトロケーブルも、実はそれ自体が観光アトラクション。世界初の都市交通システムとして導入されたロープウェイは、貧困地区の住民の足として機能しながら、観光客には絶景を楽しませてくれる一石二鳥のシステムです。
平日の朝夕は通勤ラッシュで混雑しますが、午後2時頃なら比較的空いていて、メデジンの街並みをゆっくり眺められます。料金は地下鉄と同じ2650ペソ(約100円)という安さも魅力です。
絶対に食べておきたいメデジンの本場グルメ
コロンビア料理というと馴染みがないかもしれませんが、メデジンには絶品グルメが待っています。まず外せないのがバンデハ・パイサ。豆、米、アボカド、チョリソー、目玉揚げ、バナナなどが一皿に盛られた、見た目のインパクト抜群の郷土料理です。
地元で評判なのは、エル・ポブラード地区にある「Hacienda Junín」。観光客向けの店ではなく、地元の家族連れで賑わう庶民的な食堂です。ボリューム満点のバンデハ・パイサが約15000ペソ(約600円)で味わえます。
コーヒー好きなら絶対に外せないスポット
世界第3位のコーヒー生産国コロンビアで、しかもコーヒー産地アンティオキア県の中心都市メデジン。ここでコーヒーを飲まずに帰るなんてもったいない!
おすすめはPergamino Café。メデジン発祥のスペシャルティコーヒー店で、農園直送の豆を丁寧にハンドドリップしてくれます。一杯8000ペソ(約300円)で本格的なコロンビアコーヒーが楽しめるなんて、日本では考えられませんよね。
これだけは気をつけて!メデジン観光の注意点
メデジンは確実に安全になりましたが、それでも南米の大都市。基本的な注意は必要です。特に夜間の一人歩きと高価な装身具の着用は避けましょう。
また、意外な盲点が日焼け。標高が高く赤道に近いため、曇りの日でも紫外線が非常に強いんです。日焼け止めは現地調達すると割高なので、日本から持参することをおすすめします。
タクシー vs Uber、どっちが安全?
移動手段で迷うのがタクシーとUberの使い分け。結論から言うと、Uberの方が安全で料金も明確です。メデジンのタクシーはメーター通りに走ってくれることが多いですが、観光客とわかると遠回りされることも。Uberなら事前に料金がわかりますし、ドライバーの評価も確認できます。
空港からエル・ポブラード地区まで約25分、Uberなら15000~20000ペソ程度です。
観光で終わらない、メデジンが教えてくれること
メデジン観光の本当の価値は、美しい景色や美味しい料理だけではありません。かつて「世界最悪の殺人都市」と呼ばれた街が、どのようにして生まれ変わったのかを肌で感じることです。
元麻薬王の足跡を辿る?複雑な歴史ツアー
観光の一環としてパブロ・エスコバル・ツアーも存在しますが、これには地元でも賛否両論があります。彼の生家や墓地を訪れるツアーが人気を集める一方で、「犯罪者を美化している」と反発する市民も少なくありません。
もし参加するなら、単なる野次馬根性ではなく、この街が歩んできた複雑な歴史を理解するためのものとして臨んでください。ツアー料金は約60000ペソ(約2400円)、所要時間は4時間程度です。
メデジンならではのお土産選び、何を買う?
お土産選びで迷ったら、まずはエメラルドをチェックしてみてください。コロンビアは世界最大のエメラルド産出国で、メデジンにも質の良いエメラルドを扱う宝石店が点在しています。ただし、偽物も多いので、政府認定の証明書付きのものを選ぶのが鉄則です。
もっと手軽なお土産なら、コロンビアコーヒー豆が定番。空港でも買えますが、街中のスーパーマーケット「Éxito」で購入する方が種類豊富で価格も安めです。真空パックの豆なら500グラムで12000ペソ(約480円)程度。
実は穴場?メデジンの夜景スポット
最後にこっそり教えたいのが、セロ・ヌティバラからの夜景。丘の上にある小さな公園ですが、ここからのメデジンの夜景は本当に息を呑むほど美しいんです。観光バスは来ないので、静かに景色を楽しめます。
ただし夜は一人で行かず、複数人またはツアーで訪れることをおすすめします。昼間なら地下鉄Estadio駅からタクシーで約10分、料金は8000ペソ程度です。
メデジンは、ただ見て回る観光地ではなく、人間の可能性と都市の再生力を実感させてくれる特別な場所。暴力と絶望に支配されていた街が、アートと教育、そして市民の力で見事に蘇った奇跡を、あなた自身の目で確かめてみてください。きっと旅の概念が変わるはずです。