シャルム・エル・シェイクで絶対に知っておくべき「隠れた落とし穴」と最高の楽しみ方

なぜ多くの観光客がシャルム・エル・シェイクで失敗するのか?

シャルム・エル・シェイクの美しいリゾート海岸

エジプトの紅海に面するシャルム・エル・シェイクは、世界中のダイバーやリゾート愛好家が憧れる楽園です。しかし、実際に現地を訪れてみると「こんなはずじゃなかった」と感じる旅行者が少なくありません。

最も多い失敗は、シャルム・エル・シェイクを「ただの海辺のリゾート」だと思い込んでしまうことです。ここは砂漠気候の特殊な環境にあり、日中は40度を超える猛暑なのに、夜間は15度近くまで下がることがあります。薄着だけで来てしまい、夜のレストランで震えている観光客を何度も見かけました。

また、多くのガイドブックには書かれていませんが、シャルム・エル・シェイクは実質的に2つのエリアに分かれています。ナアマベイの観光地区と、地元の人々が暮らすシャルム・エル・マヤ地区です。この違いを知らずに宿を予約してしまうと、想像していたリゾート体験とはかけ離れた滞在になってしまいます。

本当に知っておくべき気候の罠

シャルム・エル・シェイクの気候で最も注意すべきは、ハムシーンと呼ばれる砂嵐の季節です。3月から5月にかけて発生するこの現象は、気温を一気に10度以上押し上げ、視界を極端に悪くします。この時期に訪れる場合は、マスクやゴーグルの準備が欠かせません。

ラス・モハメド国立公園で体験する「地球の神秘」

ラス・モハメド国立公園の透明な海と珊瑚礁

シャルム・エル・シェイクから約20キロ南に位置するラス・モハメド国立公園は、紅海屈指のダイビングスポットとして知られていますが、実はダイビングをしない人でも楽しめる驚きの場所があります。

公園内のマングローブチャンネルでは、海水と淡水が混じり合う独特の生態系を観察できます。入園料は大人1人あたり5ドル程度で、カイロから車で約6時間、シャルム・エル・シェイク市内からは約45分でアクセス可能です。

知られざるマジックレイク現象

ラス・モハメド国立公園で最も神秘的なのが、マジックレイクと呼ばれる塩湖です。この湖は地下の海水と地上の雨水が混じり合い、時間や季節によって水の色が青から緑、時には赤まで劇的に変化します。現地のベドウィンガイドによると、この現象は地下の鉱物成分と微生物の相互作用によるもので、世界でも数カ所でしか見られない貴重な自然現象だそうです。

ナアマベイの夜が教えてくれること

観光の中心地ナアマベイは、昼間は静かなビーチリゾートの顔を見せますが、夜になると全く違う表情を現します。午後8時を過ぎると、地元のベドウィン族による伝統的なタンヌーラダンスのパフォーマンスが各所で始まります。

レストランでの食事も、西洋料理だけでなくコシャリ(エジプトの国民的料理)やモロヘイヤスープなどの本格的なエジプト料理を試してみてください。特におすすめは「Fares Seafood」というレストランで、新鮮な魚料理が1人前約15ドルから楽しめます。営業時間は午後6時から深夜2時まで、ナアマベイの中心部から徒歩5分の場所にあります。

バザールで学ぶ「値段交渉の真実」

ナアマベイのオールドマーケットでは、値段交渉が当たり前ですが、実は最初に提示される価格には独特のルールがあります。地元の商人によると、観光客への最初の価格は実際の相場の約7倍に設定されているそうです。つまり、遠慮なく7分の1の価格から交渉を始めても失礼にはなりません。

紅海ダイビングで遭遇する「想定外の生き物たち」

紅海のダイビングといえばイルカマンタレイが有名ですが、実際に潜ってみると全く予期していなかった生き物との出会いが待っています。

最も印象的なのはナポレオンフィッシュの群れです。体長2メートルを超える個体が数十匹単位で泳ぐ光景は、まさに圧巻です。ダイビング料金は1日2ダイブで約60ドル、器材レンタル込みの価格設定が一般的です。

夜のダイビングで出会う「光る生き物」

昼間のダイビングでは見ることのできない、生物発光を観察できるナイトダイビングも強くおすすめします。特に新月の夜には、プランクトンの発光現象により海中が幻想的に青白く光ります。この現象は水温が25度以上の時期(4月から10月)に最も美しく観察でき、ダイビングショップによってはナイトダイビング専用のツアー(約80ドル)も用意されています。

シナイ山への巾礼で知る「もう一つのシャルム・エル・シェイク」

多くの観光客が見逃しているのが、シャルム・エル・シェイクから約2時間半の場所にあるシナイ山です。標高2285メートルのこの山は、モーセが十戒を授かったとされる聖地として、キリスト教徒だけでなく多くの巡礼者が訪れます。

山頂への登山は通常深夜2時頃に開始し、日の出を山頂で迎えるのが一般的なルートです。登山ガイド料金は1人あたり約25ドルで、懐中電灯と防寒具は必須です。途中には聖カタリナ修道院があり、6世紀に建てられた世界最古級の修道院の一つを見学できます。

ベドウィンキャンプで味わう「本物の砂漠体験」

シナイ山への道中で体験できるのが、ベドウィン族の伝統的なキャンプです。ここで提供されるベドウィンティーは、砂糖の代わりに乾燥ナツメヤシを使った独特の甘さが特徴で、砂漠の夜の寒さを和らげてくれます。1泊2日のキャンプツアーは約150ドルで、らくだ乗り体験も含まれています。

帰国前に必ず立ち寄りたい「隠れた名店」

シャルム・エル・シェイク最終日におすすめしたいのが、地元の人しか知らない「Abu Ashraf」というジュースバーです。ナアマベイから少し離れた住宅街にあるこの店では、新鮮なザクロジュースが1杯わずか2ドルで味わえます。

店主のアブ・アシュラフさんは元漁師で、40年以上この地に住んでいます。彼から聞いた話によると、シャルム・エル・シェイクが国際的なリゾート地になる前は、わずか200人ほどの漁村だったそうです。店の営業時間は午前7時から午後9時まで、シャルム・エル・マヤ地区の郵便局から徒歩3分の場所にあります。

最後に重要な注意点として、シャルム・エル・シェイクから日本への帰国時は、カイロ空港での乗り継ぎ時間を最低3時間は確保してください。国内線から国際線への乗り継ぎには想像以上に時間がかかることが多く、余裕を持ったスケジュールが安心です。