紅海のリゾート地フルガダ、でも実は罠だらけ?
エジプト東部、紅海に面したフルガダは美しいビーチリゾートとして世界中から観光客が訪れます。でも正直に言うと、何も知らずに行くと観光トラップにはまって残念な思い出になりかねません。私も初回訪問時は散々な目に遭いました。しかし、現地の事情を知ってから再訪すると、こんなに素晴らしい場所だったのかと感動したのです。
フルガダはカイロから車で約5時間、フライトなら1時間ほどの距離にあります。多くのホテルはオールインクルーシブ制を採用しており、一見お得に見えますが、これが最初の落とし穴でもあるのです。
ホテルの外に出ないなんてもったいない!本当のフルガダを知っていますか?
多くの観光客はリゾートホテルの敷地内で過ごして終わってしまいます。確かにホテルのプライベートビーチは美しく、プールサイドでのんびり過ごすのも悪くありません。でも、それだけではフルガダの魅力の10%も味わえていないのが現実です。
ダハブ・スクエアと呼ばれる旧市街エリアには、地元の人々が実際に生活する街の風景が広がっています。観光地価格ではない本物のエジプト料理を味わえる食堂や、職人が手作りする工芸品を扱う小さな店が軒を連ねています。ここでの食事は一品50〜100エジプトポンド(約200〜400円)程度と、ホテル内レストランの5分の1以下の価格です。
特に夕方6時頃から賑わい始める魚市場周辺の屋台街では、その日に水揚げされた新鮮な魚を炭火で焼いた料理を楽しめます。観光客向けのレストランとは比べ物にならない美味しさです。
紅海の海中世界、でもダイビングショップ選びで天国と地獄が分かれる
フルガダ最大の魅力は、なんといっても紅海の透明度抜群の海です。世界でも屈指のダイビング・スノーケリングスポットとして知られています。しかし、ダイビングショップ選びを間違えると、安全性に問題があったり、魚のいないポイントに連れて行かれたりすることがあります。
私が強くおすすめするのは、PADI認定を受けた老舗のダイビングセンターを選ぶことです。料金は1日ダイビングで1,200〜1,800エジプトポンド(約4,800〜7,200円)程度が相場ですが、安すぎるところは避けた方が無難です。
特にギフトゥン島周辺の海は、色鮮やかなサンゴ礁と熱帯魚の宝庫です。運が良ければマンタやイルカに遭遇することもあります。島までのボート時間は約45分で、途中の船上から見る紅海の青いグラデーションは息をのむ美しさです。
意外と知られていない砂漠の魅力って?
多くの人がフルガダを海のリゾートとしか考えていませんが、実は内陸部に広がる東方砂漠での体験も見逃せません。ここでは現地のベドウィン(遊牧民)の文化に触れることができる貴重な体験が待っています。
四輪バギーで砂漠を駆け抜けるツアーは人気ですが、私がおすすめしたいのはラクダトレッキングと星空観察を組み合わせたツアーです。料金は800〜1,200エジプトポンド(約3,200〜4,800円)で、夕方3時頃から夜10時頃まで約7時間のプログラムです。
砂漠の夕日は言葉では表現できないほど美しく、そして夜の砂漠で見上げる星空は都市部では絶対に体験できない感動があります。ベドウィンガイドが淹れてくれる本格的なベドウィン茶の味も格別です。
地元民が教えてくれた隠れスポットとは?
観光ガイドブックには載っていない、地元の人だけが知る特別な場所があります。それがアブラハム・ビーチです。フルガダ中心部から北に約15キロの場所にある小さなビーチで、タクシーで約30分、料金は往復で200エジプトポンド(約800円)程度です。
ここは観光地化されていない天然のビーチで、透明度の高い海と白い砂浜が手つかずの状態で残されています。平日なら地元の家族連れ以外ほとんど人がおらず、プライベートビーチのような感覚で過ごせます。簡素な海の家が1軒だけあり、そこで飲む冷たいコーラ(25エジプトポンド、約100円)が砂漠の暑さに疲れた体に染み渡ります。
もう一つの隠れた名所がフルガダ・マリーナの夕日です。午後6時頃から7時頃にかけて、紅海に沈む夕日を最も美しく見られるスポットです。マリーナ沿いには洒落たカフェやレストランが並んでいて、夕日を眺めながらエジプシャンコーヒーを楽しむのが地元流です。
これだけは気をつけて!フルガダの注意ポイント
最後に、実際に訪れる際の重要な注意点をお伝えします。まず、しつこい客引きや物売りへの対処法です。特にビーチや観光地では「ノー、サンキュー」とはっきり断ることが大切です。曖昧な態度を取ると延々と付きまとわれることがあります。
また、水道水は絶対に飲まないでください。必ずボトルウォーターを購入しましょう。ホテル以外の場所では1.5リットルボトルが10〜15エジプトポンド(約40〜60円)で購入できます。
日差しが非常に強いため、日焼け止めとサングラスは必須です。現地でも購入できますが、価格は日本の2〜3倍になることが多いので、事前に準備することをおすすめします。
タクシー利用時の賢い交渉術
フルガダでのタクシー利用には少しコツが必要です。メーターを使わない運転手が多いため、乗車前に必ず料金交渉をしてください。市内中心部での移動なら50〜80エジプトポンド(約200〜320円)が適正価格です。
観光客だと分かると最初は高額な料金を提示されますが、「トゥー・マッチ(高すぎる)」と言って半額程度まで交渉するのが現地のやり方です。言語の壁を感じるかもしれませんが、数字を紙に書いて見せれば十分通じます。
本当のフルガダの魅力は人とのつながりにあった
何度かフルガダを訪れて気づいたのは、この街の本当の魅力は美しい海や砂漠だけではなく、人々の温かさにあるということです。一度信頼関係を築けば、エジプト人の持つホスピタリティの深さに心を打たれることでしょう。
街の小さなカフェで現地の人たちとシーシャ(水タバコ)を囲んで過ごした夜や、市場で出会った商店主に家庭料理をごちそうになった体験は、どんな高級リゾートでも味わえない貴重な思い出になりました。
フルガダは確かに観光地として整備されていますが、少し足を延ばせばまだまだ素朴なエジプトの文化が息づいています。表面的な観光だけでなく、現地の人々の生活や文化に触れることで、旅の価値は何倍にも膨らむのです。
最後に一つアドバイスです。フルガダを訪れる際は、少なくとも4〜5日の滞在期間を設けることをおすすめします。海でのアクティビティ、砂漠体験、そして現地文化との触れ合いをじっくり楽しむには、これくらいの時間が必要だからです。きっとあなたも、フルガダの本当の魅力に気づくことでしょう。