フィジー・コーラルコーストで本当に起きた「まさか」の体験談|天国にも落とし穴があった

コーラルコーストって本当に「コーラル」なの?

コーラルコーストの美しい海岸線

フィジー本島の南西部に約100キロにわたって続くコーラルコースト。名前だけ聞くと「サンゴ礁がいっぱいあるのかな?」と思いますよね。実は私も最初はそう思っていました。

ところが現地に到着してびっくり。確かにサンゴ礁はあるのですが、実はこの名称、1960年代の観光開発時に付けられたキャッチーな愛称なんです。地元フィジー人は今でも「ナドラガ・ナヴォサ州」と呼んでいます。シンガトカから始まってコロレブまでの海岸線には、確かに美しいサンゴ礁が点在していますが、場所によってはサンゴが少ないエリアも。期待値の調整は大切です。

「リゾートホテルに泊まれば安心」の落とし穴

コーラルコーストのリゾートホテル

コーラルコーストといえば、シャングリ・ラ フィジアン リゾート&スパアウトリガー フィジー ビーチリゾートなどの高級リゾートが有名です。1泊300〜800フィジードル(約15,000〜40,000円)という価格帯で、確かに設備は申し分ありません。

しかし、ここに思わぬ盲点が。多くのリゾートは干潮時になると、目の前のビーチから海がかなり遠くなってしまうんです。特にナタンドラビーチ周辺では、干潮時に200メートル以上も海が引いてしまうことも。せっかくの「オーシャンビュー」の部屋なのに、窓から見えるのは泥干潟…なんてことが実際に起こります。

事前にホテルに潮汐表を確認するか、満潮時間を狙って海に入る計画を立てることをお勧めします。

地元の人しか知らない?隠れた絶景スポット

隠れた絶景ビーチ

観光ガイドブックには載っていない、地元の人だけが知る秘密の場所があります。それがナタンドラ湾の奥にある無名のビーチです。

シンガトカの町から車で約30分、未舗装の道を10分ほど歩くと現れるこのビーチ。誰もいない白砂のビーチと、信じられないほど透明な海が広がっています。ここは潮の満ち引きの影響を受けにくい地形なので、いつ行っても美しい海を楽しめるんです。

ただし、ここにたどり着くには地元のタクシードライバーに頼むのがベスト。料金は往復で約80フィジードル(約4,000円)。「シークレットビーチに行きたい」と言えば、だいたい分かってくれます。でも日曜日は休息日なので、交渉が難しくなることも覚えておいてください。

「フィジアンタイム」に振り回された1日

フィジーの伝統的な村の風景

フィジーには「フィジアンタイム」という独特な時間感覚があります。これを知らずにスケジュールを組むと、大変なことになります。私は実際に経験しました。

朝10時からのビリレブ島へのデイトリップ(大人1名120フィジードル、約6,000円)を予約していたのに、実際にボートが出発したのは12時過ぎ。理由を聞くと「潮の具合がよくなかった」とのこと。でも実は、船長が朝の教会に参加していただけでした。

これがフィジアンタイム。時間に正確な日本人には最初は戸惑いますが、慣れてくると「まぁ、いいか」という気持ちになってきます。むしろこのゆったりとした時間の流れこそが、フィジーの最大の魅力かもしれません。

忘れてはいけない「セブセブ」の文化

コーラルコーストを訪れる際に絶対に知っておきたいのが「セブセブ」という伝統的な贈り物の文化です。

地元の村を訪問する際や、村人との交流を深めたい時には、ヤンゴーナ(カヴァ)の根を持参するのがマナーです。シンガトカの市場で5フィジードル程度(約250円)で購入できます。これを村長に渡し、正式な許可をもらってから村内を見学するのが正しい手順。

この文化を知らずに村に入ってしまうと、冷たい対応を受けることも。逆にセブセブを持参すると、村人たちは驚くほど温かく迎えてくれて、普通の観光では体験できない深い交流ができます。

コーラルコーストで味わう本物のフィジー料理

リゾートホテルの食事も美味しいですが、せっかくならフィジーの伝統料理を味わいたいですよね。コーラルコースト沿いには、地元の人が通う食堂がいくつかあります。

シンガトカの町にある「ママズキッチン」では、ココンダ(生魚をココナッツミルクとライムで漬けた料理)が1皿12フィジードル(約600円)で味わえます。営業時間は月曜から土曜の午前8時から午後6時まで。

さらに驚いたのが「ロヴォ」という地中料理です。これは土の中に掘った穴で食材を蒸し焼きにする伝統的な調理法。毎週日曜日の午後2時頃、ナタンドラ村で地元の人々と一緒に体験できます(事前予約必要、1人25フィジードル)。豚肉、鶏肉、タロイモ、キャッサバなどが何時間もかけてじっくりと調理され、驚くほど柔らかくて味わい深い料理になります。

想像以上に強烈だった紫外線との戦い

南太平洋の紫外線を甘く見てはいけません。私は初日、「曇りだから大丈夫」と思ってSPF30の日焼け止めだけで海に入ったところ、夜には真っ赤に腫れ上がってしまいました。

フィジーの紫外線は日本の約5倍。曇りの日でも容赦なく肌を攻撃してきます。現地のスーパーマーケット「MHスーパーマーケット」で、SPF50+のフィジー製日焼け止め(15フィジードル、約750円)を購入することを強く推奨します。オーストラリア製のものが多く、かなり強力です。

また、海から上がった後も要注意。白い砂浜からの照り返しが想像以上に強く、パラソルの下にいても日焼けしてしまいます。

帰国前に知った「本当の」コーラルコーストの魅力

最後の夜、ホテルのレセプションで働くフィジー人スタッフのジョンさんが教えてくれた言葉が忘れられません。「コーラルコーストの本当の美しさは、海の中ではなく、人の心の中にあるんだよ」。

確かに美しいサンゴ礁や白いビーチは素晴らしい。でも一番印象に残っているのは、困った時に必ず手を差し伸べてくれる現地の人々の温かさでした。言葉が通じなくても、心は通じる。そんな体験ができる場所は、世界中を探してもそう多くはありません。

コーラルコーストへは、ナンディ空港から車で約1時間30分。レンタカー(1日約80フィジードル)かタクシー(約120フィジードル)でアクセス可能です。ベストシーズンは5月から10月の乾季ですが、雨季でも短時間のスコールが多いだけなので、年間を通して楽しめます。

「また必ず戻ってきたい」。そう思わせてくれる場所、それがフィジー・コーラルコーストの本当の魅力なのかもしれません。