ルーブル美術館周辺で迷子になって発見した、ガイドブックが教えない歴史地区の隠れた魅力

ルーブル美術館だけじゃもったいない!周辺に眠る宝物とは?

ルーブル美術館とその周辺の歴史的建造物群

パリ旅行といえばルーブル美術館は外せませんが、実は美術館の入場券を握りしめて急いで中に入るのは少しもったいないんです。なぜなら、ルーブル宮殿を中心とした周辺エリアには、フランス王朝の栄華を物語る歴史的建造物がぎっしりと詰まっているからです。

私が初めてパリを訪れた時、ルーブル美術館の入場券(大人17ユーロ)を握りしめて地下鉄パレ・ロワイヤル=ミュゼ・デュ・ルーヴル駅から地上に出た瞬間、その壮大さに足が止まりました。でも本当の感動は、周辺を歩き回った時に訪れたのです。

迷子になって見つけた、王室庭園の秘密って?

パレ・ロワイヤルの美しい回廊と庭園

ルーブル美術館から北へ歩くこと約3分、パレ・ロワイヤル(王宮)という隠れた名所があります。ここは意外にも観光客が少なく、地元のパリジャンたちがランチを楽しむ穴場スポットなんです。

17世紀にリシュリュー枢機卿の邸宅として建てられたこの宮殿は、のちにルイ14世が幼少期を過ごした場所でもあります。中庭には現代アート作品「ビュラン柱」と呼ばれる黒と白の縞模様の柱が260本も立ち並んでいて、クラシックな建築との対比が不思議な魅力を放っています。

この庭園は無料で入ることができ、朝9時から夕方まで開放されています。回廊に並ぶアンティークショップやカフェを覗きながら歩けば、まるで18世紀にタイムスリップしたような気分になれますよ。

セーヌ川沿いの散歩道で、なぜ心が震えるのか?

セーヌ川から見上げるルーブル宮殿の壮大な外観

ルーブル美術館を南側から眺めるなら、セーヌ川沿いの遊歩道を歩くのがおすすめです。この川沿いの道は「パリのセーヌ河岸」として世界遺産に登録されていて、ルーブル宮殿の全長約700メートルにわたる壮大なファサードを一望できます。

特に夕方の17時頃から18時頃にかけて、西日がルーブル宮殿の石造りの壁面を照らす光景は息をのむ美しさです。この時間帯になると、地元の人たちがジョギングを楽しんだり、恋人同士がベンチに座ったりする日常的な風景も見ることができます。

川沿いには古本市「ブキニスト」の緑色の屋台が並んでいて、古い地図や版画、絵葉書などパリらしいお土産を探すのも楽しみの一つ。価格は交渉次第ですが、だいたい5ユーロから20ユーロ程度で掘り出し物が見つかることもあります。

チュイルリー庭園で、マリー・アントワネットの足跡を辿る?

チュイルリー庭園の広大な敷地と美しく整備された並木道

ルーブル美術館の西側に広がるチュイルリー庭園は、かつてチュイルリー宮殿があった場所です。この宮殿は1871年のパリ・コミューンで焼失してしまいましたが、庭園は当時の面影を残しています。

ここで知っておきたい歴史的事実があります。マリー・アントワネットとルイ16世は、フランス革命の際にこのチュイルリー宮殿に軟禁されていました。現在でも庭園の中央を歩いていると、当時の王妃が散歩したであろう同じ道を歩いている感覚になります。

庭園は年中無休で朝7時から日没まで開放されており、入場無料です。約25ヘクタールもの広大な敷地には、彫刻作品が点在し、特にオーギュスト・ロダンの「接吻」などの有名作品も野外展示されています。冬でも散歩は可能ですが、ベンチで休憩するなら4月から10月の温かい季節がおすすめです。

地元パリジャンが通う、隠れ家レストランの正体は?

歴史地区の石畳の小径に佇む伝統的なパリのカフェ

観光地のど真ん中にありながら、地元の人たちで賑わう穴場グルメスポットがあります。ルーブル美術館から徒歩約5分のサン・ロック通りには、創業100年を超える老舗ビストロ「ル・グラン・ヴェフール」があります。ここは一見すると高級すぎて入りにくそうですが、実はランチタイムには35ユーロからのメニューが用意されており、ナポレオンも愛用したという歴史ある店で本格的なフレンチを味わえます。

もう少しカジュアルに楽しみたいなら、リヴォリ通りのカフェ・マルリーがおすすめです。なんとルーブル美術館の中にあるカフェで、ガラスのピラミッドを眺めながら食事ができる贅沢な立地。コーヒー一杯4.5ユーロ、軽食なら15ユーロ程度で、美術館見学の合間の休憩にぴったりです。

意外と知らない、美術館周辺の「時間の罠」

ここで一つ、現地で学んだ重要な教訓をお伝えします。ルーブル美術館は火曜日が休館日で、月曜日と木曜日は18時まで、その他の曜日は18時まで(金曜日のみ21時45分まで延長)開館しています。

でも本当に注意すべきは、美術館周辺の歴史地区散策にかかる時間です。私は最初、「美術館見学前にちょっと周辺を見てから」と軽い気持ちで歩き始めましたが、気がつくと3時間も経っていました。特にチュイルリー庭園は思っている以上に広く、端から端まで歩くだけで30分はかかります。

時間に余裕を持って計画するか、美術館見学後の夕方に周辺散策を楽しむのがコツです。夕方の光の中で見る歴史的建造物は、昼間とはまた違った表情を見せてくれますから。

知られざるルーブル宮殿の「影の歴史」

最後に、ガイドブックには載っていない興味深い事実をひとつ。現在のルーブル宮殿の地下には、12世紀に建てられた要塞の遺跡が眠っています。美術館の地下1階で「中世のルーブル」として一部が公開されており、追加料金なしで見学可能です。

ここではフィリップ・オーギュスト王時代の城壁や、セーヌ川の旧河道の跡を実際に見ることができます。パリが小さな島から始まって現在の大都市へと発展していく歴史の生き証人とも言える貴重な遺跡です。観光客の多くは地上階の名画に夢中で素通りしてしまいがちですが、パリの根っこの部分を知りたいなら必見のスポットです。

ルーブル美術館周辺の歴史地区は、単なる観光地を超えて、フランス王朝から現代まで続く生きた歴史の舞台です。モナリザを見るのも素晴らしいですが、その絵画が収められている宮殿と周辺地区全体が持つ壮大な物語も、きっとあなたのパリ滞在を特別なものにしてくれるはずです。