オルレアンで絶対に見逃してはいけない「ジャンヌ・ダルクの真実」と地元民しか知らない隠れた名店

なぜオルレアンは「フランスの心臓」と呼ばれるのか?

パリから南へ約130キロ、電車でわずか1時間。オルレアンという街の名前を聞いて、真っ先に思い浮かぶのはジャンヌ・ダルクではないでしょうか。でも実は、この街には教科書に載らない驚くべき秘密が隠されているんです。私が初めてオルレアンを訪れた時、「ただのジャンヌ・ダルクの街でしょ?」と軽く考えていました。ところが、足を踏み入れた瞬間から、その認識は完全に覆されました。

オルレアンは確かにジャンヌ・ダルクで有名ですが、実はフランス王朝の運命を左右した重要な戦略拠点だったのです。ロワール川沿いに広がるこの街は、パリとフランス南部を結ぶ要所として、何世紀にもわたって栄えてきました。

ジャンヌ・ダルクの本当の足跡を辿れる場所って?

多くの観光客が見落としがちなのが、サント・クロワ大聖堂の地下部分です。表面上は美しいゴシック建築として知られていますが、地下には1429年にジャンヌ・ダルクが実際に祈りを捧げた礼拝堂の遺構が残っているんです。

大聖堂は無料で見学でき、毎日午前8時から午後7時まで開放されています。ただし、地下部分の見学は事前予約が必要で、料金は大人8ユーロ。オルレアン駅から徒歩約15分の距離にあります。

私が驚いたのは、大聖堂の案内人から聞いた話でした。実は、現在の大聖堂は19世紀に再建されたもので、ジャンヌが実際に見た建物とは全く異なるというのです。では、本物の痕跡はどこにあるのでしょうか?

地元の人だけが知っている「本物のジャンヌの家」

観光案内所では絶対に教えてくれない秘密があります。それは、ジャック・ブーシェの館という場所です。現在は小さなブティックホテルになっているのですが、ここが実はジャンヌ・ダルクがオルレアン滞在中に宿泊した本物の建物なんです。

この館は、リュ・デ・タブルリー通り沿いにひっそりと佇んでいます。外観は普通の15世紀の建物に見えますが、内部には当時の石造りの暖炉や、ジャンヌが使ったとされる井戸が残されています。見学は宿泊客限定ですが、1泊150ユーロ程度で泊まることができます。

地元のタクシー運転手のジャン・ピエールさんに教えてもらったのですが、「観光客向けのジャンヌ・ダルクの家は偽物。本物はここだよ」と言って案内してくれました。確かに、観光地として整備された場所とは全く違う、生々しい歴史の重みを感じられる空間でした。

オルレアンで食べるべき「知られざる郷土料理」とは?

オルレアンの郷土料理といえばアンドゥイエット(豚の内臓ソーセージ)が有名ですが、実は地元民が愛してやまない隠れた名物があります。それがコトリアード・オルレアネーズという魚料理です。

ロワール川で獲れた淡水魚を白ワインで煮込んだこの料理は、一見地味に見えますが、その奥深い味わいは忘れられません。レストラン「ル・リフト」(リュ・ド・ブルゴーニュ通り)では、創業1923年から変わらぬレシピで提供しています。メイン料理として25ユーロ、火曜日定休で、午後7時から午後10時まで営業しています。

店主のマダム・デュボワに聞いたところ、この料理のレシピは代々受け継がれており、使用する魚は必ずその日の朝にロワール川で獲れたものだけを使っているとのこと。パリのレストランでは絶対に味わえない、本当の意味での「地産地消」料理です。

意外と知らない?オルレアンの「酢の秘密」

ここで、ほとんどの日本人観光客が知らない驚愛の事実をお伝えしましょう。実は、オルレアンは「フランス酢の首都」と呼ばれているんです。

マルタン・プジェ酢醸造所では、500年以上の歴史を持つ伝統的な酢作りを見学できます。この醸造所では、ワイン酢の製造過程を間近で見ることができ、試飲も可能です。見学料は大人12ユーロ、所要時間は約45分。月曜日を除く毎日、午前10時から午後5時まで開放されています。

驚くべきは、ここで作られる酢の品質の高さです。パリの三つ星レストランでも使われているほどで、特にシャンパーニュ酢は1本50ユーロもする高級品。お土産用の小瓶なら15ユーロから購入できます。

オルレアン観光で絶対に避けたい「落とし穴」

オルレアン観光で最も注意すべきは、5月8日前後の「ジャンヌ・ダルク祭」期間です。この時期は確かに街全体がお祭りムードで盛り上がりますが、ホテル代は通常の3倍以上に跳ね上がり、レストランは予約が取れない状態になります。

私が5月に訪れた時は、事前に予約していたはずのホテルから「オーバーブッキング」を理由にキャンセルされ、結局オルレアンから30キロ離れた街で宿を見つける羽目になりました。

また、旧市街の石畳は思っている以上に滑りやすく、特に雨の日は要注意です。私も実際に転倒しそうになり、地元の方に助けられた経験があります。歩きやすい靴は必須アイテムです。

本当のオルレアンを感じる「早朝散歩」のススメ

観光客でごった返す前の午前7時頃のオルレアンは、まさに別世界です。ロワール川沿いの遊歩道を歩けば、朝霧の中に浮かび上がる古い橋の姿は幻想的で、まるで中世にタイムスリップしたかのよう。

特におすすめは、ポン・ジョルジュ5世橋からの眺めです。ここから見る朝日は、ロワール川の水面を金色に染め上げ、対岸の古い街並みを美しく照らし出します。観光バスが動き出す前の静寂の中で、本当のオルレアンの表情を独り占めできる贅沢な時間です。

地元のジョギング愛好者たちとすれ違いながら歩く朝の散歩道は、パンフレットには載らない「生きているオルレアン」を肌で感じられる貴重な体験でした。

お土産選びで差をつける「地元民御用達」の店

最後に、普通の観光地土産とは一線を画す特別なお土産をご紹介します。パティスリー「メゾン・ガニエ」コティニャック・ドゥ・コワンは、マルメロを使った伝統的な砂糖漬けで、オルレアンでしか手に入らない逸品です。

この店は、リュ・ロワイヤル通りの小さな角にあり、外観は普通の街のパン屋さんにしか見えません。しかし、店内に一歩足を踏み入れると、甘い香りが漂い、ショーケースには美しく並んだ手作りの菓子が光っています。

コティニャック・ドゥ・コワンは1箱18ユーロ。日持ちも2ヶ月程度と長く、日本への持ち帰りにも最適です。三代目のパティシエ、ムッシュ・ガニエは「レシピは企業秘密」と笑いながら教えてくれませんでしたが、その上品な甘さと独特の食感は、一度食べたら忘れられない味でした。

オルレアンは、表面的な観光では見えない深い魅力に満ちた街です。ジャンヌ・ダルクの足跡を辿りながら、現代に息づく職人技や郷土の味を発見する旅は、きっとあなたの心に特別な思い出を刻んでくれることでしょう。