白い建物と青いドームの絶景で世界中の人々を魅了するサントリーニ島。しかし、実際に足を運んだ多くの観光客が「思っていたのと違った…」と後悔しているのをご存知でしょうか。私も初回訪問時は期待と現実のギャップに戸惑いました。今回は、そんな失敗談を交えながら、サントリーニ島観光の真実とコツをお伝えします。
写真と現実、こんなに違うの?
まず最初の衝撃は、あの有名な青いドームの教会が想像より小さいということ。Instagram で見慣れた絶景ポイントは、実際には観光客でごった返しているのが現実です。特に夕方のイアの街は、サンセットを狙うカメラマンと観光客で身動きが取れないほど。
フィラの街も同様で、狭い石畳の道に大型クルーズ船からの観光客が押し寄せます。1日に3〜4隻のクルーズ船が寄港する日は、まさにラッシュ状態。落ち着いて写真を撮りたいなら、午前8時前の早朝がおすすめです。
また、あの美しい崖沿いの景色を楽しめるのは島の西側だけ。東側は意外にも普通の海岸線で、期待していた絶景は見られません。宿選びの際は必ずカルデラビューの西側エリアを選ぶことが重要です。
移動手段で観光の質が決まる?
サントリーニ島の公共交通機関は正直言って不便です。バスは1時間に1本程度で、夏のハイシーズンには満員で乗れないことも珍しくありません。フィラからイアまでのバス料金は片道1.8ユーロですが、所要時間は約20分と意外に短いのが救いです。
レンタカーは1日約35〜50ユーロですが、駐車場探しが大変。特にイアでは駐車場が少なく、歩いて10分以上離れた場所に停めることになります。現地の人が教えてくれたコツは、ATV(四輪バギー)のレンタル。1日約25ユーロで、狭い道でも機動力抜群です。
実は地元民の多くが使っているのがタクシー。料金は高めですが(フィラ〜イア間で約15ユーロ)、時間を有効活用できます。ただし、夕方のサンセット時間帯は予約が困難になるので注意が必要です。
グルメ天国?それとも観光地価格の罠?
サントリーニ島の食事情は複雑です。確かに新鮮な魚介類と地元ワインは絶品ですが、観光地価格で財布には厳しいのが現実。カルデラビューのレストランでディナーを楽しむと、一人100ユーロ以上は覚悟が必要です。
しかし、現地で発見した穴場があります。フィラの裏路地にある「Lucky’s Souvlakis」では、本格的なギリシャ料理が1皿8〜12ユーロで味わえます。営業時間は午後12時〜午後11時で、地元の人たちにも愛される隠れた名店です。
意外な発見だったのが、島の特産品であるファバ豆のペースト。これは火山性土壌でしか育たない黄色いエンドウ豆で作られており、サントリーニ島でしか味わえません。お土産としても人気で、1缶約6ユーロです。
ワイン愛好家には朗報です。サントリーニ島のワインは独特の栽培方法「クルーラ」で作られています。強風から葡萄を守るため、つる状ではなく鳥の巣のような形に栽培するのです。Santo Wines では試飲付きツアーが1人15ユーロで楽しめます。
知らないと損する隠れスポットとは?
多くの観光客がフィラとイアだけを回って帰ってしまいますが、実はサントリーニ島には隠れた魅力的なスポットがたくさんあります。
アクロティリ遺跡は必見です。紀元前1500年頃に火山噴火で埋もれた古代都市で、「エーゲ海のポンペイ」とも呼ばれています。入場料は12ユーロで、営業時間は午前8時〜午後8時(冬期は午後3時まで)。ここで発見されたフレスコ画は現在アテネの国立考古学博物館に展示されていますが、遺跡自体も圧巻です。
レッドビーチも穴場スポットの一つ。赤い崖に囲まれた小さなビーチで、アクロティリ遺跡から徒歩10分の場所にあります。観光バスでは行けないため、比較的静かに過ごせるのが魅力です。ただし、岩場からの落石に注意が必要で、パラソルは必須アイテムです。
地元の人だけが知る秘密の場所として、イメロヴィグリ村があります。フィラとイアの中間に位置するこの小さな村は、同じカルデラビューを楽しめるのに観光客が少なく、宿泊費も3割程度安くなります。スカロス・ロックという岩山への散歩道もあり、夕日の穴場スポットとして密かに人気です。
失敗しない滞在プランの組み方
多くの観光客が犯す最大の失敗は、日帰りまたは1泊2日の弾丸観光です。サントリーニ島の真の魅力を味わうには、最低でも3泊4日は必要。私の経験上、4泊5日が最も満足度の高い滞在期間でした。
滞在プランのコツは時間帯の使い分けです。午前中は観光地巡り、午後の強い日差しの時間帯はホテルのプールでのんびり、夕方から夜にかけてディナーとサンセット鑑賞という流れが理想的。特に7〜8月の日中は気温が35度を超えるため、無理なスケジュールは禁物です。
宿泊エリア選びも重要です。フィラは利便性重視の方、イアはロマンチックな雰囲気重視の方、イメロヴィグリはコスパ重視の方におすすめ。それぞれ徒歩圏内にレストランやショップがあるため、基本的には滞在エリア内で完結できます。
意外な盲点が洗濯事情です。多くのホテルにランドリーサービスがありますが、1回20〜30ユーロと高額。フィラには24時間営業のコインランドリー「Wash & Dry」があり、洗濯・乾燥込みで8ユーロと良心的です。
現地で気づいた意外な注意点
サントリーニ島観光で最も注意すべきは、想像以上に歩くということ。石畳の階段や坂道が多く、1日で平均15,000歩以上歩きます。特に女性の方は、ヒールの高い靴は避けて歩きやすいスニーカーを持参することをお勧めします。
また、島全体で WiFi 環境はそれほど良くありません。ホテル以外でのインターネット接続は不安定なことが多く、Google マップのオフライン機能を事前にダウンロードしておくと安心です。現地のSIMカードは空港で約15ユーロで購入できます。
水道水は飲用には適していません。コンビニでペットボトルの水(500ml で約1ユーロ)を購入するか、ホテルの filtered water を利用しましょう。脱水症状には十分注意が必要です。
最後に、サントリーニ島は確かに美しい島ですが、過度な期待は禁物。SNS映えする写真を撮るためだけではなく、ギリシャの文化や歴史、地元の人々との交流も楽しんでください。そうすれば、写真以上の価値ある思い出を持ち帰ることができるはずです。