レイキャビクは実は「世界一退屈な首都」?現地で発見したアイスランドの意外すぎる本当の魅力

レイキャビクって本当に観光する価値あるの?

レイキャビクの街並みと虹

アイスランドの首都レイキャビク。人口わずか13万人のこの街を「世界一退屈な首都」と呼ぶ旅行者もいます。確かに東京やパリのような華やかさはありません。でも実際に3日間滞在してみると、この街の本当の魅力は全く別のところにあることがわかりました。

レイキャビクの魅力は「何もない贅沢」にあります。朝8時にホテルを出ても、街を歩く人はまばら。カフェでコーヒーを飲みながら、ゆっくりと時間が流れるのを感じる。これが実は最高の贅沢なんです。

到着初日の印象は正直微妙だった

ケプラヴィーク国際空港からレイキャビク市内までは約50キロ、バスで約45分の道のりです。料金は片道約3,500円と決して安くはありません。バスの窓から見える景色は、溶岩台地と苔むした大地が延々と続くだけ。「本当にここが観光地?」と不安になりました。

市内に着いても、街の中心部は歩いて30分もあれば一周できてしまいます。メインストリートのライガヴェーグル通りも、土産物店とカフェが並ぶだけの小さな商店街。東京の商店街の方がよっぽど賑やかです。

実は夜が本番?レイキャビクの意外な夜遊び文化

レイキャビクの夜景と街明かり

ところが、夜になると街は一変します。アイスランド人は「ランニング」という独特の夜遊び文化を持っています。これは夕方から深夜まで、バーからバーへと渡り歩く文化のこと。人口13万人の小さな街に、なんと100軒以上のバーがあるんです。

金曜日の夜、地元の人に連れられて体験してみました。午後7時頃から始まって、気がつけば午前3時。アイスランド人はとにかく酒が強い!そして英語が上手で、気さくに話しかけてくれます。「日本から来たの?素晴らしい!」と、まるで家族のように迎えてくれました。

ビール1杯1,500円の衝撃

ただし、お酒の値段には覚悟が必要です。ビール1杯が約1,500円、カクテルは2,500円以上。一晩で2万円は軽く飛んでいきます。でも、この値段にはちゃんと理由があります。アイスランドは長い間禁酒法があった国。1989年までビールが法律で禁止されていたんです。今でも3月1日は「ビールの日」として祝われています。

「何もない」からこそ見えてくる自然の圧倒的な力

ハットルグリムス教会の外観

レイキャビク観光の定番といえばハットルグリムス教会です。街のどこからでも見える白い尖塔が印象的な教会で、エレベーターで頂上まで上がれます(入場料約1,000円)。でも、正直言って教会自体はそれほど特別ではありません。

本当にすごいのは、教会の展望台から見える360度の景色です。街の向こうに広がるのは、どこまでも続く溶岩台地と雪をかぶった山々。そして海。これ以上何も要らないと思えるほど、シンプルで力強い景色が広がっています。

レイキャビク市内で温泉に入れる贅沢

市内観光で絶対に外せないのがナウトホルスヴィーク地熱ビーチです。街の中心部から歩いて約20分、海沿いに作られた人工の温泉プールがあります。入場料は無料で、24時間いつでも利用可能。

12月の雪の日に入ってみました。気温は氷点下5度、でもお湯は38度の絶妙な温度。雪が舞う中で温泉に浸かりながら、大西洋を眺める。こんな贅沢な体験ができるのは、世界中探してもレイキャビクだけでしょう。

アイスランド人が教えてくれた本当の楽しみ方

レイキャビクの街角カフェ

3日目の朝、カフェで隣に座ったアイスランド人のおじいさんが話しかけてくれました。「レイキャビクを楽しんでいるかい?」と聞かれて、正直に「まだよくわからない」と答えると、彼は笑いながらこう教えてくれました。

「レイキャビクは『する』場所じゃない。『感じる』場所なんだよ」

彼が連れて行ってくれたのは、ペルトランという温水タンクを改装した展望施設です(入場料約2,000円、営業時間9:00-22:00)。ここの展望デッキから見る景色は確かに美しいのですが、それよりも印象に残ったのは彼の言葉でした。

アイスランド語で「ありがとう」は「タック」

「急いで観光地を回る必要はない。ゆっくり街を歩いて、人と話をして、おいしいコーヒーを飲む。それがアイスランド流だ」

確かにその通りでした。レイキャビクのカフェ文化は本当に素晴らしいんです。レイキャビク・ロースターズでは、世界最高峰のコーヒーが1杯約800円で楽しめます。店内は地元の人たちで満席ですが、みんな急いでいません。読書をしたり、友人と語り合ったり、ただぼーっと外を眺めたり。

食べ物の常識が完全にひっくり返る体験

アイスランドの伝統料理

アイスランド料理と聞いて何を想像しますか?正直、期待していませんでした。ところが、これが大きな間違い。レイキャビクの食事は、想像を遥かに超える美味しさでした。

フィッシュ・アンド・チップスの専門店「アイスランディック・フィッシュ・アンド・チップス」では、新鮮なタラを使った絶品料理が約2,500円で食べられます。でも本当に驚いたのは、発酵鮫という伝統料理でした。

世界一臭い食べ物?実は奥が深かった

「ハウカットル」と呼ばれる発酵鮫は、世界一臭い食べ物として有名です。好奇心で挑戦してみると…確かに臭い!でも、地元の人に食べ方を教わると印象が変わりました。

まずブレニヴィーンというアイスランドの蒸留酒で口をすすぎ、小さく切った鮫肉を一口で飲み込む。そして再び酒を飲む。この繰り返しです。慣れてくると、鮫肉の深い旨味が感じられるようになります。厳しい冬を生き抜くための知恵が詰まった、文化そのものの味でした。

帰国後に気づいた「レイキャビク中毒」

帰国してから1ヶ月後、不思議な症状に襲われました。東京の雑踏を歩いていても、どこか物足りない。カフェに入っても落ち着かない。これが「レイキャビク中毒」でした。

あの静寂、あのゆったりとした時間の流れ、そして人々の温かさ。すべてが恋しくなりました。レイキャビクは確かに「何もない」街かもしれません。でも、その「何もなさ」が、現代人が失ってしまった大切なものを思い出させてくれる場所でした。

次回アイスランドに行くときは、レイキャビクに最低1週間は滞在しようと決めています。今度は観光客としてではなく、この街の一部になってみたいのです。