ヨルダンの首都アンマンを訪れる日本人観光客が年々増えている一方で、「思っていたのと違った」という声も少なくありません。中東の玄関口として人気のアンマンですが、実は初心者が陥りやすい落とし穴がいくつも存在します。私自身も初回訪問時に痛い目に遭った経験があります。今回は、そんな失敗談を交えながら、アンマン観光を成功させるための実用的な情報をお伝えします。
アンマンってどんな街?想像と現実のギャップに驚愕
多くの人がアンマンに抱くイメージは「砂漠の中の古い街」かもしれませんが、実際は全く違います。標高約800メートルの丘陵地帯に広がる現代都市で、人口約400万人を擁する中東有数の大都市なのです。
街は7つの丘(ジャバル)に囲まれており、白い石灰岩の建物が斜面を埋め尽くす光景は圧巻です。しかし、ここで最初の落とし穴が待っています。アンマンは非常に坂が多く、徒歩での移動は想像以上に体力を消耗します。特に夏場(6月〜9月)は気温が35度を超えることもあり、無計画な徒歩移動は危険です。
意外なことに、アンマンは中東でも屈指の国際都市として知られています。シリア、イラク、パレスチナなどからの避難民も多く住んでおり、アラビア語以外にも英語、フランス語、時にはロシア語まで聞こえてきます。この多様性こそがアンマンの魅力でもあり、複雑さでもあるのです。
絶対に見逃せない古代遺跡!でも入場料で後悔する人続出
アンマン観光のハイライトといえば、アンマン城塞(Amman Citadel)です。標高850メートルのジャバル・アル・カラに位置し、ローマ時代からイスラム時代まで約2000年の歴史が層となって積み重なっています。
城塞の入場料は3ヨルダン・ディナール(約630円)ですが、ここで多くの観光客が後悔するポイントがあります。実はジョーダンパスを事前購入すれば、ペトラ遺跡をはじめとする40以上の観光地に入場でき、大幅に節約できるのです。70ディナール(約14,700円)で2日間有効ですが、ペトラだけで50ディナールするため、複数の遺跡を回る予定があるなら絶対にお得です。
城塞で見逃してはいけないのがヘラクレス神殿の巨大な手の石像です。実はこの手、完成していれば高さ12メートルの巨像になる予定だったという説があります。なぜ未完成のまま残されたのか、その理由は今も謎に包まれています。
城塞からの眺望も素晴らしく、アンマン市街を360度見渡せます。特に夕方のマグリブ(日没の祈り)の時間帯は、街中のモスクから一斉にアザーン(祈りの呼びかけ)が響き渡り、幻想的な雰囲気に包まれます。営業時間は8:00〜19:00(冬期は17:00まで)で、金曜日は13:30から開館です。
ローマ劇場で写真撮影は要注意?知らないと恥をかく現地マナー
城塞と並んでアンマンを代表する観光地がローマ劇場(Roman Theatre)です。2世紀に建設されたこの劇場は、6000人を収容できる巨大な円形劇場で、現在でも実際にコンサートや演劇が開催されています。
入場料は2ディナール(約420円)で、劇場内は自由に見学できますが、ここで外国人観光客がよく犯すマナー違反があります。それは現地の女性を無断で撮影することです。イスラム教の教えで、女性の写真撮影は非常にデリケートな問題です。特にヒジャブを着用した女性を写真に収める場合は、必ず事前に許可を取るか、写らないよう配慮する必要があります。
劇場の音響効果は現在でも完璧で、最上段から舞台で話す声がはっきりと聞こえます。古代ローマの建築技術の高さを実感できる瞬間です。劇場に隣接するヨルダン民俗博物館とヨルダン民俗伝統博物館も同じチケットで入場でき、ベドウィンの伝統的な生活用品や衣装を見学できます。
意外な豆知識として、このローマ劇場は1957年まで実際に住居として使用されていました。現在の美しい姿は、1960年代の大規模修復工事によるものなのです。
グルメ天国アンマン!でもレストラン選びで大失敗した話
交通手段の選択ミス?タクシーvsサービスタクシーの真実
アンマンでの移動手段選びは、観光の成否を左右する重要な要素です。最も一般的なのはタクシーですが、メーター制ではない車両も多く、交渉が必要になることがあります。
サービスタクシーという乗り合いタクシーもありますが、これは上級者向けです。決められたルートを走り、料金は0.5ディナール(約105円)と格安ですが、アラビア語ができないと利用は困難です。私も挑戦しましたが、全く違う場所で降ろされた苦い経験があります。
実は最も確実なのがUberやCareemといった配車アプリです。料金が事前に分かり、ドライバーとの言語の壁も少なくて済みます。空港から市内中心部まで約15〜20ディナール(約3,150〜4,200円)が相場で、所要時間は約45分です。
公共バスも存在しますが、路線図がアラビア語のみで、観光客には現実的ではありません。ただし、料金は0.35ディナール(約74円)と非常に安く、現地体験を重視する方には面白い選択肢かもしれません。
徒歩移動する際の注意点として、アンマンの道路は車優先で、歩道が整備されていない場所も多くあります。特に金曜日の午後はジュマ(集団礼拝)のため交通渋滞が激しくなり、移動時間が大幅に延びることがあります。
アンマン観光は事前の情報収集と現地での柔軟性が成功の鍵です。失敗を恐れずに、この魅力的な中東の都市での冒険を楽しんでください。きっと期待以上の発見と出会いが待っているはずです。