まさかここまで格式が高いとは…初見の衝撃
兵庫県芦屋市にあるロイヤル・ヘイグ ゴルフクラブは、その名前からして格式の高さが伝わってきますが、実際に足を踏み入れると想像以上の厳格さに圧倒されます。私が初めて訪れた時、クラブハウスの重厚な扉を開けた瞬間から、ここが普通のゴルフ場ではないことを痛感しました。
1957年に開場したこのコースは、英国風の伝統的な設計が特徴で、まるでスコットランドの名門コースにタイムスリップしたような錯覚に陥ります。阪神間の高級住宅街に位置し、大阪市内からは約40分、神戸からは30分程度でアクセス可能です。しかし、この立地の良さが逆に「気軽に行けるゴルフ場」という先入観を生み、私のような初心者には思わぬ落とし穴となったのです。
服装チェックで冷や汗…知らなかったドレスコードの厳しさ
受付での出来事は今でも鮮明に覚えています。私はいつものカジュアルなゴルフウェアで到着したのですが、フロントスタッフの視線が厳しく、「申し訳ございませんが、ジーンズ素材のパンツはご遠慮いただいております」と丁寧に注意されました。
ロイヤル・ヘイグのドレスコードは想像以上に厳格です。男性はえり付きのシャツ必須、短パンの場合はハイソックス着用、女性も同様にきちんとしたゴルフウェアが求められます。特に驚いたのは、クラブハウス内での帽子着用が禁止されていることです。多くのゴルフ場では帽子をかぶったままレストランを利用できますが、ここでは必ず脱帽する必要があります。
幸い、プロショップで急遽適切なパンツを購入できましたが、料金は一般的なゴルフショップの1.5倍程度。平日のプレー料金が2万円台後半からと決して安くない上に、思わぬ出費が重なりました。
コース設計の巧妙な罠…美しさに隠された難易度
いよいよティーオフを迎えると、コースの美しさに心を奪われました。六甲山系の緑豊かな景観を背景に、各ホールが絶妙に配置されています。しかし、この美しさこそが最大の罠だったのです。
1番ホールから既に洗礼を受けました。見た目は比較的フラットに見えるのですが、実際にプレーしてみると微妙な起伏とグリーンの傾斜が複雑に組み合わさり、思った以上にパットが難しいのです。特に4番ホールの池越えショットは、距離感を誤ると確実に池ポチャという設計になっており、私は見事に2球も池に献上してしまいました。
キャディさんの話によると、このコースは「見た目の美しさと実際の難易度のギャップが大きい」ことで有名だそうです。平均スコアが90台のゴルファーでも、初回は100を切るのが困難と言われており、私も例外ではありませんでした。
意外すぎる歴史秘話…皇室との深いつながり
プレー中にキャディさんから聞いた話で最も驚いたのが、このゴルフ場の歴史的背景です。実はロイヤル・ヘイグという名称は、英国の軍人ダグラス・ヘイグ元帥に由来しており、第一次世界大戦時の英国陸軍総司令官だった人物です。
さらに驚くべきことに、このコースは過去に皇室の方々もプレーされたことがあり、そのため「ロイヤル」の称号が付けられているという説もあります。クラブハウス内には当時の写真や記念品が飾られており、一般的なゴルフ場とは一線を画す格式の高さを物語っています。
また、設計者は日本のゴルフコース設計の父と呼れる井上誠一氏で、彼の代表作の一つとされています。コースの随所に見られる英国風バンカーの配置や、グリーンの微妙な起伏は、まさに職人技の結晶と言えるでしょう。
リベンジプレーで分かった真の魅力…上達への近道
初回の惨敗から3か月後、今度は万全の準備でリベンジに挑みました。適切なウェアを用意し、事前にコースレイアウトを研究し、プレー料金も覚悟の上で臨んだ2回目は、まったく異なる体験となりました。
ロイヤル・ヘイグの真の魅力は、その厳格さにこそあることが分かったのです。格式高い環境でプレーすることで、自然とゴルフに対する姿勢が正され、集中力も格段に向上します。特にキャディサービスの質の高さは群を抜いており、コースの読み方から戦略的なクラブ選択まで、的確なアドバイスをしてくれます。
2回目のプレーでは、1番ホールの微妙な傾斜を活かしたアプローチが成功し、バーディーを記録できました。これまで何度も失敗していた4番ホールの池越えも、キャディさんのアドバイス通り番手を上げることで安全にクリア。最終的には前回より15打も縮めることができたのです。
レストランでの至福のひととき
プレー後のクラブハウスレストランも格別です。料理長が腕を振るう特製ビーフシチューは絶品で、プレーの疲れを癒してくれます。価格は3,200円と決して安くありませんが、上質な食材と丁寧な調理で納得の味わいです。
窓から見える18番グリーンの景色を眺めながらの食事は、まさに至福のひととき。他のゴルファーたちとの会話も自然と弾み、ゴルフ談義に花が咲きます。ここで出会った常連の方から教えてもらったコース攻略法は、今でも私の貴重な財産となっています。
これから挑戦する人へのアドバイス
ロイヤル・ヘイグに挑戦するなら、まずは平日プレーがおすすめです。土日祝日は35,000円程度まで跳ね上がりますが、平日なら25,000円前後でプレー可能。予約は会員紹介が基本ですが、一部旅行会社経由でも受け付けています。
服装は事前に公式サイトで確認し、少し格式高めを心がけてください。特に靴は革靴風のゴルフシューズが無難です。また、プレー進行も重視されるため、スロープレーにならないよう注意が必要です。
最初は圧倒されるかもしれませんが、この厳格な環境でプレーすることで、間違いなくゴルフに対する意識が変わります。私のように初回で大失敗しても、それもまた貴重な経験。真のゴルファーへの第一歩として、ぜひ挑戦してみてください。