憧れのボラカイ島、でも最初は期待外れだった?
フィリピン・ボラカイ島のホワイトビーチ。「世界最高のビーチ」と呼ばれるこの場所に、私は正直なところ最初はがっかりしました。なぜなら、想像していたよりもずっと狭く、観光客でごった返していたからです。
でも、それは私の訪れ方が間違っていただけでした。ボラカイ島は長さわずか7キロ、幅1キロの小さな島。そのメインビーチであるホワイトビーチは約4キロの長さで、実は3つのエリアに分かれています。初心者の多くが集中するステーション2だけを見て判断してしまうのが、最初の失敗だったのです。
時間帯で表情を変える?ホワイトビーチの一日
ホワイトビーチの本当の魅力は、時間の移り変わりとともに見せる表情の豊かさにあります。朝6時頃、まだ観光客が少ない時間帯に歩くと、真っ白な砂浜が朝日に輝いて幻想的です。この時間なら、有名なパウダーサンドの細かさを足の裏でしっかりと感じることができます。
昼間は確かに人が多くなりますが、実はこの時間帯こそがウォータースポーツを楽しむベストタイム。パラセーリングは1回約2000ペソ(約5000円)、所要時間は15分程度です。上空から見るホワイトビーチの美しさは、地上からでは味わえない感動があります。
そして夕方。これが多くの人がボラカイ島を訪れる最大の理由かもしれません。世界三大夕日の一つとされるサンセットは、まさに息をのむ美しさです。
ステーション1、2、3って何?知らないと損する区域の使い分け
多くのガイドブックでは詳しく説明されていませんが、ホワイトビーチは3つの区域に分かれており、それぞれ全く違う雰囲気を持っています。
ステーション1は島の北側で、最も静かで高級なエリア。ここには5つ星ホテルが立ち並び、宿泊料金は1泊2万円以上が相場です。砂浜の幅も最も広く、ゆったりとした時間を過ごせます。ただし、レストランや買い物施設は限られているので、食事には注意が必要です。
ステーション2は島の中央部で、最も賑やかなエリア。ショッピングモール「Dモール」があり、レストランやバー、お土産店が密集しています。宿泊費は1泊5000円〜1万5000円程度と幅広く、初心者にはアクセスが便利です。ただし、人が多すぎて落ち着かないという声も。
ステーション3は島の南側で、地元の人々の生活に近いエリア。宿泊費は1泊3000円〜8000円程度と最も安く、ローカルな雰囲気を楽しめます。しかし、砂浜の幅は狭く、岩場も多いため遊泳には注意が必要です。
マニラから4時間?実際のアクセスで覚悟すべきこと
ボラカイ島への道のりは、想像以上に複雑です。まず、マニラまたはセブからカリボ空港かカティクラン空港へ飛行機で移動(約1時間20分)。その後、カリボ空港からは約1時間半のバス移動、カティクラン空港からは約15分の移動でカティクラン港へ。
ここからが重要なポイントです。ボラカイ島は2018年に環境問題で半年間閉鎖された経験から、現在は厳格な入島管理が行われています。カティクラン港では環境税(75ペソ、約190円)とターミナル使用料(30ペソ、約75円)を支払い、さらにボート代(25ペソ、約65円)が必要です。
ボートでの移動時間は約15分ですが、天候によっては30分以上かかることも。私が訪れた際は、突然のスコールで2時間待機させられました。余裕を持ったスケジュールが必須です。
実は食べ物が微妙?現地グルメの本当のところ
正直に言うと、ボラカイ島の食事は期待しすぎない方が良いかもしれません。観光地価格で、マニラの2〜3倍の料金設定が一般的です。しかし、いくつかの例外的に美味しい店があります。
「True Food Indian Cuisine」のカレーは絶品で、現地在住のインド人にも愛されています。一方、フィリピン料理では「Sunny Side Café」のアドボとシシグが観光客向けにアレンジされておらず、本格的な味を楽しめます。価格は300〜500ペソ(約750〜1250円)程度です。
意外な穴場は、ステーション3にある地元の人が通う「カレンデリア」(大衆食堂)。1食100ペソ(約250円)程度で、素朴ながら心のこもった家庭料理を味わえます。ただし、衛生面が気になる方は避けた方が無難でしょう。
知らないと恥をかく?ボラカイ島の環境ルール
2018年の閉鎖を経て、ボラカイ島は環境保護に非常に厳しくなりました。これを知らずに訪れると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
まず、ビーチでの喫煙は完全禁止。違反すると最大2500ペソ(約6250円)の罰金です。また、ビーチでの飲酒も午後6時から午前6時まで禁止されています。夜のビーチパーティーを想像していた方には残念ですが、これが現実です。
さらに、日焼け止めの使用にも制限があります。サンゴ礁に害を与える成分を含む製品は使用禁止で、現地で「リーフセーフ」と表示された製品を購入する必要があります(1本約800ペソ、約2000円)。
プラスチック製品の持ち込みも制限されており、ペットボトルの水は島内で購入するか、リユースボトルを持参することを強く推奨されます。
マッサージ天国の落とし穴、ぼったくりを避ける方法は?
ボラカイ島といえば、ビーチサイドでのマッサージも有名です。白い砂浜で受けるオイルマッサージは確かに気持ち良いのですが、価格交渉と品質の見極めが重要です。
相場は1時間で500〜800ペソ(約1250〜2000円)ですが、観光客には最初1500ペソ程度をふっかけてくることがあります。必ず事前に価格を確認し、できれば現地の人におすすめの施術者を紹介してもらいましょう。
私が実際に体験して良かったのは、ステーション2の「スパイス ビーチクラブ」近くで営業している「テサ」というベテランマッサージ師。20年以上の経験があり、力加減も絶妙でした。ただし、人気なので予約は必須です。
雨季に行っても大丈夫?実際の天気事情
ボラカイ島の雨季は6月から10月までですが、この期間も決して諦める必要はありません。確かに午後にスコールが降ることが多いですが、逆に観光客が少なく、宿泊費も乾季の半額程度になります。
雨季の楽しみ方のコツは、室内アクティビティを事前に調べておくこと。Dモール内の「アイランド・ホッピング・ツアー・センター」では、雨天時でも楽しめる洞窟探検ツアー(1人1500ペソ、約3750円)を提供しています。
また、雨上がりの夕日は乾季よりも美しいことがあります。雲の隙間から差し込む光が作り出すドラマチックな景色は、まさに絶景です。
帰国前に知っておきたい、お土産選びの現実
ボラカイ島のお土産事情は、正直なところかなり限定的です。Dモール内の土産店で販売されている商品の多くは中国製で、「ボラカイ」と印刷されただけのTシャツやマグカップが大半を占めます。
本当におすすめできるのは、「ココナッツオイル」と「バージンココナッツオイル」。現地生産で品質も良く、100mlで150ペソ(約375円)程度と手頃です。また、「カラマンシー石鹸」は天然成分で作られており、肌に優しく香りも良いためお土産として喜ばれます。
変わったところでは、ビーチで拾った貝殻を使ったアクセサリー作り体験(1個300ペソ、約750円)ができる工房もあり、世界に一つだけのお土産を作ることができます。
最後に、ボラカイ・ホワイトビーチは確かに美しいビーチですが、過度な期待は禁物です。しかし、時間の使い方と場所選びを間違えなければ、きっと忘れられない思い出を作ることができるでしょう。特に、朝の静けさと夕日の美しさは、他では味わえない特別な体験となるはずです。