赤の広場で迷子になった私が教える、クレムリン観光で絶対に知っておくべき「入場の罠」

「また明日来てください」と門前払い?予約必須の現実

クレムリンの赤い城壁と塔

モスクワ到着初日、私は意気揚々とクレムリンへ向かいました。しかし、入り口で「今日のチケットは完売です」と冷たく告げられたのです。実はクレムリンの武器庫や大聖堂群の見学には事前予約が必須で、当日券はほぼ期待できません。

料金は大人1,000ルーブル(約1,500円)から、武器庫は別途700ルーブル(約1,000円)が必要です。営業時間は10時から17時までですが、火曜日は休館なので要注意。私のように初日に行って門前払いを食らわないよう、必ず公式サイトで事前購入しておきましょう。

赤の広場って実は「赤色」とは関係ない?

赤の広場の石畳と聖ワシリイ大聖堂

多くの観光客が勘違いしているのですが、「赤の広場」の名前は赤色から来ているわけではありません。ロシア語で「クラースナヤ」は「美しい」という意味で、後に「赤い」という意味も持つようになったのです。

広場に立つと、その圧倒的な広さに驚かされます。長さ330メートル、幅175メートルもあり、東京ドーム約1.5個分の面積です。石畳の一つ一つに歴史を感じながら歩いていると、まるで映画の世界に迷い込んだような感覚になります。

聖ワシリイ大聖堂の「ねぎ坊主」に隠された残酷な歴史

カラフルな聖ワシリイ大聖堂の玉ねぎドーム

赤の広場のシンボル、聖ワシリイ大聖堂の色とりどりのドームは「玉ねぎドーム」と呼ばれています。しかし、建設当初は実は白一色だったのをご存知でしょうか?現在の鮮やかな色彩は17-19世紀にかけて段階的に塗り替えられたものです。

さらに衝撃的なのは、この美しい大聖堂を設計した建築家バルマとポストニクが、完成後にイワン雷帝によって目をつぶされたという伝説があること。「これほど美しい建物を二度と造らせないため」だったとされています。真偽のほどは定かではありませんが、当時の権力者の恐ろしさを物語るエピソードです。

クレムリンの中で迷子になりそうになった私の体験談

クレムリン内部の大聖堂群

念願叶ってクレムリンに入場できた2日目。トロイツカヤ塔から入り、まず向かったのはウスペンスキー大聖堂です。ロシア皇帝の戴冠式が行われた神聖な場所で、入った瞬間に金色に輝くイコノスタシス(聖障)の美しさに息を呑みました。

しかし、興奮のあまり写真撮影に夢中になっていたら、気づけば団体客の波に紛れて違う方向へ。クレムリン内部は意外と複雑で、大聖堂広場を中心に複数の建物が点在しています。アルハンゲリスキー大聖堂ブラゴヴェシェンスキー大聖堂を見学する際は、順路をしっかり確認することをお勧めします。

知られざる「皇帝の大砲」と「皇帝の鐘」の皮肉な運命

巨大な皇帝の大砲

クレムリン見学で必見なのが、皇帝の大砲と皇帝の鐘です。しかし、この2つには共通する皮肉な運命があります。

皇帝の大砲は重量40トン、砲身の直径が89センチもある世界最大級の大砲ですが、実は一度も発砲されたことがありません。皇帝の鐘も重量200トンを超える巨大な鐘ですが、鋳造時の火災で大きく欠けてしまい、一度も鳴らされることがありませんでした。

まさに「大きすぎて使えない」という、権力の象徴として造られた物の悲哀を感じさせます。現在はただの展示物となっていますが、その巨大さは実際に目の前で見ると圧巻です。

アクセスと周辺グルメ、そして絶対に避けたい落とし穴

クレムリンへのアクセスは、地下鉄ソコーリニチェスカヤ線のオホートヌイ・リャド駅から徒歩3分が最も便利です。赤の広場へは同駅から徒歩1分という好立地にあります。

観光後は、近くのGUMデパート内のレストランでボルシチとビーフストロガノフを味わうのがおすすめ。特に2階のレストラン「ストロロヴァヤ・No.57」は手頃な価格でロシア料理を楽しめます。

ただし、絶対に避けたい落とし穴があります。それは写真撮影の規制です。クレムリン内の大聖堂では内部撮影が一切禁止されており、違反すると厳しく注意されます。また、赤の広場でも警備兵の交代式の際は撮影制限があるので注意が必要です。

冬のモスクワで学んだ防寒対策の重要性

私が訪れたのは2月でしたが、気温はマイナス15度。防寒対策を甘く見ていたせいで、屋外での見学時間を大幅に短縮せざるを得ませんでした。特に赤の広場は遮るものがないため、風が直接当たります。

帽子、手袋、厚手のコートは必須です。足元も滑りやすいので、滑り止めのついた靴を履いていくことを強くお勧めします。逆に夏場は日差しが強いので、日焼け止めと帽子をお忘れなく。

最後に知っておきたい時間配分のコツ

クレムリンと赤の広場の見学には、最低でも半日は確保してください。クレムリン内部だけで2-3時間、赤の広場周辺で1-2時間は必要です。特に武器庫は見どころが多く、ファベルジェの卵や皇室の宝飾品など、時間を忘れて見入ってしまいます。

私のように初日に入場できずに慌てることなく、余裕を持った旅程を組んでください。モスクワの心臓部であるこの場所は、ロシアの歴史と文化を肌で感じられる特別な空間です。事前準備をしっかりと行えば、きっと忘れられない思い出となるはずです。