バルセロナを旅した多くの人が「もっと早く知りておけば良かった!」と後悔するポイントがあります。美しいガウディ建築と地中海の恵みに魅了される一方で、観光地特有の罠や見落としがちな魅力的なスポットも存在するのです。実際に現地を歩き回って分かった、ガイドブックには載っていない生の情報をお伝えします。
サグラダファミリアの入場券、当日購入は絶望的?
バルセロナ観光の象徴であるサグラダファミリアですが、多くの観光客が犯す最大の失敗は「現地で入場券を買えばいいや」という考えです。実際には、ハイシーズン(6月〜9月)や週末は、1週間以上前から売り切れることがザラにあります。
公式サイトでの事前予約は必須で、料金は基本入場券が26ユーロ、塔へのアクセス付きが33ユーロです。朝8時30分の開館直後か、夕方の時間帯がおすすめ。特に夕方は、ステンドグラスが西日に照らされて教会内部が虹色に染まる神秘的な光景を目にできます。
地元の人が教えてくれた裏ワザですが、雨の日は当日キャンセルが出やすいので、公式サイトを小まめにチェックしてみてください。カリア・デ・マルローク通り356番地にあるサグラダファミリアへは、地下鉄2号線・5号線のサグラダファミリア駅から徒歩1分です。
グエル公園の無料エリアを知らないと大損する
多くの観光客が誤解しているのが、グエル公園は全エリアが有料だと思っていること。実は公園の約8割は無料で楽しめるんです。有料なのは「モニュメンタル・ゾーン」と呼ばれる中央部分のみ(10ユーロ)で、ここにはあの有名なトカゲのオブジェやカラフルなベンチがあります。
でも無料エリアにも見どころは満載。特に公園の最上部にある十字架の丘からは、バルセロナ市街と地中海を一望できる絶景ポイントがあります。地元の人たちがピクニックを楽しんでいる光景も、観光地では味わえない日常の一コマです。
アクセスは地下鉄3号線のレセップス駅から徒歩15分の坂道です。この坂がけっこうキツイので、歩きやすい靴は必須。開園時間は季節により異なりますが、夏期は朝8時から夜9時30分まで開いています。
ランブラス通りで財布を守る現実的な対策
ランブラス通りはバルセロナの大動脈として多くの観光客で賑わいますが、同時にスリの多発地帯でもあります。「観光地だから安全」という思い込みは禁物。現地の警察官に聞いた話では、1日平均20件以上のスリ被害が報告されているそうです。
特に注意が必要なのは、路上パフォーマンスに気を取られている時です。人間の銅像のような大道芸人の周りに人だかりができますが、この時に背後から近づいてくるのがスリの常套手段。また、「サッカーの試合結果を教えて」などと声をかけて注意をそらす手口も頻発しています。
対策としては、リュックは前に抱える、財布は内ポケットに入れる、そしてスマートフォンでの撮影時は必ずストラップを手首に巻く。これだけでリスクは大幅に減ります。ランブラス通りを歩く時は、美しい建物や花屋を楽しみつつも、周囲への警戒は怠らないことが大切です。
タパス巡りで絶対に外せない地元民の店
バルセロナのグルメといえばタパスですが、観光客向けの店と地元民の店では、味も値段も天と地の差があります。見分け方のコツは、メニューが多言語で書かれていない、そしてカウンターに地元の人が立ち飲みしているかどうかです。
特におすすめなのが、ボルン地区にある小さなバル「Cal Pep」。ここのガンバス・アル・アヒージョ(エビのニンニク炒め)は絶品で、1皿8ユーロ程度。ただし、12時30分から16時、19時30分から23時30分の営業で、日曜日は定休日です。カウンター席のみで予約不可なので、開店30分前には並ぶ覚悟が必要。
意外に知られていないのが、バルセロナのタパスには「ピンチョス」文化があること。これは小さなパンの上に具材を乗せた一口サイズの料理で、バスク地方発祥ですがバルセロナでも人気。地元の人は立ち飲みしながら、つまようじの数で会計する気軽なスタイルを楽しんでいます。
カサ・ミラの屋上テラスが夕日鑑賞の穴場スポット
ガウディ建築の中でも見落とされがちなのがカサ・ミラ(ラ・ペドレラ)の屋上テラスです。多くの観光客はサグラダファミリアやグエル公園に集中しますが、実は夕日を眺めるなら断然ここがおすすめ。波打つような石の外壁で有名な建物ですが、屋上からのパノラマビューは圧巻です。
入場料は25ユーロと決して安くはありませんが、夜間のプレミアムツアー(39ユーロ)なら屋上でのドリンク付き。グラシア通り92番地に位置し、地下鉄3・5号線のディアゴナル駅から徒歩2分の好立地です。営業時間は朝9時から夜8時30分まで、夜間ツアーは季節限定で21時から開催されます。
地元の建築家が教えてくれた興味深い話ですが、カサ・ミラは実は世界初の立体駐車場構造を持つ建物なんです。1906年の建設当時、自動車はまだ珍しい存在でしたが、ガウディは将来を見据えて地下駐車場を設計していました。こうした先見性も、ガウディ建築の魅力の一つです。
地下鉄の10回券で交通費を半額に削減
バルセロナの移動で多くの観光客が知らずに損しているのが交通費です。単発切符(2.40ユーロ)を毎回買うのではなく、T-10という10回券(11.35ユーロ)を購入すれば、1回あたり1.14ユーロと半額以下になります。
しかもこの券の素晴らしいところは、地下鉄だけでなくバス、トラム、近郊鉄道でも使えること。さらに1枚で複数人が利用可能で、75分以内なら乗り継ぎ無料という親切設計。地下鉄の券売機で簡単に購入でき、日本語表示もあるので安心です。
地元の人が利用する裏技として、空港からの移動にも活用できます。空港から市内まではエアロバス(5.90ユーロ)が一般的ですが、実はT-10で近郊鉄道のR2線を使えば市内中心部まで約30分、追加料金なしで行けるんです。
本当のバルセロナは旧市街の迷路にある
最後に、多くのガイドブックが見落としているバルセロナの真の魅力についてお話しします。それは、ゴシック地区の迷路のような小道を当てもなく歩くこと。GPS に頼らず、感覚で歩いてみてください。
特に平日の午後、地元の子供たちが学校から帰る時間帯(16時頃)に歩くと、観光地とは全く違うバルセロナの日常に触れられます。小さな広場でおじいさんたちがチェスに興じ、バルコニーからお母さんが子供を呼ぶ声が響く。こうした何気ない瞬間こそが、旅の一番の思い出になるのではないでしょうか。
中世の面影を残すカレル・デル・ビスベ通りの石畳、突然現れる小さな教会、路地裏の隠れ家的なカフェ。迷子になることを恐れず、スマートフォンをポケットにしまって、五感でバルセロナを感じてみてください。きっと予想もしなかった発見があるはずです。