タイ南部の秘境クラビ。プーケットの陰に隠れがちですが、実はここにこそタイの真の美しさが凝縮されているんです。私が初めてクラビを訪れた時、ガイドブックに載っている定番スポットだけでは物足りなさを感じました。しかし、地元の漁師さんに教わった隠れスポットを巡ってみると、まさに息を呑むような絶景に出会えたのです。
なぜクラビが「隠れた宝石」と呼ばれるのか?
クラビ県は、アンダマン海に面した石灰岩の奇岩群で有名な観光地です。しかし多くの観光客が見落としているのが、クラビタウンから車で約1時間のタム・ロッド洞窟。ここは地元の人しか知らない秘境で、洞窟内の鍾乳石が作り出す自然のアート空間は圧巻です。
午前9時から午後4時まで開放されており、入場料は大人40バーツ(約160円)という驚きの安さ。ただし、雨季(5月〜10月)は水位が上がるため立入禁止になることがあります。私が訪れた時も、前日の雨で危うく入れないところでした。
クラビの魅力は、プーケットのような商業的な喧騒がない点にあります。朝6時頃にクラビタウンの市場を歩けば、地元の人々の素朴な暮らしぶりを垣間見ることができ、観光地化されていない本物のタイを感じられるのです。
定番スポットの「裏の楽しみ方」知ってますか?
エメラルドプールは確かに美しいのですが、観光バスが到着する午前10時〜午後2時は人だらけ。しかし午後3時以降なら、まるで貸切状態になります。入場料は大人200バーツで、クラビタウンから車で約1時間です。
ここで地元ガイドから聞いた裏技をひとつ。エメラルドプールから徒歩15分の奥にあるブルーラグーンは、99%の観光客が素通りしてしまう穴場スポット。水の透明度はエメラルドプールを上回り、魚たちと一緒に泳げる天然のアクアリウムなんです。
さらにマニアックな情報として、ホットスプリングでは地元の人が持参する生卵を温泉で茹でて食べる光景を目にできます。観光客向けの施設ではこんな体験はできませんよね。
アイランドホッピングで絶対に避けるべき失敗とは?
クラビからの4島巡りツアーは人気ですが、実は落とし穴があります。格安ツアー(1人800バーツ程度)に参加すると、各島での滞在時間がたったの30分程度。写真を撮るだけで終わってしまいます。
私がおすすめするのは、少し高くても(1人1500バーツ程度)スピードボートでの半日ツアーです。アオナンビーチから出発して、ポダ島、チキン島、タップ島、プラナン洞窟を効率よく巡れます。
特にプラナン洞窟では、地元の人が信仰する男性シンボルの木彫りが無数に奉納されており、子宝祈願のパワースポットとして有名。この話をツアーガイドがしてくれることは滅多にないので、事前に知っておくと面白い発見ができます。
ツアー選びのコツは、アオナンビーチの現地旅行会社で直接申し込むこと。ホテル経由だと手数料が上乗せされてしまいます。朝8時出発で午後1時頃に戻ってくるスケジュールが理想的です。
地元民しか知らない絶品グルメスポット
クラビタウンのウォーキングストリート(金土日の夜のみ開催)では、観光客向けの屋台とは一味違う本格的なタイ料理に出会えます。特に「おばちゃんの店」と地元で呼ばれる屋台のガイヤーン(タイ風焼き鳥)は絶品。1串わずか20バーツで、日本では味わえないハーブの香りが楽しめます。
しかし、真のグルメ体験をしたいならカントリーモール周辺の食堂街へ。クラビタウンから車で約10分の場所にあり、現地価格で地元料理が味わえます。ここのカオソーイ(カレーラーメン)は、チェンマイ発祥とは全く違う南部独特の味付けで、ココナッツミルクの甘さが絶妙です。
意外な穴場グルメとして、アオナンビーチ沿いのムスリム系食堂で提供される「ロティ・マタバ」という料理があります。薄いパンケーキのような生地に卵とカレーを包んだもので、1皿50バーツ程度。これはタイ南部のムスリム系住民の伝統料理で、観光客にはほとんど知られていません。
クラビで絶対にやってはいけない3つの失敗
まず、雨季の洞窟探検は危険です。私の友人は7月にタイガーケーブテンプルの洞窟に入り、突然の鉄砲水で1時間も出られなくなりました。現地の人は「雨が降ったらすぐ出る」のが鉄則だと言います。
二つ目は、日焼け止めの準備不足。クラビの紫外線は日本の約3倍。特にボートツアー中は海面からの反射もあり、30分で真っ赤に焼けてしまいます。SPF50以上の日焼け止めを2時間おきに塗り直すのは必須です。
三つ目が一番重要で、タクシー料金の事前確認を怠ること。クラビ空港からアオナンビーチまでは本来600バーツが相場ですが、事前交渉なしだと1500バーツを請求されることも。必ず乗車前に料金を確認し、メーターを使うよう依頼しましょう。
クラビが心に残る理由
クラビの本当の魅力は、観光地化の波に飲まれずに残る素朴さにあります。夕方5時頃、アオナンビーチで地元の子供たちがサッカーをしている光景や、朝市で笑顔で値段交渉してくれるおばちゃんたち。こうした何気ない瞬間こそが、クラビ旅行の一番の思い出になるのです。
プーケットやパタヤとは違う、静かで穏やかなタイの海を求めているなら、クラビは間違いなく最高の選択肢。ただし、その魅力を最大限に味わうためには、定番コースを外れて地元の人々との触れ合いを大切にすることが何より重要です。
次回タイを訪れる際は、ぜひクラビの隠れた魅力を自分の足で発見してみてください。きっと忘れられない体験が待っているはずです。