カンタベリー観光で失敗する日本人が知らない「大聖堂の入場料が意外に高い」真実

イギリス南東部の古都カンタベリーを訪れる日本人観光客の多くが、現地で「えっ、こんなに高いの?」と驚く瞬間があります。それはカンタベリー大聖堂の入場料が大人一人£17(約3,400円)もすることを知った時です。無料だと思っていた方も多いのではないでしょうか。でも安心してください。この記事では、そんな「想定外」を避けながら、カンタベリーの真の魅力を存分に味わう方法をお伝えします。

ロンドンから日帰りは可能?アクセスの現実

カンタベリーはロンドンから電車で約1時間30分の距離にあります。朝8時頃にロンドンを出発すれば、9時30分頃には到着できるので日帰り観光は十分可能です。

ロンドン・ヴィクトリア駅からの高速バスなら片道2時間弱で料金も£10程度とお得ですが、電車の方が確実で快適です。ロンドン・セント・パンクラス駅からカンタベリー・ウェスト駅まで、ハイスピード1(HS1)を利用すれば約1時間で到着します。料金は片道£30前後ですが、車窓からのイギリスの田園風景は格別です。

駅から市街地までは徒歩15分程度

カンタベリー・ウェスト駅から旧市街の中心部まで歩いて約15分。途中、住宅街を抜けていくのですが、この何気ない街並みがイギリスらしくて素敵なんです。重いスーツケースを持参せず、身軽な格好で訪れることをおすすめします。

大聖堂の入場料に驚く前に知っておきたいこと

カンタベリー大聖堂は世界遺産であり、イングランド国教会の総本山です。しかし多くの観光客が「教会なのになぜ有料?」と疑問に思います。

実は大聖堂の維持管理費は莫大で、年間数百万ポンドがかかります。入場料£17(学生・シニア割引あり)は決して高くありません。むしろこの料金で、音声ガイド(日本語あり)も含まれているのでお得とも言えます。営業時間は月曜から土曜が10:00-17:00、日曜は12:30-14:30と短めなので要注意です。

無料で楽しめる部分もある?

実は大聖堂の外観と回廊の一部は無料で見学できます。また、平日の朝7:30から行われるモーニング・プレイヤー(朝の祈り)は信者でなくても参加でき、荘厳な雰囲気を無料で体験できる穴場です。ただし、撮影は禁止されています。

意外と知らない?カンタベリーのもう一つの顔

観光ガイドブックには載っていませんが、カンタベリーはケント大学の学園都市でもあります。そのため、旧市街には学生向けのおしゃれなカフェや古本屋が点在し、地元の若者で賑わっています。

特におすすめはハイストリート沿いの「The Falstaff」という古いパブ。14世紀から続く老舗で、シェイクスピアの戯曲にも登場する歴史ある場所です。ランチタイムには£12前後でフィッシュ&チップスやシェパーズパイなど、本格的なイギリス料理が味わえます。

巡礼者の道を歩いてみる?

チョーサーの「カンタベリー物語」で有名な巡礼路の一部を実際に歩けることをご存知ですか?市内には「Pilgrims’ Way」の標識があちこちにあり、中世の巡礼者たちの足跡をたどることができます。大聖堂から徒歩10分ほどの場所にある聖マーティン教会は、597年創建でイングランド最古の教会として知られています。入場無料なのも嬉しいポイントです。

地元民だけが知る隠れグルメスポット

観光地価格に辟易した時におすすめなのが、大学生御用達の「The Goods Shed」です。カンタベリー・ウェスト駅近くにあるファーマーズマーケット兼レストランで、地元ケント州産の新鮮な食材を使った料理がリーズナブルに楽しめます。

土曜日の午前中に訪れると、地元の農家が直売するケント産のりんごやチーズを購入できます。特にケント州はりんごの産地として有名で、ここでしか手に入らない品種もあります。お土産にも最適です。

クリーム・ティーの本場で一休み

疲れた足を休めるなら「The Falstaff Tea Rooms」がおすすめ。スコーン2個、クロテッドクリーム、ジャム、紅茶がセットで£8.50という良心的な価格です。16世紀の建物をそのまま利用した店内は、まさに映画の世界そのもの。14:00-17:00頃が比較的空いています。

夕方以降の過ごし方と注意点

カンタベリーの商店街は平日17:30、土曜日は18:00頃には大部分が閉店してしまいます。日帰りなら16:00頃には駅に向かう準備を始めた方が良いでしょう。

もし時間があるなら、ウェストゲート・タワーズ博物館に立ち寄ってみてください。中世の城門を利用した小さな博物館で、入場料£5と手頃です。ここからの眺めは絶景で、カンタベリーの街並みが一望できます。営業時間は10:00-17:00(冬季は16:00まで)です。

帰路で気をつけたいポイント

夕方の電車は通勤ラッシュと重なるため、ロンドン行きの電車が混雑します。特に金曜日の夕方は要注意。可能であれば指定席を予約しておくか、15:30頃の早めの電車を利用することをおすすめします。

季節ごとの楽しみ方の違い

カンタベリーは季節によって全く違う顔を見せてくれます。春(4-5月)は大聖堂周辺の庭園に花が咲き乱れ、最も美しい時期です。夏(6-8月)は観光客が多いものの、野外コンサートなどのイベントが充実しています。

意外におすすめなのが冬の訪問です。11月下旬から12月にかけて、大聖堂では美しいクリスマス・キャロルのコンサートが開催されます。チケットは£15-25程度で、事前にオンライン予約が必要ですが、中世の大聖堂に響く聖歌は一生の思い出になるでしょう。

雨の日の過ごし方

イギリスらしく急に雨が降ることも多いカンタベリー。そんな時はカンタベリー・テールズという体験型博物館がおすすめです。チョーサーの「カンタベリー物語」の世界を再現した展示で、入場料£12.95。中世の街並みや当時の人々の暮らしを五感で体験できます。

最後に知っておきたい地元のマナー

カンタベリー大聖堂は現在も礼拝が行われている「生きた教会」です。観光地であると同時に神聖な場所であることを忘れてはいけません。

大聖堂内ではフラッシュ撮影は厳禁、携帯電話はマナーモードに設定しましょう。また、礼拝中(特に日曜日)は観光客の立ち入りが制限されるエリアもあります。現地スタッフの指示に従って、静かに見学することが大切です。

街中では地元の人々がとても親切で、道に迷った時などは気軽に声をかけてくれます。「Excuse me」の一言で十分通じるので、困った時は遠慮なく助けを求めてください。カンタベリーの人々にとって、観光客は大切なお客様なのです。

思っていたより費用がかかる部分もありますが、それ以上に得られる体験と感動は計り知れません。千年以上の歴史を持つこの古都で、きっと特別な時間を過ごせるはずです。