ドーバー観光で絶対に見逃してはいけない「白い崖の裏側」と地元民しか知らない絶景スポット

なぜドーバーの白い崖は「イングランドの玄関」と呼ばれるの?

ドーバーの白い崖を初めて見た時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。フランスのカレーから約34キロ、晴れた日には肉眼で見える距離にそびえ立つ真っ白な断崖絶壁。このドーバーの白い崖(White Cliffs of Dover)は、高さ約110メートルもあり、何百万年もかけて堆積した石灰岩とチョークでできているんです。

実際に現地を歩いてみると、観光バスで訪れる多くの人が見落としている重要なポイントがあります。それは、崖の「上」と「下」では全く違う景色が楽しめるということ。ドーバー城からの眺めも素晴らしいのですが、本当のドーバーの魅力を知るには、両方を体験する必要があるんです。

地元の人だけが知っている最高の撮影スポットはここ!

観光客の多くが向かうのはドーバー城(Dover Castle)ですが、実は地元の人がこっそり教えてくれる絶景ポイントがあります。それがサウス・フォアランド灯台(South Foreland Lighthouse)周辺のウォーキングコース。

ここへのアクセスは少し複雑で、ドーバー駅からバス15番でSt Margaret’s at Cliffeまで約20分、そこから徒歩15分ほど歩きます。営業時間は季節により変動しますが、4月から10月までは午前11時から午後5時まで開いています(入場料は大人6ポンド程度)。

このコースの魅力は、観光バスでは絶対に行けない崖っぷちまで歩けること。特に夕方の時間帯に訪れると、夕日に照らされた白い崖が金色に輝く瞬間を目撃できます。ただし、風が非常に強いので、帽子やスカーフは飛ばされないよう注意が必要です。

実は戦争の舞台だった?ドーバーの隠された歴史

多くのガイドブックには載っていない、ドーバーの意外な一面をお話しします。この美しい白い崖は、実は第二次世界大戦中、ナチス・ドイツからの攻撃を受けた最前線だったんです。

ドーバー城の地下トンネル(Secret Wartime Tunnels)では、当時の司令部がそのまま保存されています。入場料は大人約18ポンドと少し高めですが、ここでしか聞けない当時の音響効果や再現された緊張感は、まさに映画の世界。見学ツアーは約1時間で、事前予約が必要な時期もあります。

地下26メートルの深さにあるこのトンネルは、一年を通して気温が約10度と寒いので、夏でも長袖を持参することをおすすめします。ここで体験できるのは、美しい観光地としてのドーバーとは全く違う、緊迫した歴史の重みです。

崖の下から見上げる絶景、でも知っておくべき危険なこと

ドーバーの白い崖を下から見上げたい場合は、ドーバー・ビーチ(Dover Beach)へ降りることができます。しかし、ここには観光ガイドがあまり言いたがらない注意点があります。

まず、潮の満ち引きを必ずチェックしてください。満潮時には崖の真下まで波が来てしまい、非常に危険です。地元の海岸警備隊の方から聞いた話では、年に数回は観光客が潮に取り残されそうになる事故が起きているそうです。

ビーチへのアクセスは、ドーバー・プリオリー駅から徒歩約10分。無料で利用できますが、駐車場は有料(1日約5ポンド)です。ここから見上げる白い崖は、上から見るのとは全く違う迫力があります。まるで巨大な白い城壁に囲まれているような、不思議な感覚を味わえますよ。

意外と知らない?ドーバーのグルメ事情

ドーバー観光で見落としがちなのが食事です。観光地だからといって期待していなかったのですが、実は隠れた名店がいくつかあります。

特におすすめしたいのがThe Allotment(ジ・アロットメント)というレストラン。ドーバー城から徒歩5分ほどの場所にあり、地元で採れた新鮮な魚介を使った料理が自慢です。営業時間は火曜日から土曜日の午後6時から午後10時まで(日・月曜定休)。

ここの名物はドーバー・ソール(Dover Sole)という地元の高級魚。1皿約25ポンドと決して安くはありませんが、バターでシンプルに焼き上げた繊細な味は、まさにドーバーでしか味わえない特別な一品です。予約は必須で、特に週末は1週間前からの予約をおすすめします。

フランスが見える!晴れた日だけの特別な体験

ドーバー観光のクライマックスは、やはり晴れた日にフランスのカレーを肉眼で見ることでしょう。でも、これが意外と難しいんです。

イギリスの天候を考えると、完全に晴れてフランスが見える日は、年間でも30日程度しかないそうです。地元の気象予報士の方に聞いたところ、最も可視性が高いのは9月から10月の午前中とのこと。風が強く、空気が澄んでいる日がベストタイミングです。

もしフランスが見えた日にドーバーを訪れているなら、それはとてもラッキーなこと。ドーバー港(Port of Dover))の展望台からなら、双眼鏡なしでもフランスの海岸線がはっきりと見えます。港の展望台は24時間無料で利用でき、ドーバー・プリオリー駅から徒歩約15分です。

この瞬間の感動は、写真では決して伝わらない特別なもの。ヨーロッパ大陸がこんなに近くにあることを、肌で感じられる貴重な体験です。

知る人ぞ知るドーバーの穴場スポット

最後に、ほとんどの観光客が知らない隠れスポットをご紹介します。それがファン・ホール洞窟(Fan Hole Cave)です。

この洞窟は、白い崖の中腹にぽっかりと開いた自然の洞窟で、地元のロッククライマーや冒険好きな人たちの間でのみ知られています。正式な観光地ではないため、アクセス方法は口コミでしか伝わりません。

洞窟への道のりは険しく、片道30分ほどのハイキングが必要です。滑りやすい箇所もあるため、必ず運動靴を履いて、できれば地元の人と一緒に行くことをおすすめします。しかし、洞窟から見るドーバー海峡の景色は、まさに絶景の一言。観光地化されていない、本当のドーバーの自然を感じられる特別な場所です。

ドーバー観光で失敗しないための最終チェック

ドーバー観光を最高の思い出にするために、出発前に確認しておきたいポイントがあります。

まず天気予報は必ずチェックしてください。霧が出やすい地域なので、せっかく来ても何も見えないことがあります。また、風が非常に強いので、軽装は避けて防風性のある上着を持参しましょう。

交通手段については、ロンドンからドーバー・プリオリー駅まで電車で約1時間45分、片道約30ポンドです。レンタカーの場合はM20/A20経由で約2時間ですが、ドーバー城周辺の駐車場は週末に満車になることが多いので、午前中の到着を心がけてください。

ドーバーは確かに「白い崖」で有名ですが、実際に訪れてみると、それ以上に深い歴史と文化、そして地元の人たちの温かさに触れることができる場所でした。一日では回りきれないほど見どころが多いので、できれば一泊して、ゆっくりとドーバーの魅力を堪能してほしいと思います。