マイアミのサウスビーチと聞いて、あなたはどんな光景を思い浮かべますか?白い砂浜にターコイズブルーの海、そしてアールデコ建築が立ち並ぶオーシャンドライブ。確かにそれは間違いではありません。でも実際に行ってみると、想像とは違う現実に直面することも。今回は、私が実際に体験したサウスビーチの「表と裏」を正直にお話しします。
憧れのサウスビーチ、でも現実は…?
サウスビーチは確かに美しいビーチです。マイアミビーチの南端に位置し、約4キロメートルにわたって続く白砂のビーチは圧巻。でも到着してまず驚いたのは、思っていた以上に「都市的」だったこと。
ビーチへのアクセスは簡単で、マイアミ国際空港から車で約30分。でも駐車場探しが大変でした。特に週末の午前10時以降は、1時間あたり4ドルの路上パーキングすら見つけるのに苦労します。地元の人に教わったコツは、少し離れた住宅街に車を停めて歩くこと。15分ほど歩きますが、無料で停められる場所があります。
ビーチ自体は朝の7時頃から夕方まで利用可能ですが、ライフガードがいる時間は午前10時から午後6時まで。早朝や夕方の散歩は格別ですが、泳ぐなら安全な時間帯を選びましょう。
アールデコ地区の意外な一面
オーシャンドライブ沿いに並ぶパステルカラーの建物群は、1930年代のアールデコ建築として有名です。でもここで驚いたのは、これらの建物の多くが実は1980年代に修復・再建されたものだということ。
建築好きなら必見なのがカサ・カスアリーナ。実はこれ、ジャンニ・ヴェルサーチが住んでいた邸宅で、現在は高級ホテルになっています。1997年にヴェルサーチがこの建物の前で銃撃された事件は、今でもマイアミの人々の記憶に残っています。観光ガイドブックにはあまり書かれていませんが、地元の人に聞くとこうした「影」の部分も教えてくれます。
アールデコ・ウェルカムセンター(1001 Ocean Dr)では、建築に関する詳しい情報が得られます。入館料は無料で、午前9時30分から午後5時まで開館。ここで地図をもらって歩くと、ただ眺めるだけでは分からない建築の奥深さが見えてきます。
ビーチでの過ごし方、知っておきたいコツ
サウスビーチでまず気をつけたいのは、意外に強い日差しです。緯度的には沖縄とそれほど変わりませんが、フロリダの紫外線は侮れません。私は初日に軽く考えていて、背中がひどい日焼けになってしまいました。
日焼け止めは必須ですが、フロリダ州では2021年からサンゴ礁に有害な成分(オキシベンゾンとオクチノキサート)を含む日焼け止めの販売が禁止されています。現地で購入する場合は「リーフセーフ」と表示されたものを選びましょう。
ビーチチェアとパラソルのレンタルは1日約30ドル。少し高く感じるかもしれませんが、強い日差しを考えると必要な投資です。レンタルスタッフは朝の8時頃からビーチに出ていて、早めに借りると良い場所を確保できます。
泳ぎに関しては、大西洋の波は思っているより強いことがあります。特に午後になると風が強くなり、波も高くなりがち。小さなお子さん連れの場合は、比較的波の穏やかな朝の時間帯がおすすめです。
グルメ体験で失敗しないために
サウスビーチのレストランは確かにおしゃれですが、観光地価格なのも事実。オーシャンドライブ沿いのレストランは雰囲気は最高ですが、料理のクオリティに対して価格が高い場合が多いんです。
地元の人に教えてもらったのが、リンカーンロード沿いのレストラン。ビーチから少し内陸に入りますが、味もサービスも格段に良くなります。特にキューバ系の料理が美味しく、「ロパ・ビエハ」という牛肉の煮込み料理は絶品でした。
意外な発見だったのが、サウスビーチには24時間営業のカフェやレストランが多いこと。
夜遊びが盛んなマイアミらしく、深夜2時にキューバンサンドイッチを食べられる店もあります。プエルト・サガ(Lincoln Rd沿い)は夜中でも地元の人で賑わっていて、本格的なカフェ・コルタード(濃いコーヒー)が3ドルで飲めます。
夜のサウスビーチ、安全に楽しむには?
サウスビーチの夜は魅力的ですが、気をつけるべき点もあります。オーシャンドライブは夜中まで人通りが多く比較的安全ですが、ビーチ自体は日が暮れると暗くなり、一人歩きは避けた方が無難です。
クラブやバーが集中しているワシントンアベニュー周辺は、週末の夜は特に賑やか。有名な「LIV」や「Story」といったクラブは入場料だけで50ドル以上かかりますが、雰囲気は確かに圧巻です。ただし、ドレスコードが厳しく、ビーチサンダルやタンクトップでは入れません。
私が体験した「まさかの落とし穴」は、実はこの夜の街歩きでした。金曜日の夜11時頃、少し離れた場所に停めた車まで歩いて戻る途中、突然のスコールに見舞われたんです。フロリダの雨は激しく、数分で全身ずぶ濡れになりました。
本当のサウスビーチの魅力って何?
正直に言うと、サウスビーチは完璧なリゾートではありません。駐車場は高いし、レストランも観光地価格。夜は騒がしいし、思わぬ雨に降られることもあります。
それでも私がサウスビーチを愛する理由は、その「エネルギー」にあります。朝のジョギングで出会った地元のおじいさんが流暢なスペイン語で話しかけてくれたり、ビーチバレーをしていた大学生たちが仲間に入れてくれたり。多様な人々が混じり合う、この独特な雰囲気こそがサウスビーチの真の魅力だと思います。
早朝の6時頃、まだ観光客が少ない時間帯のビーチを歩くと、地元の人たちの日常が見えてきます。犬の散歩をする人、ヨガをするグループ、サーフィンの練習をする子どもたち。これが本当のマイアミの姿なのかもしれません。
サウスビーチを訪れるなら、観光スポットを回るだけでなく、少し時間に余裕を持って「何もしない時間」も作ってみてください。ビーチチェアに座って海を眺めているだけで、きっとこの場所の特別さが伝わってくるはずです。落とし穴もあるけれど、それも含めてサウスビーチなんです。