丘陵地のコースが想像以上に手強かった件
オークランドの市街地から車でわずか30分。緑豊かな丘陵地帯に広がるオークランド・ヒルズ ゴルフクラブは、一見すると牧歌的で優しそうなコースに見えます。しかし、実際にプレーしてみると、その印象は180度変わりました。
このコースの最大の特徴は、標高差50メートル以上の起伏に富んだレイアウトです。平坦なホールがほとんどなく、常に上り坂か下り坂でのショットを強いられます。料金は平日で85ニュージーランドドル、週末は110ニュージーランドドルと、オークランド近郊では中程度の価格設定ですが、この挑戦的なコース設計を考えれば納得の価格といえるでしょう。
営業時間は朝6時30分から夕方6時まで。特に朝一番のティーオフがおすすめで、霞がかった丘陵地の美しさを堪能しながらのラウンドは格別です。
キャディマスターが教えてくれた隠れた攻略法とは?
受付でラウンド前の手続きをしていると、ベテランのキャディマスターが意外なアドバイスをくれました。「このコースで一番大切なのは、距離感よりも風の読み方だよ」と。
オークランド・ヒルズの立地する丘陵地帯は、マヌカウ・ハーバーからの海風が複雑に渦巻くエリアなのです。特に午後2時以降は風向きが変わりやすく、同じホールでも朝と夕方では全く違う戦略が必要になります。
クラブハウスには、1982年の開場当初から使われている手書きの風向き記録帳が置かれています。地元のメンバーたちは、この記録を参考に当日の戦略を立てているのだとか。観光客にはあまり知られていない、まさに地元ならではの情報源です。
7番ホールで起こった予想外のハプニング
コースの中でも特に印象深かったのが、7番パー4の「ランブル・バレー」と呼ばれるホールです。ティーグラウンドから見下ろすフェアウェイは美しく、思わず写真を撮りたくなる絶景が広がっています。
しかし、いざボールを打ってみると、想像以上に急な下り傾斜でボールが転がり続け、200ヤード打ったつもりが実際は300ヤード近く飛んでいました。地元のプレーヤーに聞くと、「ランブル・バレーは見た目の2倍転がる」のが常識なのだそう。
さらに驚いたのは、このホールには野生のカラスが集団で生息していることです。光るものに興味を示すカラスたちが、ゴルフボールを持ち去ってしまうケースが年に数十回発生しているとのこと。実際、私たちの前の組のプレーヤーも、グリーン上でカラスにボールを盗まれ、慌てて追いかける姿を目撃しました。
クラブハウスレストランの知られざる名物料理
ラウンド後のお楽しみといえば、クラブハウスでの食事です。オークランド・ヒルズのレストランは一般開放されておらず、プレーヤーとメンバーのみが利用できる特別な空間となっています。
ここの隠れた名物が「マヌカハニー・ラムチョップ」です。地元産のマヌカハニーでマリネしたラムチョップは、観光客向けのレストランでは味わえない本格的な仕上がり。価格は28ニュージーランドドルと、オークランド市内のレストランと比べてもリーズナブルです。
興味深いことに、このレストランのシェフは元々オークランドの高級ホテルで働いていた経歴の持ち主。都市部の喧騒に疲れ、自然に囲まれた環境で料理を作りたいと、2018年にこのゴルフ場に移ってきたのだそうです。そんなシェフの想いが込められた料理は、ゴルフの疲れを癒してくれる格別の味わいでした。
次回プレー時に絶対に準備したいアイテムは?
今回のラウンドを通じて痛感したのは、事前準備の大切さです。特にレインウェアは必需品。オークランドの天気は変わりやすく、晴れていても突然スコールに見舞われることがあります。
また、このコースの芝は在来種の「フェスク」という種類で、日本の芝と比べて硬く、ボールが跳ねやすい特性があります。そのため、通常よりもワンクラブ短いアイアンを選択することをおすすめします。
プロショップでは、コース専用の風向き・風速計測アプリを有料でダウンロードできるサービスを提供しています。5ニュージーランドドルと手頃な価格で、リアルタイムの気象情報と各ホールの攻略ヒントが表示される優れものです。
コース管理スタッフによると、このアプリを使うプレーヤーは平均して5打以上スコアが改善するというデータもあるとのこと。次回は必ずダウンロードしてからラウンドしたいと心に決めました。
帰り道で気づいた、このコースの本当の魅力
夕方6時過ぎ、クラブハウスを後にしながら振り返ると、夕陽に染まった丘陵地のコースが一望できました。その瞬間、なぜ地元のゴルファーたちがこのコースを愛してやまないのかが理解できた気がします。
オークランド・ヒルズは単なるゴルフコースではなく、ニュージーランドの自然と一体になれる特別な場所なのです。スコアは散々でしたが、都市部では体験できない豊かな時間を過ごすことができました。
帰りの車中で同伴者と話していると、全員が「また来たい」と口を揃えて言っていました。技術的な挫折よりも、自然の美しさと挑戦しがいのあるコース設計に心を奪われてしまったのです。
アクセス方法としては、オークランド市内からレンタカーで向かうのがベスト。公共交通機関でのアクセスは限られているため、車での移動が前提となります。駐車場は無料で、100台以上の収容能力があるので安心です。
次回ニュージーランドを訪れる際は、必ずリベンジマッチを挑みたいと思わせてくれる、そんな魅力的なゴルフ場でした。技術よりも自然との対話を楽しみたいゴルファーには、心からおすすめできる特別な場所です。