なぜリビエラのゴルフは「プレー困難」なのか?
南フランスのコート・ダ・ジュールやイタリアのリビエラ地方でゴルフをプレーしたいと思っているなら、まず覚悟を決めてください。ここは世界でも屈指の「プレー困難地帯」なのです。その理由は料金でも予約の取りにくさでもありません。実は強烈な地中海の風が最大の敵になります。
午前中は穏やかだったのに、午後になると突然吹き始める「ミストラル」と呼ばれる北風。この風速は時として秒速20メートルを超え、ボールが思わぬ方向に飛んでいきます。地元のキャディさんに聞いた話では「風を読めない外国人ゴルファーは、スコアが平均15打も悪くなる」そうです。
カンヌから30分、モンテカルロゴルフクラブの隠された魅力
リビエラで最も有名なゴルフ場といえば、モナコのモンテカルロゴルフクラブでしょう。カンヌから車で約30分、ニースからなら1時間ほどの場所にあります。プレー料金は平日で250ユーロ、週末は350ユーロと決して安くはありませんが、ここには他では味わえない特別な体験があります。
実は、このゴルフ場の18番ホールからは地中海とモナコ公国を一望できる絶景スポットがあるのですが、多くの観光客は見逃しています。なぜなら、このビューポイントは少しコースから外れた場所にあり、地元のメンバーしか知らない「隠れスポット」だからです。朝8時台のティーオフなら、朝日に照らされた地中海の美しさに感動すること間違いありません。
グラース周辺のコースが「穴場」である理由とは?
香水の街として知られるグラースから車で15分ほどの場所に、ゴルフ・クラブ・ド・カンヌ=ムージャンがあります。ここが穴場である理由は、観光地から少し離れているため、プレー料金が比較的リーズナブル(平日120ユーロ)だからです。
しかし、ここには意外な落とし穴があります。コースの途中に野生のイノシシの群れが現れることがあるのです。特に早朝や夕方のプレーでは遭遇する可能性が高く、地元のスタッフは「静かに待っていれば去っていく」とアドバイスしてくれます。実際に遭遇した時の緊張感は、都市部のゴルフ場では絶対に味わえない貴重な体験でした。
営業時間は朝7時30分から日没まで。4月から10月までがベストシーズンですが、11月から3月は料金が半額以下になる代わりに、天候が不安定になります。
食事が絶品!サンラファエルのゴルフリゾートの実力
サンラファエル近郊のゴルフ・ド・バルバロウは、プレーよりもクラブハウスのレストランで有名な隠れた名所です。ここのシェフは元ミシュラン一つ星レストランの出身で、地中海の新鮮な魚介類を使ったコース料理が絶品なのです。
プレー後のランチは事前予約が必須。特に「ブイヤベース風海鮮リゾット」は、地元の漁師から直接仕入れた魚介類を使用しており、マルセイユの有名レストランにも負けない味わいです。プレー料金は平日180ユーロですが、ランチ込みのパッケージなら250ユーロと、実はかなりお得な設定になっています。
アクセスはサンラファエル駅からタクシーで約20分。公共交通機関は不便なので、レンタカーかタクシーを利用するのが現実的です。
冬のリビエラゴルフ、実は最高のシーズン説
多くのゴルファーは夏にリビエラを訪れますが、実は1月から3月が最もプレーしやすい季節です。気温は15度から20度と快適で、あの厄介な強風もほとんど吹きません。何より、プレー料金が夏の3分の1から5分の1になるのが最大のメリットです。
冬のリビエラゴルフで注意すべきは朝の気温差。朝8時のスタート時は10度以下でも、午後には20度を超えることがよくあります。レイヤードスタイルの服装は必須です。また、この時期はアーモンドの花が咲き誇り、コース全体がピンクと白の花に覆われる美しい光景を楽しめます。
冬季の営業時間は朝8時から17時まで。日照時間が短いため、午後3時以降のスタートは避けた方が無難です。特にカンヌ=ムージャンでは、2月中旬から3月上旬にかけてミモザの花も同時に咲き、黄色いじゅうたんが広がる幻想的なコースでプレーできます。
地元プロが教える「風読み」の極意
リビエラでスコアを崩さないための最重要ポイントは風の読み方です。地元のプロに教わった秘訣は「海面の波の高さを見ること」。波が白く泡立っているエリアの風向きが、10分後にコースに到達する風向きとほぼ一致するそうです。
また、松の木の枝の揺れ具合で風の強さを判断する方法も教わりました。枝先だけが揺れている時は風速5メートル以下、枝全体が揺れ始めたら10メートル以上と考えて、クラブ選択を2番手上げるのが鉄則です。
予約の裏技と現地での立ち回り術
リビエラのゴルフ場予約は、実は現地のホテルコンシェルジュ経由が最も確実です。直接ゴルフ場に電話するよりも、5つ星ホテルのコンシェルジュに依頼すると、キャンセル待ちでも優先的に回してもらえることが多いのです。
カンヌのホテル・マルティネスやニースのネグレスコホテルのコンシェルジュは、ゴルフ場との太いパイプを持っています。宿泊客でなくても、50ユーロ程度のサービス料を支払えば予約代行を引き受けてくれます。
現地では、プレー開始2時間前にゴルフ場に到着することをお勧めします。練習場での風の確認はもちろん、キャディさんとの打ち合わせ時間も十分に確保できます。特にモンテカルロゴルフクラブでは、ベテランキャディのジャン=ピエールさんが有名で、彼に当たれば平均5打はスコアが良くなると評判です。
リビエラゴルフは確かに挑戦的ですが、地中海の絶景と南仏の美食、そして野生動物との思わぬ遭遇など、他では絶対に味わえない特別な体験が待っています。強風に負けず、ぜひこの地でのプレーを楽しんでください。