牧場からゴルフコースへ?一体何が起きたのか
アメリカ・モンタナ州に位置するロック・クリーク・キャトル・カンパニー ゴルフコース。この名前を聞いて「キャトル(牛)?ゴルフ場なのに?」と首をかしげる方も多いでしょう。実はここ、本当に牧場だった場所なんです。
1990年代初頭まで、この土地では実際に牛を飼育する畜産業が営まれていました。しかし、経営の多角化と地域の観光振興を目指した地元の牧場主が、「美しい自然を活かした新事業」として18ホールのゴルフコースへと大胆に転身させたのです。現在でもコース内には当時の牧場施設の一部が残されており、プレー中に歴史の足跡を感じることができます。
プレー料金は意外にリーズナブル?地元価格の秘密
多くの人が驚くのが、この美しいコースのプレー料金。平日なら65ドル、土日祝日でも85ドルという設定で、アメリカの観光地ゴルフ場としては非常に良心的な価格設定になっています。
営業時間は夏季(4月〜10月)が朝6時30分から日没まで、冬季は天候次第で休業することもあります。モンタナ州の厳しい冬を考慮した運営方針で、地元のゴルファーからは「無理をしないところが好き」と愛されています。予約は2週間前から可能で、特に7月〜9月のベストシーズンは観光客で混雑するため、早めの予約が必須です。
なぜこんなに安いの?経営方針に隠された理由
実は、このコースの経営方針には「地元密着」という強い思いが込められています。高額な料金設定で観光客だけを狙うのではなく、地元のゴルファーが気軽に楽しめる場所であり続けたいという創設者の理念が今も受け継がれているのです。
アクセスは車必須?モンタナ州の大自然への道のり
ビリングス市内中心部から車で約35分、ビリングス・ローガン国際空港からは約40分の距離に位置しています。正直なところ、レンタカーなしでのアクセスは困難です。公共交通機関はほぼ皆無で、タクシーやライドシェアサービスも限られています。
しかし、この「不便さ」こそがロック・クリーク・キャトル・カンパニーの魅力でもあります。車でアクセスする道中、モンタナ州特有の雄大な景色が広がり、到着前からすでに特別な体験が始まっているのです。特に朝早い時間帯には、野生の鹿や時にはエルクといった動物たちに出会うことも珍しくありません。
コースの特徴は元牧場ならでは?地形を活かした戦略的レイアウト
このコースの最大の特徴は、元牧場という立地を最大限に活かした自然な起伏と戦略性です。パー72、総距離6,847ヤードのチャンピオンシップコースでありながら、人工的な造成を最小限に抑えた設計になっています。
特に印象的なのが12番ホール。ここはかつて牛の水飲み場だった池が戦略的に配置されており、ティーショットの落とし所が非常に限定される難易度の高いホールです。地元のプロショップスタッフによると、「この池で多くのボールが犠牲になっている」とのこと。
隠れた名物?17番ホールの「カウボーイ・トラップ」
17番パー4は通称「カウボーイ・トラップ」と呼ばれています。これは牧場時代の柵の基礎部分が巧妙にバンカーとして再利用されているためです。一見普通のバンカーに見えますが、実は石組みの土台があり、通常のバンカーショットとは異なるテクニックが要求されます。
プレー後の楽しみ方は?地元グルメとアフターゴルフ
コース内のクラブハウス・レストラン「Ranch House Grill」では、モンタナ牛のステーキが絶品です。皮肉にも、ここでかつて飼育されていた牛と同じ品種の肉を味わうことができるのです。ランチタイムの名物「カウボーイ・バーガー」(18ドル)は、分厚いパティと地元産の野菜がたっぷり挟まれた満足度の高い一品。
レストランのテラス席からは18番グリーンを眺めながら食事ができ、プレーを終えたゴルファーたちが談笑する声が心地よく響きます。営業時間は朝7時から夕方6時まで(季節により変動)で、プレー前の軽食から本格的なディナーまで幅広く対応しています。
知る人ぞ知る隠れメニュー「ビソン・チリ」
メニューには載っていませんが、シェフに頼むと「ビソン・チリ」を作ってもらえることがあります。これは地元で狩猟されたバイソン肉を使った特別な料理で、モンタナ州の食文化を体験できる貴重な機会です。ただし、バイソン肉の入手状況により提供できない日もあるため、事前に確認することをおすすめします。
プレー時の注意点は?モンタナ州ゴルフの落とし穴
このコースでプレーする際に知っておきたいのが、標高約1,100メートルという立地条件です。平地と比較してボールの飛距離が約10%伸びるため、クラブ選択に注意が必要です。特に初回プレーの方は、いつものクラブより1〜2番手短いクラブを選ぶことをおすすめします。
また、モンタナ州特有の急激な天候変化にも要注意。朝は快晴でも午後には突然の雷雨に見舞われることがあり、レインウェアの携帯は必須です。プロショップでもレンタルできますが、サイズに限りがあるため、できれば事前に準備しておきましょう。
野生動物との遭遇も珍しくありません。特に早朝や夕方のプレー時には、コース内に鹿が現れることがあります。驚かせないよう静かに距離を保ち、決して近づかないことが大切です。
虫対策も忘れずに
夏季には蚊やブヨといった虫が多く発生します。虫よけスプレーは現地でも購入できますが、肌の弱い方は使い慣れたものを持参することをおすすめします。長袖のウェアを一枚用意しておくと安心です。
帰り道で立ち寄りたい?周辺の隠れスポット
ゴルフの余韻に浸りながらの帰り道、ぜひ立ち寄ってほしいのが「Pictograph Cave State Park」です。コースから車で約15分の距離にあるこの州立公園には、先住民が描いた岩絵が数多く残されており、モンタナ州の古い歴史を感じることができます。
入場料は5ドルと手頃で、短時間の散策でも十分楽しめます。ゴルフで疲れた足には少々きついかもしれませんが、アメリカ先住民の文化に触れる貴重な体験となるでしょう。
地元のゴルファーに愛され続けるロック・クリーク・キャトル・カンパニー ゴルフコース。牧場からゴルフ場への転身という珍しい歴史を持ちながら、その土地の記憶を大切に残し続ける姿勢に、多くの人が魅力を感じています。モンタナ州を訪れる際には、ぜひこの特別なゴルフ体験を味わってみてください。