なぜチェンライは「バンコクより面白い」と言われるのか?
タイ北部の古都チェンライは、多くの人がチェンマイの「ついで」程度に考えがちな場所です。しかし実際に足を運んでみると、この街には他のタイの観光地では味わえない独特の魅力が詰まっています。特に近年、ワット・ロンクン(白い寺)やワット・ロンスアテン(青い寺)といった現代アート寺院が話題となり、世界中から注目を集めているのです。
バンコクから飛行機で約1時間20分、チェンマイからバスで約3時間の立地にあるチェンライは、ラオスとミャンマーの国境に近い「黄金の三角地帯」の玄関口でもあります。
青い寺の美しさに言葉を失う瞬間
チェンライ観光で最初に訪れるべきは、間違いなくワット・ロンスアテン(青い寺)です。正式名称は「ワット・ロンスアテン」で、地元では「ブルーテンプル」として親しまれています。
この寺院の建設は比較的新しく、2016年に完成したばかり。設計を手がけたのは、白い寺で有名なチャルムチャイ・コーシピパット氏の弟子であるプッタ・カーベーウ氏です。入場料は無料で、朝8時から夕方5時まで見学できます。
青い外観もさることながら、本堂内部の巨大な白い仏像は圧巻です。高さ約6メートルの仏像が鮮やかな青の空間に浮かび上がる様子は、まさに異世界に迷い込んだような感覚を覚えます。多くの観光客は写真撮影に夢中になりますが、実はこの寺院、夕方の光が差し込む時間帯が最も美しく映えるのです。
白い寺の「地獄の橋」で試される心?
チェンライのもう一つの代表的観光地がワット・ロンクン(白い寺)です。チェンライ市内から車で約20分、入場料は50バーツ(約200円)となっています。
この寺院で最も有名なのが「地獄の橋」と呼ばれる入口の橋です。橋の下には無数の手が地獄から這い出ているオブジェがあり、仏教的な教えを表現しています。実は多くの観光客が知らないのですが、この橋は一方通行で、一度渡ったら後戻りできない設計になっているのです。これは「人生に後悔はない」という仏教の教えを体現しているとされています。
本堂内部の壁画も見どころの一つ。伝統的な仏教画の中に、なんとスパイダーマンやバットマンなどのキャラクターが描かれており、現代と伝統の融合を表現しています。
象使いになれる?エレファント・キャンプの真実
チェンライには複数の象キャンプがありますが、中でもアーンタラーイ・エレファント・キャンプは特におすすめです。市内から車で約40分の場所にあり、象乗り体験は1時間コースで800バーツ(約3,200円)から利用できます。
ここでの体験は単なる象乗りではありません。実際に象使い(マホート)から象の扱い方を教わり、簡単なタイ語で象に指示を出すことができるのです。「パイ(行け)」「ヨッ(止まれ)」「クワーン(右)」「サーイ(左)」といった基本的な命令語を覚えると、象との意思疎通ができて感動が倍増します。
夜市で見つけた絶品グルメとは?
チェンライの夜の楽しみといえばナイトバザールです。毎日夕方6時から夜11時頃まで、パホンヨーティン通りで開催されています。
ここで絶対に食べてほしいのがカオソーイという北タイの名物麺料理。チェンマイのものよりもスパイスが効いており、地元の人は「チェンライのカオソーイの方が本格的」と誇りに思っています。1杯60バーツ(約240円)ほどで、ボリューム満点です。
もう一つの隠れた名物がサイウアという北タイのソーセージ。レモングラスやコブミカンの葉が練り込まれており、爽やかな香りが特徴です。ビールとの相性も抜群で、地元の人たちに混じって食べる体験は格別です。
国境の町だから味わえる特別な体験
チェンライから車で約1時間の場所にあるゴールデントライアングルでは、タイ、ラオス、ミャンマーの3カ国が一望できます。メコン川とルアック川の合流点に立つと、まさに3つの国境が目の前に広がる光景は圧巻です。
ここにはアヘン博物館もあり、入場料200バーツ(約800円)でかつての麻薬取引の歴史を学ぶことができます。展示内容は非常にリアルで、この地域が「黄金の三角地帯」と呼ばれた背景を深く理解できる貴重な施設です。
チェンライ観光で気をつけるべきポイントは?
チェンライ観光で最も注意すべきは交通手段の確保です。市内の主要観光地は点在しており、公共交通機関だけでは効率的に回ることが困難です。レンタカー(1日1,500バーツ程度)やトゥクトゥクのチャーター(半日2,000バーツ程度)を活用することをおすすめします。
また、服装にも注意が必要です。寺院見学では肩と膝を隠す服装が必須となります。特に青い寺や白い寺では入場時にチェックが厳しく、不適切な服装の場合は入場を断られることもあります。現地でも布を借りることができますが、事前に準備しておく方が安心です。
知られざるチェンライの温泉リゾート
観光ガイドブックにはあまり載っていない隠れた名所がメーカチャン温泉です。チェンライ市内から車で約1時間30分、ミャンマー国境に近い山間部にある天然温泉で、入場料はわずか40バーツ(約160円)です。
この温泉の特徴は、源泉温度が約80度と非常に高温であること。地元の人々は温泉卵を作ったり、野菜を茹でたりして楽しんでいます。観光客向けの入浴施設もあり、疲れた体を癒すのに最適です。周囲は手つかずの自然に囲まれており、都市部の喧騒から完全に離れることができます。
山岳民族の村で体験する本物の文化
チェンライ周辺には複数の山岳民族の村があり、中でもドイトゥン地区は特におすすめです。ここには首長族(カレン族)やアカ族の村があり、実際に彼らの生活を間近で見学することができます。
村への入場料は100バーツ(約400円)ほどですが、重要なのはお金の問題ではありません。彼らの伝統的な生活様式や手工芸品作りを見学する際は、写真撮影前に必ず許可を取ることが大切です。また、購入した手工芸品は彼らの貴重な収入源となるため、気に入ったものがあれば積極的に購入することをおすすめします。
チェンライ滞在で感じる時間の流れ
チェンライでの観光は、急ぎ足で名所を巡るよりも、ゆったりとした時間を楽しむことに価値があります。朝は早起きして寺院の静寂な空気を感じ、昼間は象キャンプや山岳民族の村でユニークな体験を重ね、夕方は温泉で疲れを癒し、夜は地元の人々と一緒にナイトマーケットで食事を楽しむ。
このようなゆったりとしたペースで過ごすことで、チェンライという土地の持つ独特の魅力を深く味わうことができるのです。バンコクやプーケットとは全く異なる、タイの奥深い文化と自然に触れる貴重な体験が、きっとあなたの旅の記憶に深く刻まれることでしょう。