なぜベロオリゾンテなの?みんなが素通りする理由
ブラジル旅行といえばリオデジャネイロやサンパウロが定番ですが、実はミナス・ジェライス州の州都ベロオリゾンテこそ、ブラジルの真髄を味わえる穴場中の穴場なんです。人口約250万人のこの都市は、1897年に計画都市として建設された比較的新しい街。でも実際に歩いてみると、モダンな都市計画と伝統的なミナス文化が絶妙に調和していて、一度訪れたら忘れられない魅力があります。
サンパウロから飛行機で約1時間20分、バスなら約6時間の距離にあります。日本からの直行便はないため、サンパウロかリオ経由でのアクセスになりますが、それだけに観光客は圧倒的に少なく、本物のブラジル人の日常に触れられるのが最大の魅力です。
計画都市なのに迷路?街歩きの意外な落とし穴
計画都市と聞くと碁盤の目のような整然とした街並みを想像しますが、ベロオリゾンテは違います。中心部のサヴァシー地区周辺は確かに整備されていますが、少し外れると坂道と曲がりくねった道が入り組んでいて、GPSがあっても迷いやすいんです。私も初日にホテルから徒歩5分のはずのレストランを探すのに1時間かかりました。
絶対に外せない観光スポットはここ!でも…
観光の王道スポットから始めましょう。まずはパンプーリャ地区です。ここには建築家オスカー・ニーマイヤーが設計した未来的な建物群があり、中でもサン・フランシスコ・デ・アシス教会は必見。入場無料で、毎日午前8時から午後5時まで開放されています。
でも実は、この教会には知られざる歴史があります。1943年の完成当時、あまりにも斬新なデザインのため、カトリック教会から14年間も聖別を拒否されていたんです。今でこそ世界的な名建築として讃えられていますが、当時は「これは教会ではない」と批判の嵐だったとか。
パンプーリャ湖で地元民に混じって過ごす休日
教会のすぐそばにあるパンプーリャ湖では、週末になると地元の家族連れがピクニックを楽しんでいます。湖畔には約18キロのサイクリングコースがあり、レンタサイクル(1時間約10レアル)で気持ちよく走れます。観光客はほとんどいないので、ブラジル人の日常を肌で感じられる貴重な場所です。
中央市場で迷子になって見つけた宝物
メルカード・セントラル(中央市場)は、1929年開業の歴史ある市場で、約400の店舗がひしめいています。午前7時から午後6時まで営業(日曜は午後12時まで)していて、ミナス・ジェライス州の特産品が何でも揃います。
ここで絶対に試してほしいのがパステルという揚げ餃子のような軽食。1個3レアル程度で、中身はチーズ、肉、エビなど様々。でも本当のお宝は、市場の奥の奥にある小さなカフェで飲めるピンガ(サトウキビの蒸留酒)です。地元のおじいさんたちが朝から楽しそうに飲んでいて、観光客の私にも気さくに声をかけてくれました。
知る人ぞ知る「チーズ街道」の入り口
実はベロオリゾンテは、ブラジル屈指のチーズ産地「チーズ街道」の玄関口でもあります。中央市場ではケイジョ・ミナスという地元特産のフレッシュチーズが購入できます。このチーズ、なんと300年以上前から同じ製法で作られているんです。日本への持ち帰りはできませんが、市場内のカフェでパォン・デ・アスーカル(ブラジル版フランスパン)と一緒に味わえます。
夜が本番?地元民だけが知るナイトライフ
ベロオリゾンテの夜は想像以上に充実しています。サヴァシー地区には数え切れないほどのバルやレストランが軒を連ね、地元の若者たちで賑わっています。特に木曜日から土曜日の夜は、街全体が巨大な屋外パーティー会場のような熱気に包まれます。
ミナス料理の真髄を味わうなら…
絶対に食べてほしいのがフェイジョアーダ・ミネイラです。これは一般的なフェイジョアーダとは違い、ミナス風にアレンジされた豆料理で、コウベ(ケール)やファロッファ(キャッサバ粉の炒め物)と一緒に食べます。老舗レストラン「Xapuri」では、平日のランチタイムに約25レアルで本格的な定食が味わえます。
でも私が本当に感動したのは、タクシー運転手のおじさんに教えてもらった家庭的な食堂でした。観光地から離れた住宅街にある小さな店で、メニューも手書き、値段も半額以下。そこで食べたトロペイロ豆の味は今でも忘れられません。
意外な盲点!気をつけるべきポイント
ベロオリゾンテ観光で最も注意すべきは標高です。実は市内中心部が標高約850メートルの高地にあるため、到着初日は軽い高山病のような症状を感じる人もいます。特にサン・フランシスコ山(標高1,340メートル)に登る際は、水分補給を忘れずに。
また、治安面では夜間の一人歩きは避けるべきです。昼間でも大きなバッグや貴重品の持ち歩きは控えめに。ただし、観光エリア内であれば昼間は比較的安全で、地元の人々はとても親切です。
意外と知られていない雨季の魅力
12月から3月の雨季は観光のオフシーズンとされがちですが、実はこの時期こそベロオリゾンテの真の美しさが楽しめます。夕立のあとの街並みはしっとりと美しく、空気も澄んでいます。雨季だからこそ安くなるホテル代も魅力的で、中心部の3つ星ホテルなら1泊80レアル程度から見つかります。
帰国後も忘れられない、心に残る瞬間
最後の夜、ホテル近くの小さなバルで地元のミュージシャンによる生演奏を聞きました。観光客は私だけでしたが、みんなが温かく迎えてくれて、一緒に歌って踊って、言葉の壁を越えた交流ができました。翌朝空港に向かうタクシーの中で、運転手さんが「また戻っておいで」とポルトガル語で言ってくれた時、本当にこの街を愛おしく思いました。
ベロオリゾンテは確かに有名観光地ではありません。でもだからこそ、作られた観光地では味わえない本物の文化と人との出会いがあります。迷子になったり、言葉が通じなかったり、予想外の出来事もたくさんありましたが、それらすべてが今では宝物のような思い出です。
次回訪問への布石
ベロオリゾンテは周辺観光の拠点としても最適です。世界遺産のオウロ・プレトへは車で約2時間、ディアマンチーナへは約4時間でアクセスできます。今度はもう少し長く滞在して、ミナス・ジェライス州の魅力をもっと深く探求してみたいと思っています。
ブラジル旅行を計画中の方、定番コースに飽きた方、そして本当のブラジルを知りたい方には、ベロオリゾンテを心からおすすめします。きっとあなたも、この街の虜になるはずです。