クスコ観光で高山病に倒れた私が教える、標高3400mの古都で絶対に失敗しない歩き方

クスコ到着初日、私は完全に舐めていた

クスコの街並みと標高の高さを示す景色

ペルーの古都クスコに降り立った瞬間、私は軽やかな足取りで街歩きを始めました。標高3400メートル?大丈夫、日本でも富士山に登ったことがあるし、と完全に油断していたんです。

ところが、アルマス広場を一周しただけで息切れが止まらない。階段を10段上がっただけで心臓がバクバク。そして夕方には頭痛と吐き気で、ホテルのベッドから動けなくなりました。これが高山病(ソロチェ)の洗礼だったのです。

クスコは世界遺産に登録された美しい古都ですが、同時に標高3400メートルという過酷な環境にある街でもあります。インカ帝国の首都として栄えたこの場所で、現代の私たちが快適に観光するには、それなりの準備と知識が必要なんです。

到着したらまず何をする?体を慣らすのが最優先

クスコの中心部アルマス広場の様子

リマからクスコへ飛行機で約1時間20分。海抜0メートルから一気に3400メートルへ上がるため、体への負担は想像以上です。

到着日は絶対に無理をしないことが鉄則。私の失敗を繰り返さないために、以下のスケジュールをおすすめします:

到着後の最初の2-3時間は、ホテルでゆっくり休憩。この間にコカ茶(マテ・デ・コカ)を飲みましょう。現地の人々が昔から高山病対策として愛用してきた伝統的な飲み物で、ホテルのロビーで無料提供されていることが多いです。

午後になって体調が安定してきたら、アルマス広場周辺を軽く散歩程度に。サン・ペドロ市場(営業時間:朝6時〜夕方6時)で地元の雰囲気を味わったり、サント・ドミンゴ教会(入場料:15ソル、約600円)でインカとスペインの文化の融合を見学するのがベストです。

高山病対策の裏技?現地の人が教えてくれた意外な方法

現地で出会ったガイドのカルロスさんが教えてくれたのは、「砂糖を少し舐める」という方法。科学的根拠は定かではありませんが、血糖値を安定させることで体調を整える効果があるそうです。実際に試してみると、確かに頭痛が軽くなった気がしました。

絶対に見逃せない!インカの石積み技術に圧倒される瞬間

クスコの有名な12角の石がある石積み

体調が安定したら、いよいよクスコの真髄に触れる時間です。街を歩いていて最初に驚くのは、インカ時代の石積みの上にスペイン植民地時代の建物が建っている光景です。

特に有名なのが12角の石。ハトゥン・ルミヨック通りにあるこの石は、12の角を持ちながら周囲の石とピッタリ合わさっている驚異的な技術の結晶です。朝の8時頃に訪れると、観光客が少なく写真撮影にも最適。

でも、実は12角の石よりもすごいものがあるんです。それがサクサイワマン遺跡(入場料:ボレート・トゥリスティコ130ソル、約5200円で10カ所の遺跡共通券)にある巨大な石積み。一つの石の重さが100トンを超えるものもあり、現代の技術でも移動困難とされています。

クスコ中心部から徒歩約30分、タクシーなら15分程度でアクセス可能。ただし、坂道が続くため、高山病対策をしっかりしてから向かいましょう。

石積み職人の秘密?考古学者も首をひねる謎

興味深いのは、インカの石積みには一切モルタルが使われていないこと。それでも500年以上の時を経て、地震にも耐え続けています。最近の研究では、石同士の摩擦係数を計算し尽くした精密な設計だったことが判明しているそうです。

クスコグルメで絶対に食べるべき一品とは?

クスコの伝統料理や地元レストランの様子

高地での観光で消耗した体には、栄養価の高い現地料理が一番です。クスコには意外なほど美味しい料理がたくさんあります。

まず絶対に試してほしいのがアルパカ肉。日本では動物園で見る可愛い動物ですが、現地では高タンパク・低脂肪の健康食材として重宝されています。味は牛肉に似ていますが、よりあっさりしていて消化に良いのが特徴。

アルパカのステーキは、アルマス広場周辺のレストラン「インカ・グリル」(予算:メイン料理40-60ソル、約1600-2400円)で味わえます。営業時間は午前11時から午後11時まで。高山病で弱った胃にも優しく、エネルギー補給にも最適です。

もう一つの名物がクイ(テンジクネズミ)です。見た目でびっくりする人も多いですが、実はペルーでは3000年以上前から食べられている伝統食材。タンパク質が豊富で、現地の人々にとって貴重な栄養源でした。サン・ブラス地区の「クスコ・グルメ・ハウス」では、観光客向けに食べやすくアレンジしたクイ料理を提供しています。

意外と知られていない?標高3400mだからこそ美味しくなる料理

高地では水の沸点が低くなるため、煮込み料理の味わいが独特になります。特にチューニョ(凍結乾燥ジャガイモ)を使った料理は、この標高だからこそ生まれた保存食。栄養価が高く、インカ時代から宇宙食のような役割を果たしていました。

マチュピチュ以外にも!クスコ近郊の隠れた絶景スポット

多くの観光客がマチュピチュを目指しますが、実はクスコ周辺には他にも素晴らしいスポットがあります。

レインボーマウンテン(ヴィニクンカ)は、近年SNSで話題になっている七色の山。クスコから車で約3時間、そこから徒歩2時間のトレッキングが必要ですが、標高5200メートルから見る絶景は一生の思い出になります。ただし、クスコの標高に慣れてから挑戦することを強くおすすめします。

マラス塩田も見逃せません。インカ時代から続く段々畑状の塩田で、クスコから車で約1時間。入場料は10ソル(約400円)と手頃で、白い塩の結晶が作り出す幾何学模様は圧巻です。

現地ガイドが教えてくれたベストタイミング

レインボーマウンテンは乾季の5月から9月がベストシーズン。特に朝の8時頃は雲がかかりにくく、山肌の色彩がはっきり見えます。マラス塩田は午後2時頃の強い日差しの時間帯に訪れると、塩の白さが一層際立ちます。

クスコで避けて通れない?お土産選びの落とし穴

クスコのお土産市場は、観光客にとって魅力的でもあり、同時に注意が必要な場所でもあります。

サン・ペドロ市場では、アルパカ毛製品が所狭しと並んでいますが、実はアクリル製品を「アルパカ100%」として販売している店も少なくありません。本物のアルパカ毛は手触りが非常に柔らかく、静電気が起きにくいのが特徴です。

信頼できるお土産を購入したいなら、センター・オブ・テキスタイル・トラディショナル・デル・クスコ(午前9時から午後6時まで営業)がおすすめ。少し高価ですが、品質保証がしっかりしています。

値段交渉のコツ?現地流のやり方を覚えよう

市場では値段交渉が基本。最初に提示された価格の30-40%から交渉を始めるのが一般的です。ただし、あまりしつこく交渉すると嫌がられるため、笑顔を保ちながら楽しく交渉することが大切です。

帰国前に知っておきたい!クスコからの移動で注意すべきこと

楽しいクスコ滞在も終わりに近づくと、帰国便への接続を考える必要があります。

クスコからリマへの国内線は1日数便運航していますが、天候による欠航が比較的多いことで知られています。特に雨季(11月から3月)は霧や雨の影響を受けやすいため、国際線への接続がある場合は最低でも3-4時間の余裕を見ておきましょう。

また、高地から一気に海抜に降りることで、今度は逆の体調変化を経験する人もいます。これは「逆高山病」とも呼ばれ、だるさや眠気を感じることがあります。

最後に、クスコで購入したコカ茶の葉は、日本への持ち込みが禁止されています。税関でトラブルにならないよう、帰国前に必ず処分しておきましょう。

標高3400メートルの古都クスコは、確かに体力的にハードな面もありますが、それを上回る感動と発見があります。適切な準備と心構えがあれば、きっとあなたにとって忘れられない旅になるはずです。インカの人々が築いた文明の足跡を、ぜひその目で確かめてみてください。