マスカット観光で絶対に避けたい5つの失敗談と現地で本当に役立つ裏技

なぜマスカットで多くの観光客が後悔するのか?

オマーンの首都マスカットを訪れた日本人観光客の多くが「思っていたのと違った」と口にします。中東の華やかなドバイを想像して来ると、その落ち着いた雰囲気に拍子抜けしてしまうのです。でも実は、それこそがマスカット最大の魅力なんです。

私が初めてマスカットを訪れたのは2019年の3月でした。到着したマスカット国際空港から市内まではタクシーで約45分、料金は15オマーンリアル(約4,000円)ほど。窓の外に広がる景色は、想像していた砂漠とは全く違う緑豊かな風景でした。

服装の大失敗で入場拒否された話

最初の失敗は服装選びでした。グランドモスクを訪れる際、半袖Tシャツとショートパンツで行ってしまい、入場を断られてしまったのです。イスラム教の聖地では、男性でも長袖長ズボンが必須。現地で慌てて近くの商店で衣類を購入する羽目になりました。

グランドモスクの正式名称は「スルタン・カブース・グランド・モスク」。開館時間は土曜日から木曜日の午前8時から午前11時まで(金曜日は休館)。入場料は無料ですが、服装規定は厳格に守られています。

灼熱の昼間は観光厳禁?地元民に教わった時間の使い方

マスカットの夏場(6月〜9月)の昼間は気温が45度を超えることもあります。しかし地元の人に教わったのは「昼間は室内、夕方から夜が本番」という過ごし方でした。

オマーン国立博物館で過ごす昼間の時間

昼間の暑さを避けるため、オマーン国立博物館で過ごすのがおすすめです。開館時間は土曜日から木曜日の午前10時から午後5時まで、入場料は5オマーンリアル(約1,300円)。ここで驚いたのは、オマーンが実は海洋貿易大国だったという歴史です。

博物館の展示で最も印象的だったのは、オマーンの船乗りたちがアフリカ東岸やインドまで航海していた証拠の数々。学校では習わなかった中東の海洋文化に触れることができます。

夕方からのマトラ・スーク散策が本番

午後5時を過ぎると、地元の人々の活動が活発になります。マトラ・スークは夕方から夜にかけてが最も活気づく時間帯。香辛料、香水、銀製品などが所狭しと並び、値段交渉も楽しめます。

スークでの値段交渉は文化の一部。最初に提示される価格の3分の1程度から交渉を始めるのが一般的です。私が購入したオマーン産フランキンセンス(乳香)は、最初50リアルと言われましたが、最終的に15リアルで購入できました。

知る人ぞ知るマスカットの隠れた美食スポット

観光地のレストランでは味わえない、地元の人しか知らない食事処があります。特にリヤル・オマーニ・レストランでは、本格的なオマーン料理を味わうことができます。

マジブス・ラハムの衝撃的な美味しさ

オマーンの国民食とも言えるマジブス・ラハム(羊肉のスパイス炊き込みご飯)は、一度食べたら忘れられない味です。料金は1人前8オマーンリアル(約2,100円)程度。サフラン、カルダモン、シナモンなどのスパイスが絶妙にブレンドされ、羊肉の臭みは全く感じません。

地元の人に教わったのは、このマジブスを手で食べるのが正式な作法だということ。右手の指先を使って少しずつ口に運ぶのがオマーン流です。

意外な発見:オマーンのコーヒー文化

オマーンには独特のコーヒー文化があります。カフワ・オマーニと呼ばれる伝統的なコーヒーは、カルダモンやローズウォーターで香りづけされ、日本人には馴染みのない味ですが、慣れると病みつきになります。

マスカット市内の伝統的なカフェでは、このカフワと一緒にハルワ(オマーンの伝統菓子)が提供されます。ハルワはローズウォーターとナッツで作られた甘いお菓子で、コーヒーの苦味と絶妙にマッチします。

移動手段で大失敗!知っておくべき交通事情

マスカットの交通事情は観光客にとって最初の難関です。公共交通機関が限られているため、移動手段の選択が重要になります。

タクシー料金でのトラブル回避法

マスカットのタクシーは基本的にメーター制ですが、観光地では交渉制になることもあります。私が経験した失敗は、事前に料金を確認せずに乗車し、降車時に高額な料金を請求されたことです。

現在はOtaxiという配車アプリが利用でき、事前に料金が確定するため安心です。マスカット国際空港から市内中心部まで約12〜15オマーンリアル、市内の移動は3〜8オマーンリアルが相場です。

レンタカーという選択肢の落とし穴

レンタカーを借りる場合、国際運転免許証が必要です。しかし、マスカットの道路事情は日本とは大きく異なります。一方通行の道路が多く、GPS頼りでも迷いやすいのが現状です。

私がレンタカーで苦労したのは、ロイヤル・オペラ・ハウス・マスカット周辺の複雑な道路構造でした。駐車場も限られており、結局徒歩で20分歩く羽目になりました。レンタカー料金は1日あたり25〜40オマーンリアル(約6,500〜10,400円)が相場です。

マスカット観光の隠れた名所と絶対に外せないスポット

ガイドブックには載っていない、地元の人だけが知る特別な場所があります。これらのスポットを知っているかどうかで、旅の満足度は大きく変わります。

アル・アラム宮殿の知られざる見学ポイント

アル・アラム宮殿は現在も使用されているスルタンの宮殿のため内部見学はできませんが、最高の撮影スポットがあります。宮殿向かいの小高い丘から見下ろす景色は、まさに絶景です。

この撮影ポイントへは、マトラ地区から徒歩約15分。地元のカメラマンに教わった秘密の場所で、特に夕日の時間帯(午後6時頃)は宮殿が黄金色に輝いて見えます。

リヤド銀行ビル最上階の展望レストラン

マスカットの街を一望できる穴場スポットがリヤド銀行ビル最上階のレストランです。観光客にはほとんど知られていませんが、地元の富裕層がよく利用する高級レストランです。

ここからの眺めは息をのむほど美しく、マスカット湾の全景とハジャル山脈を同時に見渡せます。ディナーの予算は1人50〜80オマーンリアル(約13,000〜20,800円)と高額ですが、特別な夜を演出したい場合にはおすすめです。

現地で本当に役立つ実践的なアドバイス

実際にマスカットで生活している日本人駐在員から教わった、ガイドブックには載っていない実用的な情報をお伝えします。

金曜日の落とし穴と過ごし方

金曜日はイスラム教の安息日のため、多くの観光施設や店舗が休業または営業時間短縮となります。この日はクルム自然公園でのんびり過ごすか、バンダル・アル・ロウダ・マリーナでボートツアーに参加するのがおすすめです。

ボートツアーでは運が良ければイルカに遭遇することも。料金は大人1人25オマーンリアル(約6,500円)、所要時間は約3時間です。

お土産選びの極意

オマーンならではのお土産として、カンジャル(伝統的な短剣)の模型やオマーン産デーツが人気です。しかし、本当におすすめしたいのはライムオイルです。

オマーン南部のドファール地方で採れるライムから作られるこのオイルは、料理の香りづけや アロマテラピーに使用でき、日本では手に入りません。価格は小瓶1本で8〜12オマーンリアル(約2,100〜3,100円)です。

トラブル対処法と緊急時の連絡先

海外旅行では予期しないトラブルが発生することがあります。マスカットでよくあるトラブルとその対処法を実体験を交えてお伝えします。

体調不良時は、マスカット・プライベート・ホスピタルが外国人対応に慣れており安心です。基本的な診察料は30〜50オマーンリアル(約7,800〜13,000円)。英語での対応が可能で、薬局も併設されています。

パスポート紛失時は、在オマーン日本国大使館(電話:+968-2469-2500)への連絡が必要です。大使館はクルム地区にあり、マスカット市内中心部からタクシーで約20分の距離です。

マスカットは治安の良い都市ですが、貴重品の管理は怠らず、特にスーク周辺では注意が必要です。現地の人々は親切で、困った時には必ず助けてくれる温かさがあります。この穏やかで奥深い魅力こそが、マスカットが多くのリピーターを生む理由なのかもしれません。